水無川 北沢・右俣の中沢
2024.9.14-15
ヤロウ5人PTで水無川・北沢右俣へ行く
北沢は越後駒ヶ岳へ詰め上がる水無川の本流であり、真沢とともに越後が誇る大名渓の一つである。
一方で北沢右俣はおそらく60年間遡行されていない。 右俣は出合いのすぐ先に大滝があるが、その写真すらなくてどんなものなのか謎が多い。
未だ見ぬその大滝の姿を捉えて、記録を残すため我々5人は立ち上がった。
…実際は、奥利根の転進先案のひとつだ!
秋の装いを見せる水無川をダラダラ歩き、最初のポイントは大高巻きのゴルジュ 通称「袂分かちのゴルジュ」これはtamoshimaらがこのゴルジュの通過時に揉めて長年のパートナーと袂を分つに至ったことからつけられたことは有名な話。 僕らの中で唯一、「闘う貌」を持つ崚くんが早速このゴルジュに突っ込むが壁が濡れ濡れで厳しそうだ。 5人いたが袂を分つことなく、定石通りに左岸巻きでゴルジュを高巻いていく。
踏み跡が割と明瞭な草付きをトラバースして沢に復帰する。その後の西沢出合先に控えるゴルジュはちょっと突っ込んでみる。ボルダームーブを要求される小難しい滝があったりと面白い。
ゴルジュ最後の10m程度の滝は登れなくて、右岸から高巻いて懸垂下降で降りていく。
すると水無川のシンボルの一つ、関門の滝のお出まし。 周囲が完全に岩盤に囲まれている中、真っ直ぐ水を落とす姿は勇壮この上ない。越後名瀑5選に入るだろう素晴らしい景観だ。
関門の滝のルートは明白で、右岸の岩棚を登る。上部は少し傾斜が強く、振り返るとかなりの高度感があるため、慎重になりたい。
ここからは水無川の核心部。 続く「逆くの字滝」から始まり、快適に登れる大きな滝が連続し、本当に素晴らしい。ここは2度目だが、感動はこれっぽっちも変わらない。
北沢、真沢出合手前には30mの大きなナメスラブ滝があり、青空ものぞいている。ここからは最高の空間。THE越後!! 皆の足取りも軽くなる。
左岸から入る真沢の幣の滝は高差150m超の超巨大スラブ滝だが、今日はいささか水量が少なく迫力不足だ。
今回は本流の北沢方面に向かう。こちらも巨大な連瀑となり、この二俣は日本有数の渓谷景色であろう。
北沢は100mを超す連瀑を形成しており、水量もある。全体のスケール感は真沢以上だ! ぐんぐん連瀑を登って標高を上げていく。5人という人数でもロープを出さずに各々登っていくため全く時間はかからない。
この連瀑はどこまで続くのか!? ってレベルで爽快!北沢最高めっちゃいいじゃん! 晴れている時にまた行きたいとと思えるほどの絶景が続く。
なおも連瀑は続いており、とことん越後を感じさせてくれる。先週の芝沢といい、やはり越後の沢は素晴らしいことこの上ない。仙台からは非常に遠い山域だが、足繁く通いたくなるのはこの景色があるからだ。
長く続いた連瀑を上から覗くと、釜と滝が連続しているのがよく見て取れる。 黒々とした釜は一体どのくらいの深さがあるのだろうか?
連瀑の上は幅狭ゴルジュがあり、わずかな距離泳がされる。その先はいよいよ北沢本流と右俣の出合だ。
右俣は半世紀以上遡行されていない理由がよくわかる。なんせ水量が少ない。一方で北沢本流はまたも連瀑のゴルジュとなっていて、どう見ても遡行的な楽しさは北沢本流の方が上だとわかる。
5mくらいのヌメヌメ滝を登って、右俣に入ると両岸がくっつかんばかりに迫ったゴルジュに変貌。
幸いゴルジュはそれほど険しくなく、突っ張れるCS滝が数個あるにとどまった。そしてゴルジュ先には、逆三角形の面白い形をした右俣大滝が現れた!
右俣大滝は上部がスラブ滝となっているため、直下から滝の全体像を望めないが、80m以上はあるのではないだろうか? 非常に立派な滝なのだが、やはり水量が乏しく、迫力は皆無。
右岸側の水流は傾斜があるため、左岸のスラブから登っていく。 ところどころ慎重になるところがあるが、全体にⅢ以内の内容で快適に登ることができる。
滝の上は広〜いスラブになっていて、特に左岸から合わさるスラブは越後最大規模の超広大なスラブ。本当に美しい。
スラブより先は沢の規模がグッと小さくなり、藪っぽいゴルジュに変貌。 当然泊まるところがない…
ゴルジュの先にはすごい深さの三俣が差し迫っており、結局、大滝上のスラブにある傾斜が緩い場所で幕営することに。 雨が降ろうものなら全員流されるようなすごいところにタープを張った。
中澤さんと崚くんは左岸の大スラブにお散歩に行った。 KC、くずみん、ポムチムは西陽にポカポカしながらくつろいだ。
翌日 今日は午後から大雨の予報だ。できるだけ早く上部ゴルジュを抜けたいところ。
昨日見えた三俣はやや変則であり、最初にである右沢もとてつもない切れ込みだ。 この辺は地獄の底のような景色で、かなり息苦しい。 中沢は初っ端から滝が続き、一直線の切れ込みに差し掛かると難しいCSがこれでもかと連続する。 崚くんがガシガシ登っていき、荷揚げ、ユマールを繰り返す。 まるでゴルジュ宅急便。
途中からこの段取りが確立されて一気に登っていく。完全に作業ゲーと化したが、滝一つ一つが悪くて真沢などと比べても頭ひとつ難しい沢だった。
最後は激藪にはまりながら檜廊下の縦走路に飛び出した。
徐々に雲行きは怪しくなってきた。極楽新道を下山中にとうとう凄まじい豪雨になって、周囲岸壁に1000m級の大滝が無数に出現。これには笑うしかない 経験したことのないような大雨だが悲壮感はなく、むしろこれどうなっちゃうのって感じでおもろくなってきた。
とはいえ行動できるものでもなく十二平でタープを張って雨を凌ぐ 下山してきた他の沢ヤ・登山者もタープに入れて雨足が弱まるのを待った。 KCたちが先に偵察に行くも普段水の無いような枝沢でもロープ渡渉が必要なほどの増水だとか… 2時間ほどタープの下で雨宿り。 雨もだいぶ落ち着いてきた頃、一緒に雨宿りしていた水戸葵ptが偵察に行き、なんとわざわざ駐車場まで行けることを確認してきてくれた。
このままだと停滞になりそうだったため、本当に良かった。 一気に撤収し、日没ギリギリに駐車場へ帰還した。
色々あった2日間だけど滝の真ん中での幕営も、最後の大雨停滞もとても楽しい思い出となった。 みなさまありがとうございます!