中ノ岐川 二岐沢・平ヶ岳先ノ沢
2023.8.11~13
ここ数年、お盆になると台風が来るシステムはなんなんだろうか… 2020年のお盆以降スッキリと晴れ周期がハマったお盆は来ていない… とは言っても自分が沢を初めたのは2019年なのでそもそもそんなにお盆を経験してないけど。笑
にしたってこんなにも予定がうまくハマらないなんて辛いが、天気予報に合わせてうまいこと計画するしかない。 最初は奥利根の沢に入る予定だったが、計画時時点での台風の進路的にちょっとリスキーだったので、少し短めの奥只見・中ノ岐川の最大支流である二岐沢から平ヶ岳へ詰める平ヶ岳先ノ沢へと変更した。
参考記録:その空の下で。。。 たれたれなるままに ヤマレコ:kakichokoさん
二岐沢は超人気沢の恋ノ岐川の一本お隣の沢だが、あまりメジャーにならずひっそりとした沢という印象。中ノ岐川との出合いには大ナメ区間があり素晴らしい景勝である。それは林道を歩いていると必ず目立ち、その存在を認知している人は多いはずだ。
8.11 朝、銀山平の船着場で中澤さん・サワグルイと合流、今朝の気温は14℃ 、普通に寒いな。 みんな半袖短パンでブルブル震えている。
サワグルイとは沢を詰めた登山道で別れ、下山は中澤さんと恋ノ岐川を降る予定なので、一台をデポしにいく。 まず、中ノ岐川の雨池橋まで銀山平から20kmある… ちょっと前に運転したばかりだが、相変わらず遠いよね。 恋ノ岐川は雨池橋から4〜5km
途中、荒沢岳近くの平石沢がよく見えるが、極めて状態の悪い雪渓があって、すり鉢状のスラブのすごい渓相に思わず笑う。 平石沢にトライした崚くんすごいなぁ 誰か平石沢に挑んでみてください…
雨池橋の駐車スペースには車が3台ほど、釣り師のものと思われる。 林道をちょっと歩きすぐに中ノ岐川の大ナメへ降りた。
沢に降り立つと、相当量のアブの襲来に合う。 足早に進み、二岐沢との出合いに着 ナメ同士で出合う相変わらずに美しい景色だ。 二岐沢に入り、ナメを歩くがすぐにナメは終わってしまい、ゴルジュっぽい渓相に。ちょっと泳がされたり結構水につかる感じで進むが、登れない2段8m滝では右岸のルンゼから巻いて小尾根を乗越て沢に戻った。
その後はゴルジュ状も落ち着き、黙々と進む。 並走する林道は、地理院地図記載よりもかなり奥まであるようで4回くらい橋が頭上を通過する。
途中では全く逃げないイワナを観察したり、ナメでひたひた歩いたり快適に進むが、この中流部がとにかく、ひたすら長い! 僕らは1泊で抜ける予定なので黙々と進んだが、ゆっくり2泊の行程であればこの中流部で釣りをじっくり楽しむといいと思う。
割と飽き性なポムチムとシュカさんは徐々に「うわぁナゲェ〜」「ゴル待ちだね」などと小言が出てきちゃったが、Co1060付近の滝マークではお久しぶりの大きめの滝 左岸のギリギリ歩ける岩棚バンドから小さく巻く。この辺から徐々に渓相が変わり始め、常に濡れる場面が連続する。
ジョウ沢からは本流は平ヶ岳先ノ沢へと名前を変え、明らかに発達した渓相へ。大きな釜を持つ5m滝は迷わず泳いで右壁に取り付く。超爽快! この先もゴルジュは続き、いよいよ本番って感じか!? 滝からそのまま続くゴルジュには超水圧の6m滝がある。絶妙なフットホールドで滝身左から登るが、滝の流心を潜るところで全水圧を受ける。筋肉の塊であるケーシは水圧をものともせず登ったが、続く贅肉の塊であるポムチムはザックに受ける水圧に耐えきれず、滝下まで吹っ飛ぶ! 打ち所は悪くなくてセーフ
結局ケーシにロープをもらってゴボウで登るが、小柄な人だとゴボウもちょっと怪しいレベルの水圧だった。すぐ上で巻嵓沢が出合う。
巻嵓沢を過ぎると平ヶ岳先ノ沢は花崗岩の抜群に明るい渓相となり、待ってましたと歓喜の声。 多くの小滝をかけるが、どれも快適 ラバー靴もピタリと効き、このあたりの遡行感度はMAXを振り切る。
6段の釜を連続する20mぐらいの滝は乾いた左のスラブから登る。この滝の中段では流水が完全に水平にヒョングっていてなかなかの奇景だった。
花崗岩の発達したゴルジュは途切れず、5m滝は左壁から快適に登る。と、先には巨大な連瀑があると思ったら左岸から出合うタンスノ沢 こちらも水量の多い沢でほぼ1:1で水量を分けている。 本流もすぐに連瀑で右手の草付きから小さく巻く。
すると4段60m滝がドーンと出現! 中段までは右手のスラブが快適 上段は右岸側へ移り、ルンゼから巻き気味に登るが、ポムチムはルンゼに詰まったチョックポムと化してしまったので見兼ねた中澤さんがひもでフォローしてくれる。
60m大滝の上もしつこくゴルジュは続き、2段10m滝とその先の見えていない10mぐらいの滝は左岸草付きから高巻く。大分落ち着いてきたが、それでもゴルジュ状ではありテン場はどこやと探す。
Co1400m前後のところに大量の薪が堆積した平場があり、もうここでいいでしょということで幕営地決定 ここまでで時刻は14:30だった。多分…本気で頑張ればワンデイも可能だろう… サワグルイの2人は遡行スピードが尋常じゃなく早いため、ついていくのは必死だ笑
早々に薪を燃やしまくり焚き火パラダイス でかいソーセージと、担いで来たスパムが大好評で爆笑だった!中澤さんの炊いたお米とハンバーグ、大量のスパムをぶち込んでとにかくしこたま飯を食う。スナック菓子の量も尋常じゃないくらい担いで来たのでとにかくずっと食い続けた笑。
8.12 朝、蚊の襲来に目覚め重い腰をあげて準備 目覚め1発から腹まで濡れる瀞を越えるとその先も地味に泳がされたりと、朝一からめちゃくちゃ濡れる。 秋の記録が多い平ヶ岳先ノ沢だが、全体的によく濡れる沢なので夏が適期だろう。濡れるのを避けいちいち巻くのは相当大変だと思う。
枝沢と出会うたびに水量はぐんぐん減っていくが、小滝が終始続き飽きさせない。Co1850付近で右岸から20m滝で出合う枝沢から最短で詰める方針となったが、枝沢出合いの滝は登れそうにもなく、本流を進んだところから乗越すことに。しかし本流にかかる7m滝の上部分がまさかのこの沢で一番悪い滝でシュカさんが突破して後続は荷揚げとお助けで登らせてもらう。
水を汲んでから枝沢へ移動して最後の詰め ここでサワグルイが超爆速と化してしまい、中澤さんとポムチムは満身創痍になりながらゆっくりと詰める。 草原にしては角度がきつい源頭から姫の池方面へちょっとの藪漕ぎでついに!木道へ出た!
姫ノ池周辺の池塘群は最高の癒し! 荷物を降ろし、大休止 登山道を降りるサワグルイとはここでおさらばして、中澤さんとポムチムで平ヶ岳へピークハントしにいく。 木道が整備されていて心地よい。初めての山で中澤さんが山座DTしてくれたり、解説付きで理解が深まる。お盆休みなのに登山者はまばらで静かな非常にいい山だった。
ここから登山道を下って台倉山手前のコルからオホコ沢を下降する予定。オホコ沢というのは直前まで知らなかったが、この沢の下降にすることで無駄に長い恋ノ岐川上部をパスすることにした。みんな詳しくて助かる〜
地味なアップダウンに体力を吸われつつ姫ノ池の分岐から1時間半程度で下降のコルへついた。ここは水場になっていて藪漕ぎゼロでオホコ沢に降りることができてラッキー 一応水場だが、汚い水がちょろちょろであまりいい感じではない…
オホコ沢上部は随所に幕営地があり、途中右岸には50人くらい泊まれそうなまるでキャンプ場のような台地がある。
オホコ沢は酷いヌメリで下降には転けないように精神をすり減らして下る。 恋ノ岐川との出合いが近くとナメと滝が連続していい渓相だ。 途中で登ってくる1PTとスライド ヌメリはあるが、懸垂も一度もなく恋ノ岐川へ降り立った。
オホコ沢出合いから下って、Co1300ぐらいの河原で幕 この日も中澤さんととにかく飯を食いまくる。2人で食うにはスパム1缶は多すぎる 時間も早くだらだらのんびり過ごした。何よりこれが最高でなのである
8.13 この日は恋ノ岐川をだらだら下るだけ。
超人気沢だけあって渓相は抜群!! 底抜けに明るくて闊達な沢を下降する。暑すぎるため、釜はほぼ全部泳ぎどんどん下る。大人気な沢だけあってこの日は4PTとスライド 最後尾の4人PTはインスタで有名な方々で明るく挨拶を交わしてくださった。
恋ノ岐川の美渓を噛み締めて、11:30に橋につき無事下山完了! 速攻で銀山平の白銀の湯に直行 中澤さんとちんちん亭で爆盛りラーメンを食った。
さて、そういえば台風はどうなったのか?
天気予報を見ると、入山前に見た予報より大分西側へ進路を変えたようで、新潟方面はこの先もノーダメージの模様。 蓋を開けてみれば台風は逸れ天気も良く、本命案もできたよねというのは結果論だ。
・所感・
平ヶ岳をめぐる3日間の沢旅はとても印象に残った。平ヶ岳先ノ沢の花崗岩の峻渓と恋ノ岐の癒しの沢、隣同士なのにそれぞれ全く異なる顔を持つ。そして平ヶ岳の池塘は心安らぐオアシスでした!
この界隈の山域の理解が少し進んだ山行でした!
二岐沢区間はとにかく長い中流部がありますが、我々のように足早で駆け抜けるよりかは沢中2泊工程で釣りなどを満喫して進めばより沢を深く味わえるような気がします。平ヶ岳先ノ沢へ入ったら越後の沢しては非常に取り付きやすい快適な沢登りが楽しめ、花崗岩が明るくて爽快です!ここまで本当に長いけどオススメ! 下山は好みに合わせて、恋ノ岐下降か登山道で選べばいいと思います。
今回もサワグルイ、中澤さんありがとうございます!