焼石連峰 尿前川本沢
2019.8.24
江戸切子さんがかねてより想いを寄せていた東北の銘渓、尿前沢(尿前沢、尿前川どちらでも良いと思います)
昨年、その存在を聞き調べてみるとなるほどこれはいい沢だ!行ってみたい!と私も思うようになっていた。
あれから僕らは少しは成長できたのだろうか、尿前沢はthe3級沢として中級沢ヤの領域。
1泊の記録も多い中、我々は滝ヤ装備(カメラ、三脚など)で日帰りを選択する事にした。もちろんビバークはできるようにしている。
江戸切子さんとの集合場所はいつものつけ麺屋前、今夜は長距離ドライブ。途中車の底が落ちるトラブルがあった(笑)
250kmぐらいで運転を代わり、割とスムーズに岩手入り 焼石岳の登山口である中沼登山口までは長いダートである。
登山道を歩き尿前沢に入渓、晴れたり曇ったりで落ち着かない天気だった。
水量は多いようで、最初の異形の小滝の水量に顔を見合わせる。
江戸切子さんはしきりに「尿前にきてしまった…」とつぶやいていた。
いくつかの支流を分けると、水量も落ち着き6mほどの滝が行く手を塞ぐ。細かいホールドスタンスをつなぎ登る この辺はラバーが最高のフリクション。
6m滝の上はミニゴルジュであり、水量ゆえか、際どいところが多い。
白濁したようなミルキーブルーは尿前の代名詞。
ミニゴルジュを通過すると三ツ折の滝。
どことなく釜川に似た雰囲気を感じる。
この滝の巻だが、右岸を少し戻るのが定石らしいが、泥壁を直接上がっていくとかなりドロドロで難儀した。
途中登れなくなってしまい江戸切子さんに引っ張り上げてもらった。
大きな木の生えるところまで行くと上流が見渡せ降りれる。
三ツ折の滝の上は再びゴルジュ状、雨が降っては止みを繰り返し、若干しょんぼり。
絶望的な感じで出現する中空の滝は左岸巻き。
するとハイライトである、40m大滝の出現! 大雨でガン萎え!
一瞬止んだタイミングで少しの間撮影する。
右岸トラバースルートを確認し、あたりをつけてガレ場を登る。
途中から藪に突撃し、全体が見渡せるところから江戸切子さんがトップで横断を開始する。途中、灌木でランニングを取ってスタスタと向こうの木に到着した。
死亡事故があったというトラバースなので緊張したがさすがは江戸切子さん!
巻途中、一気に晴れ渡り大滝が輝いている。 あと10分滝前で待機していたら…無念!
右岸巻はそれほど悪くはないですが、高さがあり高度感もかなりなので慎重さが大事であった。
残置を使って懸垂し、上段の壺に上陸。
輝くミルキーブルーが最高に美しい!
上段は容易に登れる。水量が多いので流水には注意した。
そこからはthe尿前空間、5m級の滝が連続しどれも簡単に登れたり巻けたりだ!ここは最高に楽しい区間。
ナメも時折混じる。
どうやら再び雲行きが怪しくなってきたようだ。
堰堤状7m滝では大休止する。
出発する頃には大粒の雨が! とうとう行動不能になるほどの豪雨になり、木の下で40分ほど雨宿り。
まばらになったところで再開、水量は激増したが問題ない程度。
陽も差してナメは最高!
尿前において最高の景色はこのナメと、前方に見え隠れする夫婦滝のバランスだと思う。
この景色は心に刻まれた。
左岸支流からも立派なナメが!!
夫婦滝30mは増水し迫力があるが、泥水…ムゥ。
さてさて尿前沢で最も大事なのがこの滝の登攀。
ルートは右岸スラブの登攀が基本 草の生えた部分から左に数m行ったあたりから傾斜のきついスラブを登ると10mほどで次第にゆるまってくる。
支点はとれなく、中間部までランナウトとなるので絶対に落ちることはできない。草の生える区間にハーケンで支点をとり江戸切子さんを迎える。
ここからどうするってところだが、つるべで江戸切子さんが落ち口のトラバースを見事に通過し、フォローで追いかける。
しかし江戸切子さんと私は壁を挟んで全くお互いが見えない、しかも笛も聞こえない。 ロープでツンツン合図を送るもうまく意思疎通が取れていなかった。
残置からスリングを回収し、落ち口の一歩を踏み込んだ時、手繰られていたはずのビレイ側のロープが一気に目の前を通過した!
これにはびっくり!!そして滝の水圧でロープに重みがかかりグッと重荷がかかる もちろん落ちるわけにはいかないので、「うぉおお!」と叫んだ、何が起きたか理解できなく本当に焦った。全くビレイされていない状態だが足場の悪い場所は通過していたのでそのままナメを登り切る。
江戸切子さん曰く、動きがなく、勘違いし一度ATCからビレイを解いてしまったのだという、解いた時に水流にロープが流されて私の前を流れていったのだ。
かなり危険な出来事だったが、何事もなく良かった!
夫婦滝の上からは危険な滝はないが、ラバーが非常に不利なヌメヌメゾーンと化す。
天気がまた悪くなってきた。全体を通して8割は天気が悪かった。
源頭の雰囲気になってくる。
水量が多いので、巻ける滝は全て巻いた。
でかい雪渓が出現するが、右岸から巻けた!崩落音にビビる!
雪渓上の二俣は左に入り、登山道へ抜ける。
ここからも意外に長く、藪が被ってきた段階で沢を離れ登山道へショートカットするも、激藪だった。
歩きやすい登山道を歩き無事に中沼駐車場へ帰還した。
もうバテバテで車に戻ると、焚き火していたおじさんがソーセージをくださりとても美味しかった!
尿前沢、やはり最高の沢でした。沢登りしたという充実感が半端なく、渓相も本当に綺麗。
ですが、全体的にハードだし、余裕があるなら1泊での遡行が良いと思われます。
滝の数も半端ないので滝好きの皆さんは是非狙ってみてほしいところです、登攀も結構ハードだし完全にロープを使った沢登りなので沢経験者の同伴は必須です。
江戸切子さん今回もありがとうございました!!
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