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2024-07-14

尿前川支流 お岩沢

2024.7.14

尿前川流域は北東北有数の沢登りスポットであり、自分も尿前本流2回、風呂沢、天竺沢と訪れている。どれも大変素晴らしい沢であった。
今回訪れたお岩沢は尿前渓谷の最下流域の支流で、WEBで確認できる遡行記録は僅かに、岩手の精力的な沢ヤであるtbfさん・雪華さんペアによる一件のみ。

自分もこの記録をきっかけにお岩沢の存在を知り、そのうち行こうと思っていたが、車が2台必要もしくは中沼登山口にマウンテンバイクをデポする必要があり、なかなかその機会は掴めずいた。そのうちに今日まで、存在すら忘れかけていた。

今回は昨日の葛見さわさんに引き続き、登攀狂・団栗林権蔵さんが参戦することになった。
権蔵さんは普通の沢では満足できない登攀狂なので、険しい沢をチョイスする必要がある。
そういえばお岩沢あったなあと不意に思い出した。
お岩沢であれば、権蔵さんのお眼鏡にかなうはずだ。

中沼登山口に車を停めて、葛見さわさんのハスラーで移動。林道が悪くならないうちに程よいスペースに停めてそこそこ長いアプローチスタート 
林道は荒れ果て、車輌の通行は不可能 踏み跡は判別できるが、一部不明瞭となりつつある。

ログの通り、途中から沢を使い尿前川に降りるが、湿地から流れ出す沢と合わさるとかなりの水量があり、水線すら描かれてない沢の規模とは思えない。そんなこんなで休憩も挟みながらお岩沢までは約1.5hのアプローチ。

お岩沢序盤の様相
ゴルジュっぽく…
きたか!

お岩沢は序盤、ナメ主体のさわやかな渓相。
右岸の風化スラブを観ながら進むとCo600からはゴルジュの様相 ここからがお岩沢の核心で、しつこいほどにゴルジュが続き、そのほとんどが水線を登ることができる。 
100以上の滝の数と言われているが、誇張ではなく本当に滝滝滝…

開幕した
水に浸かりまくる
ポイントとなるチムニー状滝

つっぱりが難しい
GONZO
湧き水が多く冷たい

一見、絶望的なチムニー6m滝は登攀狂・権蔵さんが長い手足を活かした突っ張りで瞬殺。
ロープをもらって僕らも登った。
この区間は泳いだり、水に浸かって取り付く滝が連続し、体力は容赦なく奪われる。

長い泳ぎこそないが…
ずっと水に浸かりっぱなし
大滝は左壁登攀(GONZO)

柱状節理ZONE
素晴らしい造形
永遠に滝が続く
やや大きめの8m滝
これは?
通称ムカデの滝

中盤は、柱状節理の発達したゴルジュへ変わり、その中も快適な滝が連続し、素晴らしいの一言。

しかしながらあまりにゴルジュがしつこく、メンバーも徐々に疲弊し、一体これはいつ終わるんだ!と辟易してしまう。

最後のスリットゴルジュ
とにかくちょい泳ぎ!
おかわり!

最後のゴルジュはスリット状の4連csで、csを泳ぎながら潜り、バックアンドフットでズリ上がるなど、なかなかアトラクション豊かである。

C Sの下を潜ります
最後は癒しのナメ
やがて薮へ消える

ゴルジュが終わると、ナメ天国も出迎えてくれる。 残り標高差が100m程度でも水量はかなり多く、焼石山系の保水性、涵養機能の高さに関心しきりである。

沢の上を藪が覆うようになり、中腰で掻き分けて進むがこれがまたキツく、体力を吸われる。
最後は沢を離れて藪漕ぎ10分で登山道に脱出。
天竺沢の源頭にあたる金明水で喉を潤しつつ、長い下山を往った。

お岩沢は尿前川流域で最もゴルジュが発達した沢だろう。滝の規模や側壁の絶望感は天竺沢に軍配が上がるが、滝の数、ゴルジュの長さ、密度は岩手の沢では最強クラスで間違いない。

今回は権蔵さんのお陰もあって、巻きは最小限(ほぼゼロ)だったが、一応高巻きも選択できる地形ではあった。 しかし、この沢はかなり手強い部類に間違いはなく、行くのであれば真夏に少人数が望ましいだろう。カムやハーケンなどの登攀具は使用しなかった。

沢ヤ人口の極端に少ない東北で、あと何組がこのお岩沢に入るかは知らないが、こんなに素晴らしい沢に巡り会えて幸せ者である。
記録を残してくださったtbfさん雪華さんに改めて感謝の意を表したい。

⚫︎尿前川流域は本当に個性豊かな沢が多い。
・東北有数の美渓にピリ辛要素のある尿前本流
・数多くの美しい滝と適度な緊張感のある風呂沢
・地獄の渓相と手強い滝、詰めの短さが魅力の天竺沢
・アプローチ・下山ともに上記の数倍面倒だが、お水系ゴルジュパラダイスのお岩沢

権蔵さん、葛見さわさん今回もあざした~

ヤマレコ記録

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