朝日連峰 見附川・トウヌシ沢左俣右沢
2025.9.27-28
朝日の見附川は昨年行った高松沢や入トウヌシ沢の記録は多数あるが、本流筋のトウヌシ沢の記録はとても少ない。WEB状では左俣の左沢へ行っているこの記録のみだ。朝日の本流筋であって記録が少ない沢、そして今回は記録未見の右沢を狙う。果たしてどんな沢なのかとても興味深い。
今回はモーリーさん、鶏さんの計画に乗る形で参加させてもらった。
9/27 日暮沢小屋(7:09)-見附川(9:00)-入トウヌシ沢出合(12:40)-Co1020幕営地(15:17)
見附川へは日暮沢小屋脇から山超えでアプローチする。途中釣り山行の大所帯とスライドしつつ、約2時間で見附川へ降り立った。 見附川はブルーに透き通っている。
オバラメキ沢の出合で休憩を挟み、ところどころお腹まで冷たい水に浸かりながら見附川を遡行する。
高松沢出合の手前は、昨年も高松沢の時に悶絶した泳ぎスポット。 鶏さんが果敢に突っ込み、後に続く。
自分はブラメタ装備なので、寒さは昨年ほど気にならなかった。
大迫力の岩魚止滝は登れる代物ではなく、高松沢と隔てる尾根にある泥ルンゼから高巻く。
これがとても悪いルンゼでお助けヒモを出してもらう。
灌木をつないだ悪いトラバースで岩魚止滝の真上に降り立つ。するとそこはなかなかのゴルジュとなっていて「岩魚止ゴルジュ」と名付けた。


岩魚止ゴルジュは泳ぎを要求される滝の連続で、真夏なら最高に楽しい区間だろう。
しかし今は秋も深まろうとしている9月下旬である。いくらブラメタ装備でもずっと水に浸かっていると徐々に冷えてきた。だが、寒さよりも楽しさが勝る! こんなゴルジュがあるなんて予想外!最高だ
大水量で豪快な岩魚止ゴルジュでボルテージMAXになり、ようやくゴルジュを抜けるとしばらくは河原の区間でほっと一息した。
入トウヌシ沢出合に近づくと、またもゴルジュが発達。 水路の先にある7m滝は登れそうになく、右岸から高巻く。右岸から入る入トウヌシ沢との水量比は1:1だ。
トウヌシ沢は朝日らしい花崗岩が発達し、いかにも朝日らしく美しい渓相だ!
すると先には不安定残るスノーブロックが見えてきた。近づくと今すぐに崩れそうではなく、短いため忍足で潜って抜けた。
トウヌシ沢は完全にV字谷で、進むにつれてさらに険しさを増してきた。いよいよ両岸は覆い被さり、圧迫感を伴う。 泳ぎが必要そうなゴルジュは、その先が一層厳しそうなので右岸から高巻くことにした。
巻きは灌木主体だが、谷はV字谷であり沢に降りるのも容易ではない。そして先には60mはあろうかという2段の大滝を望む。 あんな巨大な滝…無事に抜けられるだろうか?
ニラ斜面をトラバースして沢へ降りれるところを探していると、傾斜が緩んだザレ斜面を発見。慎重に降りていくと最後に垂直な崖となっている。 ザレに埋まっている朽木を懸垂支点として沢に降り立った。
沢に降り立つと、すぐ背後はとんでもなく険しいゴルジュとなっている…! これは流石に登れないだろう。巻いてきて正解だった。
沢に降り立ったはいいが、またすぐにゴルジュになっちゃった。まぁ、こうなるだろうとは予想済み。
しかしこれも立派で、まるで花崗岩でできた要塞のよう。登れそうには見えないため、左岸のニラ斜面から巻くことにする。ニラ斜面は下部の30mが露岩で結構悪い。 トウヌシ沢は雪国の沢にある程度慣れていないと太刀打ちできない険しい沢だ。
ゴルジュを巻いていると、例の大滝が目の前に迫った。主瀑の前に3段の前衛滝があり、まとめて高巻くことにする。
左岸のトラバースを続け、主瀑の前へ都合よく懸垂なしで降りられた。目の前のトウヌシ沢大滝はオツボ沢大滝にも劣らない大迫力だ。この主瀑だけでも40m近くあるだろう、こんな名瀑に巡り会えるなんて…
高巻きで消耗したため、滝の前でゆっくりと休憩した。
主瀑は滝右壁のゴツゴツから巻き気味に登る。わりかし、簡単に滝の上に行くことができてホッとする。
遠目で見えた上段との間に6mチムニー滝があり、これも巻いていく。
上段の15m滝が見えてきた、そして進む左俣がここで7m滝を伴って出合う。連瀑の途中で出合うとはなかなかの険谷っぷりだ。 左俣出合へは7mの懸垂下降で降り立つ。
左俣の7mチムニー滝は右岸から巻けそうだが、モーリさんが登れるとのことでリードを買って出る。
荷物を背負ったまま軽々と登って行ったが、かなり斜度のきついスラブであり、中間支点もろくに取れない。
上部にはひん曲がった古のハーケンが一本残っていた。 もしかしたら登山大系時代の代物なのかもしれない。
トウヌシ沢左俣はとても明るく開けた沢で、滝も登りやすく最高に快適! ようやくプレッシャーから解放されたが、そろそろ幕営地を決めなければならない。 今回は記録がない左俣・右沢を進むが、一度右沢の出合を過ぎて幕営地を探す。
WEBで唯一トウヌシ沢の記録のあるブログでは、左俣左沢に奇跡的な幕営地があると記載されていて、その情報を信じた。
すると記録通り、右沢の出合を過ぎた先の左岸がちょっとした台地になっていた。よかったぁ〜!
薪が集まるか心配だったが、鶏さんがどこからか大量の薪を集めて十分な量になった。
準備は整った!あとは宴会をおっぱじめるだけ! 肉におでんにポテト、信じられないくらいのご馳走が大量に振る舞われた。 今日も最高の1日だった〜 明日は記録未見のトウヌシ沢右俣左沢だ。果たしてどんな沢が待っているのだろうか、ワクワクしながら眠りについた・・
9/28 Co1020幕営地(6:40)-稜線(9:30)-日暮沢小屋(13:40)
翌朝、朝からど快晴だ! 早速テン場からちょっと戻って右沢に入る。右沢は6mの滝で出合い、少し進むと早速連瀑がスタート。チムニー状の多段滝、激狭CS潜りなどアクロバティックな動きを多用して超えていく。
いよいよ開けてくると多段100mの右沢大滝だ。3段で向きを変えて落ちるため一度に全景は拝めないが、非常に心地よい空間。
中段は傾斜の緩いナメ滝で左岸側が草地になっている。ここで景色を楽しみながら一服。
上段は、それだけで50mくらいはありそうだ。落口がスリットゴルジュとなっていて、高巻きとなるのは明白。
モーリーさんは右壁が登れそうだと言っていて、高巻きに後ろ髪を引かれているようだった。 右岸の草津き斜面から高巻く。
案外快適な高巻きで落口の高さまで到達。 落口上のスリットゴルジュの中は5m滝が落ちており、すぐ河原になっている。 滝上はいきなり源頭の雰囲気で、遥か先寒江山の稜線まで見通せる。
時取り小滝の連瀑があるが、難所はもうなくひたひたと詰める。最後は急傾斜のザレを注意深く登り切り、藪を一漕ぎで登山道に飛び出した。
風に揺れる草紅葉が美しい。 彼方まで続く稜線を見ながら休んでいると女性2人ptが鶏さんに声をかけた。
振り返ると、cheeさんとkeimomoさんだった。4年前にも朝日でお会いしている二人、あの時は水がなくなり困っていたところに水を恵んでもらったのだった。 全員知り合い同士で和やかに会話したあと朝日の避難小屋へ向かった。
避難小屋でゆっくりしたあと、日暮沢小屋へいつもの下山。途中で朝日連峰の主である矢作さんという方とスライドした。
最後にいろんな人との出会いもあり、この沢旅はより一層の深みを増した。
トウヌシ沢は寒河江川の流域ではトップクラスに険しい沢だろうと思う。しかし、遡行内容も景観も抜きん出ており、流域を代表する超名渓だった。下山は長いが、それでも価値ある朝日至高の一本である。オツボ沢に続き会心の一山行となった。
モーリーさん、鶏さん今回もありがとうございました!










































