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2021-09-26

水無川 真沢・祓川 〜恋い焦がれた渓谷〜①

2021.9.25~26

沢登りを嗜む方は誰しも、恋い焦がれ熱い想いを寄せる渓谷がそれぞれあるはず。自分はそんな渓谷が10本ぐらいある(笑)

そのうちの一つ、今年の大目標の一つだった水無川・真沢 ついに念願叶って仲間と訪れることができた…!

越後三山はまずもって神聖な雰囲気が他の山とは違う、魚沼の町から、関越道から嫌でも見える越後駒ヶ岳・中ノ岳・八海山の勇姿は岳人ならずとも感銘を受けることと思う。

そんな越後三山のいずれもを集水域に持つ川が水無川だ 水無川といえば越後三山の沢でもずば抜けて全国的に知られるのがオツルミズ沢だろう。そして水無川の本流筋にあたる真沢もまた日本有数のスケールを持つ大渓谷!

水量的には北沢の方が水無川の本流なんじゃないかと思っているが、真沢には50mを越す巨瀑がいくつもかかり、それらを超えた先には三山最高峰の中ノ岳へ詰め上がる いや〜行きたかった!ずっと行ってみたかったんですよ

昨年北ノ又川本流から中ノ岳へ詰めたときに、次は真沢からだなって思ってたんですね。 そして天竺沢やオジカ沢で高巻きと大きな滝の登りに慣れておいて、いよいよ本番って考えてたんです、無理言って土曜の休みもらって整ったって訳でした。

9.25

でも新庄での仕事終わりに魚沼行くのは本当に…本当に遠い 新庄で仕事終わったら仙台の会社に戻って事務作業して、家戻って10分で準備して…

十字峡に着いたのは何時だったか、2時間くらいは寝れたかな?4時半ぐらいにM氏と渓たそと合流し、十二平登山口の駐車場へ。準備整ったのは6時前

さて出発だ〜! 十二平の登山道を分けて、林道を直進するとスリット堰堤があり、そこから入渓 堰堤は右巻き。

堰堤を越えると笹花沢が見える
  

堰堤を超えると右手から笹花沢がスラブの滝として出会う。水量は少ないが見上げる限り滝が続き楽しそうな沢である。もっさり歩いているとデトノアイソメ

今年は雪渓が皆無、そこかしこから出合う支流にも雪渓は見当たらない。少し歩くと「暗峡」と名のついた小淵 砂利で埋まり膝程度の推進しかなかった。

ゴルジュの入り口
高巻き途中に見える

いよいよ両岸が迫ってきて、多少滝が現れ始める そしてついに冷気を放つ大ゴルジュに突入 すぐ先にはやばい感じの滝があり、もうもうと冷気を放つ雪渓が控えている。 左岸から入る枝沢のルンゼから高巻き開始 ヌメリは少なかったが、全体的に逆層?っぽくて微妙に登りづらい。

しばらく登っていくと、明らかな滝があり その手前に踏み跡を発見、それも割と明瞭であり、最初のうちは踏み跡をトレースする感じで順調だった。

途中からニラと岩の高巻きになり、微妙にラインがわからない 足元には分厚い雪渓のクレバスが漆黒を覗かせておりビビる!

なんとか御月山沢まで来ると、下降用のスリング発見 50mダブルで懸垂し下で待っていると50cmぐらいの落石がゴロンゴロンと転がってくるではないか!!

とっさに岩棚に隠れ頭を隠すと、落石は方向を変え崖の底に消えていった… こっわ…!

御月山沢を横断し、再度トラバース開始 ここも踏み跡っぽくなっており、ラインに困惑することはなかった。

明らかに沢が近づいたところで、潅木にかかった残置スリングを発見し、20mの懸垂で沢床に復帰した。

ふぅ〜〜。。。

大ハマりはしなかったが大体2hぐらいかかったか…

西沢出合、奥に関門の滝が見える
ここから懸垂するも、まだゴルジュだった…

すぐに沢は大きく開け西沢が右岸から出合うと、先の方に関門の滝がチラチラ見えている。

この先には登れない滝があり、 西沢出合の中間尾根から高巻きに入る。 この辺はやや分かりづらいようでいて、やっぱり意外と踏み跡はある。

灌木が邪魔で沢の状況がよくわからないが、渓たそが残置みっけ!!と見つけたものは腐ったボロボロの残置スリング1本

「ん?ここかな〜」

割と出入りのある沢なので、スリングは新しいものが巻いてあるはず…と懐疑的ながらも まずは自分が懸垂で偵察しにいく

「あっ!! まだゴルジュだ!」

沢がよく見える位置まで下降すると、先に10mぐらいの滝が確認できた やっぱりまだ早かったようだ。

まだ先だわ〜と戻るとみんな面倒くさそうな顔をしていた(笑) ごっちゃになったロープを薮の中で整理し、再度高巻き開始。

潅木の薮からもう一度ニラ斜面を登り、また潅木に入ると…ありました! 何個かスリングが巻かれた木を発見!

ここで斜め懸垂し、先ほど見えた10m滝の真上に降りれば高巻きパート完了〜

ここまでの高巻きパートをいかに素早く済ますかが大事なんだろうと思う。記録をいくつも予習し、何度もイメトレしたがやっぱりそれなりに時間がかかってしまった。

ちなみにサワグルイさん+yutaさんの記録は早すぎて、タイム的な参考にはならなかったw

関門の滝 屏風のような岩盤が眩しい
側壁の基部から滝下に降りてみる

うぉ!!いよいよ見えてきた最初の大滝「関門の滝」美しく乱れない直瀑だ そこは越後らしく剥き出しの岩盤が荒々しさを際立たせている。

自分らはできるだけ沢の景色を楽しみたいので、滝の直下まで下って大休止。滝直下は程よいミストが充満し、非常に心地よい!

滝下から仰ぐ
迫力のある側壁

ささやかな虹のご褒美も頂きカメラを構えれば大迫力! 強固な岩盤を穿つ一直線の滝が迫り来る勢いだ!

自分は滝屋なので、沢登りでしかこれない関門の滝に謁見でき感激だ! じっくりと楽しんだら、左壁を登っていく。乾いた硬い岩でぐんぐんフリーで登れるが、最後の7.8mだけちょっと細かくなり、下を見ると恐ろしい高さ…

「ヒェッ…!」と漫画の一幕のような声が出てしまい、足が竦む。

…ヒモっっ!!と叫ぶと、どこからともなくお助け紐が私の前にぽろんと落ちてきた!! 有難や有難やと紐を握ると不思議なことに体重をかけずとも登ることができた。

関門の滝の登りは高度感がある…
バンドから滝上へ

最後は安定したバンドをトラバースすると、関門の滝落ち口に到着〜 その先にはすぐに「逆くの字滝」があり、取り付きから2mほどが小悪い。

当パーティの登攀番長M氏に先行してもらい、後続はヒモる すると頭上から大量のギアが降ってきた!!

うぁ〜!なんだぁ?? どうやら渓たそのハーネスのギアラックが千切れ、そこにかかっていたギアが落下してきたようだ。

逆くの字滝 出だしが難しい
下段を横断し、上段は左壁から登る

何か忘れたが、たまたま一つだけ落下中に受け止めたが、スリングカラビナとATCが落ちて流れてしまったようだ…

渓たそはビレイデバイスを2つ常備しているので大きな支障にはならなかったが、ギアラックが千切れるなんてことがあるとは衝撃的だった。

たまには磨耗具合とか確認しておかないと、場合によっては「詰み」となるような事態だ…

逆くの字滝は途中横断し、上段は左壁を登る。 乾いていて快適だった!

10m級の滝 右壁直登
ミニゴルジュ最初の滝 

この辺は滝が密集しており、10m前後の滝は右壁から登る。 ヌメリそうな見た目に反してヌメリはかなり少ない。

続く小ゴルジュ、ヘツリは簡単だが抜け口が微妙なので、頑張ることなくヒモる。

ミニゴルジュ2つ目の滝
広大な空間の大ナメ

続く小滝は左壁からの離陸がちょろっと難しいが、水中に立てる石があった。これを超えると、いよいよ大空間が広がる。

前座の20mナメ滝 これだけでも激美! ついついカメラを取り出して写真を取ってしまう

大ナメ滝の先には幣ノ滝が見えてきた!
大ナメの上段にあるまんまるい釜

ナメ滝の先には既に巨体を隠せないでいる「幣の滝」が見えている。 ナメの上にはまん丸の釜があり、2人は非常に喜んでいた(笑)

いよいよ待ちに待った対面の時が…

いよいよ北沢出合に到着!
圧巻の大スケール!!

でん!ううううおおおおおっ〜!出た〜

日本最大規模の両門の滝「北沢大滝」&「幣の滝」 うひゃ〜! 想像を絶するスケールに頭が真っ白!

これが見たかったんですわ!これよこれ!

北沢大滝は3段の巨大ナメ滝で100m、右手の真沢にかかる幣の滝は150mという規格外のスケール。

ちなみに「幣」とはこれのことらしい。上流に「祓」川もあるので、やはり古よりここは神聖な場所なのでしょう。

左が北沢大滝、右が真沢の幣ノ滝
幣ノ滝を登る

本当に沢登りしててよかった!と思いましたね まさかここにこれるなんて…仲間に感謝しかありません…

渓たそはしみじみと滝を眺めている。渓たそは故ひろたさんの大ファンだ。「その空の下で。。。」のページトップにも使われている幣の滝。

幾多の沢を遡行してきたひろたさんにとってもこの景色は心に残ったのだろう…

。。さて、いつまでも浸っていられず、今日は最低限この幣の滝は超えておきたい所。

早速、取り付くと水流右は傾斜も緩く、どんどん登っていける。 渓たそとM氏はなぜかヌメリのある水流中を歩いている。

2/3ほど登ると、大きなテラス状になっていて、そこから先の水流右は傾斜がきつくなるため、右岸側へ横断する。 面倒だったのでロープは出さず、各自適当に横断し、最後は潅木帯へ入る。懸念したヌメリはそれほど強くなかった。

大きなテラスから、水流を左へ横断する
幣ノ滝の落ち口

幣の滝を超えたタイミングで16時台といい時間になり、いくつかナメ滝を超えると巨岩ゴーロ帯となった。

ここでかなりフラットな大岩を発見し、近くには薪もたくさん。ここで決まりだねってことで無事に1日目を終えることができた。

ゴロゴロの岩の中にフラットな岩を発見
薪は大量に集まった!

深い山中だがなぜか電波がよく通じ、明日の天気を見たりSNSを見て過ごす。 遠くには魚沼の夜景がちょろっと見えている。

真沢で迎える夜…素晴らしい多幸感だ…  すごかったな〜と余韻に浸る。焚き火はこの想いに呼応するかのごとく高々と燃える。

M氏と渓たその持ち込んだ少量の酒を飲みまわして最高の真沢初日を終えたのだった。

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