朝日連峰 八久和川・オツボ沢
2025.9.22-23
カレンダーでは飛び石の連休となっていたが、間の平日に休みを貰っていたので4連休となった今回。
大きな沢を狙えるチャンスだが、前半2日間は荒れた天気となってしまった。そこで先日行った岩魚止沢で失くしたカメラを探しに大朝日へ向かった。
ありがたいことに、ゴルオヂのバニさんとモーリーさんがカメラ捜索を手伝ってくださった。半分諦めていたカメラだったが、モーリーさんが薮の中で発見した!悪天候の中、手伝っていただいて本当に感謝しきれない。どうもありがとうございました! カメラは無事に動きました〜
後半2日間は主夫の中澤さんが沢に行けるということで、一緒にどこかいくことにした。さてどこへ?中澤案はいつも変な場所だが、今回の案は「エズラ登りヒド」か「オツボ沢」 自分は八久和川なら普通に中俣沢に行きたいのだが、中澤さんがそれを赦すわけがない。
ともかく、「エズラ登りヒド」は意味がわからないので当然却下として、「オツボ沢」か〜。確かに気になる沢ではあるが、記録は少なくぶなの会などの記録を読むもいまいちピンとしない。
まぁ、愛する朝日の沢だ!行って見るしかない。しかしアプローチも下山も天狗の山越え。 こりゃハードだぞ〜
9/22 大井沢-天狗角力取山-出谷川–オツボ沢-Co950
早朝、まだ夜が明ける前から集合して、まずはアプローチの登山。 これが長くて堪えること! 急登は少ないが、ダラダラと長〜い登山。 天狗に着いた頃にはも天狗小屋で一泊して帰ってもいいんじゃ無いかと思えるほど消耗した。
天狗からは滑りやすい激降りをこなして、お初お目にかかる八久和川(出谷川)の渡渉点まで降りてきた。 早速、やや高圧的な釣り師とバッティングするが軽く挨拶し先へ進む。
しかし八久和の清流、本当に素晴らしい! こんなに綺麗な川だったとは。。やっぱり自分にとって朝日の沢が一番だな。
先日に記録的豪雨が降ったため、苔や泥などが磨かれたのだろう。沢床は驚くほど白くクリア。 水面から5m上くらいまで草木が薙ぎ倒されていて増水の凄まじさを物語っている。
渡渉を数回するとすると沢幅はグッと狭まり瀞を作っている。 ここで左岸から飛沫をあげた7m滝をもって流入する沢が「オツボ沢」だ! 出合の印象は少し薄暗くあんまり気乗りしない雰囲気だな。
オツボ沢のゴルジュは左岸に巻道が着いており、その経路を伝いオツボ沢へ入るとする。
早速ゴルジュとなっていて、先には険しい5mほどの滝。 ここは右岸から巻いていく。
この先は数個の滝があるが、テンポよく進みようやく沢が開けるとまるで天国のような美しい渓相へと変わって行った。 これは理想的な明るい渓谷だ。この時点でオツボ沢、神渓確定だろ!
岩盤が発達した沢だが、森はとても近く高巻きもそれほど苦労はしない。 ナメや釜を持った滝が多く、ポムチムの最も好きなタイプの渓谷だ!
右岸枝沢から40mほどの滝が入り、沢が屈曲するところにはこれまでとは違って厳しそうな2段13m滝が塞ぐ。
高巻くより、右岸の垂壁リッジを登った方が早そうだ。 中澤さんがロープをつけて素早く登る。ややボロいところもあるが、ホールドは豊富でいい感じだった。 2段目は小さいが、意外と隙がなく、1段目の滝の落口を渡って巻くほかなさそうだ。
落口へのクライムダウンは厳しく、途中から滑り落ち、ドボン。水量が多いと1段目から放出されかねないので注意。身を空中に乗り出し、灌木を登っていく。途中でハーケンはしっかり決まって良かった。
これより先は一層美しい。どこを切り取っても綺麗な沢だ 終始ハイライトとなる区間が続き、沢へ行ける機会が少ない中澤さんも大喜びしている。
オツボ沢、きてよかった!!
そういえば魚は見ていない。 魚影は薄いのか? 出合いから滝で始まるから魚は遡上してこないのだろうか?
魚といえば、最近岩魚を過剰に食べている沢ヤが多い気がする。SNSで見かけた程度の話だが、岩魚をもっと大事にした方がいいと思う。 何も岩魚をたくさん食べなくても、食料はいくらでも持っていけるわけだし、険しい沢で逞しく生きる岩魚を貪る必要はない。美味しいし楽しいんだけどね。
ミニゴルジュもあるが、険しくないため簡単。オツボ沢は想像よりも癒し系であり、「八久和川最難の沢」というレッテルが一人歩きしてしまっているようだ。
そろそろテン場が欲しい頃だが、対していい物件はないまま進み続けている。
Co950、滝で出合う右岸支流のところがようやく河原になっていたため、整地してここに泊まることとした。
少し先へ行くと2段の滝があり、やはり先ほどのところがベストのようだ。 薪は頑張って集めて満足な量集まった。
さて明日はオツボ沢の大滝とのご対面。滝を真正面から捉えた記録は見聞きしない。是非とも真下から拝んでみたいものだ。
9/23 Co950-オツボ峰-出谷川-天狗角力取山-大井沢
行動開始早速、昨日見た2段滝を登る。草付きから巻き気味に登るが、やや悪目だ。 この先もゴルジュが続くかと思ったら意外と平坦な場所が多く、泊まれそうな場所もちらほらある。
沢が左曲する左岸は100mを超えるような大岩壁が聳え、いよいよ連瀑が迫っていることを感じる。
岩盤が発達したミニゴルジュを進むと奥に大滝の滝頭の姿が見えた! あれがオツボ沢の大滝に違いない!
大滝はすぐそばに迫っているが、その前の連瀑帯を超えていかないと辿り着けない。
6m滝から始まるが、これが登れず少し戻った左岸の草付き泥壁から高巻く。6m滝のすぐ上も10m5mと滝が続く。 10m滝はロープを出して中澤さんリード。水線右を登るが、ぬめりがちょっとある快適でもない。
そのままつるべで瀑水の滝を横断し、とうとうオツボの大滝が眼前に迫る。
想像をはるかに超える美しさ、完成された滝前の空間 朝日連峰屈指の美瀑がここにあった!
あんまり綺麗なのでかなり長時間滝前で寛いだ。 これからも形を変えず、残っていて欲しい名瀑だった…
大滝は、右岸から割と容易に高巻くことができた。
大滝のすぐ上も7m滝があるが、フリクションを効かして登る。この後もゴルジュ地形があるが、どれも楽しく登れて本当に快適だった。
Co1180で出合う右俣は水量が少ない。時間もあるので本流の左俣を進む。 左岸からの湧き水滝や10m前後の滝を数個超えるといよいよ詰めの雰囲気だ。
周辺はカール地形のような雰囲気で、最初から最後まで開放感に満ちている。
源流は右岸に岩峰群が屹立し、その上空を猛禽類が旋回している。 湧いてきたガスも相まって神秘的な空間だった。 ラストの詰めは急傾斜のニラ斜面で二人で大いに息を切らして登り切った。
目の前には大鳥池と化穴山が飛び込む。 化穴山と並ぶ甚六山は先月の西ノ俣沢の時に触れた沢だ。
しかし山深いところだ、ここからは街すら見えない。 朝日連峰万歳!
オツボ峰で記念写真を撮って、長い下山の始まり。むしろ、ここからが本番と言っても過言ではないほどに過酷な下山が待ち受けていた・・
超ハード、クマにも遭遇した7時間の下山を経て、大井沢に帰還。 本当に疲れたが、久々に体力が底を尽きるくらいに歩いた。中澤さんと本気のグータッチ!👊 また熊に会いながらゆったり館に駆け込んだ。
八久和の最奥の地にあるオツボ沢だが、きついアプローチと下山を覚悟の上でも行く価値がある超名渓であった。ポムチムの沢登り経験上最高に美しい沢で、越後の滝ハナ沢と比肩する絶世の美渓。
体力、ルーファイ、登攀、ニラ巻き全てが要求されるこの沢を訪れる人は、自ずと朝日を心底愛する人に限られる。
従って、オツボ沢は下手に流行らず、今後も美しく、静謐な沢であり続けるだろう。
中澤さん、今回もありがとうございました!!!
→ヤマレコ記録(中澤さん記の遡行図あり)



















































