原生流域! 栃ヶ森山塊で沢旅
2020.7.23-24
今年の7月連休は4連休と期待大だったが…
ご存知の通り梅雨前線が列島を覆い関東甲信越地方は全滅、計画していた沢旅は無念の頓挫
悔しがっても仕方がなく、前向きにどこか行こうと、天気予報を見ていると北東北にわずかな望みがあった。
↓M氏作成の動画です、是非ご覧下さい
関東・中部から計画メンバー全員を招集するのは難しいので、フッ軽のM氏に新幹線で仙台来いやと連絡するとすぐにやってきた(笑)
南八甲田、八幡平、栗駒周辺…どこも多少の雨は避けられなさそうな条件だった。それなら本命はまたの機会にして、私が密かに狙っていた「栃ヶ森山塊」行こう決めた。
栃ヶ森山塊(桑原山塊)は栗駒の北に位置し、焼石連峰と栗駒に挟まれた標高1200mに満たない低山群だ。
しかし侮れないのが日本の低山、ここの山は新潟の下田・川内と同様に全くと言っていいレベルに登山道が整備されていない「秘境の山域」。
そして流域周辺の開発がない「原生流域」なのである。
しかし、手付かずの自然が残る美しい山域にも開発の手が迫っており、山域の中核を流れる成瀬川に巨大ダム「成瀬ダム」が建設中なのだ。
成瀬ダムは2024年竣工予定で、4年後には成瀬川上流の「原生流域」たる北ノ俣沢、合ノ俣沢、木賊沢の中流部はダム湖に沈み、上流へのアクセスは不能となってしまう。
流石に上流部までは湛水しないので、ある意味では立入りようがない完全な秘境が出来上がるのだが、ダム湖に沈む前にこの「栃ヶ森山塊」の自然を目に焼き付けておこうと考えていた。
7/23
7:00 大型ダンプの騒音や発破の爆音がひっきりなしに聞こえる展望台に駐車した。
夢仙人大橋の脇の小道から木賊沢に降り立ち、少し下降すると北ノ俣沢に合流した。
北ノ俣沢には朽ちた吊り橋がダム湖に沈むその時を静かに待っていた。
北ノ俣沢は水量豊富で、原生流域の名の通り、水が澄んでいて綺麗だ。
少し目障りなのは釣り師の残置類(ロープやサンダル) この流域は沢登りというより渓流釣りのフィールドとして認知されているようだ。
時には残置に頼る場面もあったので、有り難いっちゃありがたいのだが サンダルや不必要なフィックスロープの残置はいささか不愉快だ。
天気は曇りで時折雨がササー…と降る感じ。 ま、こんなもんでしょ、顕著なゴルジュもないはずだから大丈夫。
多少ゴルジュっぽい場面には釣り師のロープが巻かれていた。
そういえば、この沢はヌメリがかなり強いのでフェルトソールが良いでしょう。
9:15 桑木沢と唐松沢の二俣に到着。
今回は桑木沢を遡行しco680の二俣を右に入りco770奥の二俣あたりで幕営
奥の二俣は右手に入って下鉢山とP1056の中間コルから唐松沢に降りそのまま下降する という周回とした。
桑原沢をテクテク歩いていると端正な姿の滝に出会った。5mほどだが美しい滝だ。
休憩も兼ね、M氏に釣りしたら?と提案。
すぐになかなかのサイズのイワナが釣れた、尺というのだろうか? この先もだいぶ歩くのでリリースした。
元気に泳ぎ帰って行った。
大岩
カマクラの滝でも竿を出したが釣れず… この辺りからお日様が出てきた。
やはり、晴れに限る
エメラルドグリーンにただただ癒される…
川幅いっぱいに落ちる滝、通称ミニナイアガラ 桑木沢の代表的な景観の一つだ。
ここでも釣れた。
晩飯ようにいただくことにする。
その後も何度か釣れるものの針を飲ましたり、仕掛けごとバレたりしてしまう。 上達が望まれる。
穴滝でも釣れた。ありがたくいただく。
徐々に源流の雰囲気になり、ナメや小滝が美しくなってきた。
14:00 co680 二俣は両サイド滝になり、一つの釜に合流するというなかなかの演出に息を飲んだ。
我々が進む右俣は2段15m、左俣はよく見えないが8mくらいか。左俣から小出川(おいで)につなぐ旅もさぞいいだろう…
その場合は2泊となるだろうか。
この淵でも竿を出すと、本日最大の大物がかかった。
デケェ… 美しいイワナ 頂きます…
両門の滝を左岸の泥ルンゼから巻いて、右俣の上流を目指す。 そこはナメが続いていた。
なかなか幕営適地が見つからず、わずかな河原のあるco740付近を整地した。
15:30 設営完了
薪が少なく、焚き火はお預けだったが、渓の恵みを美味しくいただいた
夜、心配した雨は降らなかった。
7/24
6:00スタート
正面に2段20m級の滝が現れた、下段は右から 上段は右の水流沿いを登れた。
朝からずぶ濡れである…
この滝の上流、co830付近には非常に良いテン場適地があるので、余裕があればそこまで進むといいかもしれない。
いよいよ水流もかなり細り、詰め 多少のルーファイミスがあったが概ね順調にコルに出た。
8:15 コル 左の見切れているのが上鉢山(1157m)、正面奥が石滝山(1144m)、右が松ノ平山(1169m)
ここから激ヤブ(沢型ではあるが、ずっとヤブっぽい)を1時間ほど降りて唐松沢を目指す。
9:10 唐松沢到着 沢を少し下ると2段10m級の滝があり、古い残置スリングでは心許ないので捨て縄を追加して懸垂した。
しばらくはゴロゴロゴーロ主体だが、唐松沢も美しいナメの区間があり、十分楽しめる。
2段15mの滝は左岸から下った。30mロープあれば懸垂一回で下れる。
この滝の上段には深く大きな釜があった!
唐松沢は釣り師の出入りも少ないのか、残置物は少なかった。
いい水路もありました〜
この水路はひときわ美しい。
確か13時ごろには桑木沢との出会いに戻ってきた。
ここからは往路と同じく、北ノ俣沢を下って行く。
ゴルジュは泳ぎ流される(笑) これ定番
15時過ぎに展望台に戻り、1泊充実の沢旅が完結した。
北ノ俣沢を二分する桑木沢、唐松沢どちらも原生流域というだけあり、豊かな水と沢山の生命が息づく場所であった。
成瀬ダムの完成に伴い、北ノ俣沢流域の中流は湖に沈んでしまう事が惜しまれるが、そうなる前に目に焼き付け、こうして記録を残せることに喜びを感じる。
機会があれば、木賊沢、合ノ俣沢も見たい。
山域の西側にある小出川流域と繋ぐのも面白そうだ。興味は絶えない。
M氏お疲れ様でした。
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