見附川 見附荒沢
2022.9.25
9月2発目の三連休 計画していた2泊の沢旅は最悪の天気予報とともに瓦解 結局、金土で仕事も入り日曜に1日を葛見さわさんと沢探しに行くことになった。
朝日連峰で日帰り沢を探している時、目に入ったのが見附川下部の支流である見附荒沢 沢名や地形図からも険しそうな沢である想像がつく 天狗角力取山に詰めあげることも良いルートに見えた。記録はわずかにチームバンジーズの簡単なもの以外ネットでは確認できなかった。
わずかな記録から立派な滝もありそうだし、なんだか楽しそうだね 色々と魅力的な沢に感じて葛見さわさんに打診 記録が少なく、出たとこ勝負の沢でも葛見さわさんは快諾してくれた
ここは車2台戦法で、一台はバカ平と呼ばれる大井沢川の登山口にデポ もう一台は見附川の林道へ進んだ。
見附川の林道は舗装路が続き奥まで車で入れた、破線のところから歩くもすぐに林道は消失 川のほとりを歩くことにする。
奥には雄大な朝日連峰の主稜線が見える
河原歩き10分ほどで左岸から出合うのが見附荒沢 入ってしばらくは平凡な渓相だが、しばらくするとコンスタントに滝や小ナメが続くようになってきた。
水の色は、会越で見るようなイエロー系 小粒な滝が高頻度で出てきて、まだ序盤だけれどこれはあたり沢かなという印象
左岸から枝沢が綺麗な15m滝となって注ぐところからしばらくすると、右岸側壁がブッ立ち始め何かある予感
結果的に特別何科あったわけじゃないけど、明るい20m級のナメ滝が現れたりとかなりの好感触 これは素晴らしい沢なのかもしれない…という予感
右岸がハングした見ごたえのある景観を過ぎたところにある7m滝は小難しく、シャワーの通過ができなかったので、左岸から灌木を使って無理やり小さく巻いたが、握っている枝が今にも根ごと剥がれそうなものでヒヤリとした。滝の上に出たら後続はスリングでごぼうで登ってもらった。 落ち着いたかなという頃に正面に200mはありそうな嵓が現れた! これはまた何かの存在を示唆するような立派なものだ。やっぱりというところか、沢が左曲するところで見えたのは3段で40mはあろうかというド迫力の大滝!
嵓に囲まれた威圧的な地形の中落ちる大滝はとても優美なもので、これはこんな山奥じゃなかったら名瀑間違いなしだ!
下段は右から容易に登ると、さらに素晴らしい空間! 右岸側は広い岩畳になっていて滝を見ながら存分にくつろぐことができる!
この滝は地形からも簡単に巻くことができる滝ではないので、直登の可能性を探り中段を登り、上段直下を横断して左岸バンドから偵察する 上段の真ん中あたりに4mほど垂直に近いフェースがあり、ホールドはあることはあるが支点も取れそうになく、何より高度感に日和ってしまった。滝下までクライムダウンで戻って右岸の高い位置にあるバンドから巻くことに。
これはチームバンジーズの記録と同じだと思う。だけども、バンドまで行くのがこれまた大変だった。染み出しの枝沢からバンドを目指し35mほど登るが、チェンスパでも厳しい草つきの登りとなり、草もまたイタドリと伸びきったウルイしかない箇所が続き苦痛系 途中かなり際どい露岩の一手があり、後続にはロープを出した 顕著なバンドからは灌木が生えて安定しているが万が一があると終わりなのでバンドのトラバースで2Pロープを出した。巻き始めから1時間ほどかけてようやく40m滝をパスした。
その先にも滝は続くが、通過に苦労した記憶はない Co840の二俣が迫るころ やたらと狭窄された地形となる ここはへつれると思うけど葛見さわさんが無心で泳いで行ったので泳いで追っていく 沢幅は1mにまで窄まる 3mの滝は問題なくその先にある7m滝 これは苦労しそうだなと思ったらこれは右俣にかかる滝で、本流は右岸の岩に隠れてほぼ見えない状態で合流していた。
左の本流へ入るとここは小滝が続き、一癖のあるものが多い その後、ゴーロとなり暫し平凡
Co860の二俣までは少しの間平凡である 中俣と本流の左俣を分かつと先には連瀑があり、これを右岸から巻き始めるとこの連瀑が想像以上に続いていることが判明しめんどくさい藪漕ぎをしばらこなして沢に戻ると、、 また滝 これも登れない、巻くとまたまた滝…という具合で登れる形状じゃない滝が矢継ぎ早に連続していちいちの高巻きに苦しめられる。
Co1070mまでは登れない滝が大量に連続し体力をごっそり持っていかれる。
次から次へと現れる滝にもうげんなりしてきてしまった。 本当に高巻きばかりでその高巻きもひとつひとつそこそこめんどくさい 二人の不満が極限まで達した頃、Co1070mから始まるゴルジュに当たる ゴルジュの入り口は2段14m 下段は簡単に登れたが、上段の8mチムニーが登りづらく 結局クライムダウンして戻り左岸のルンゼから巻くことに。
最初はこの2段滝で終わりかと思ったが、沢を覗くとその滝も細くて深いゴルジュが続き、目視できる範囲で3つぐらい10m級の登れそうにない滝が連続している… 思った以上にすごいゴルジュだ… 左岸の高巻きを継続する 際どい箇所はないが、藪がかなり五月蝿い巻きだった。 この滝巻きで2人の体力ゲージはほぼゼロに
ここで葛見さわさんが衝撃の一言
「あれ。俺って車の鍵持ってなくてイイんすよね?」
「…へ?」
葛見さわさんが何を言っているのか一瞬理解不能であった。下山口に置いてあるのは葛見さわさんの車だ、鍵はどうしたって必要だろう。 葛見さわさんは鍵を俺の車の中に忘れたことに気がついた時、地獄のように続く高巻きの疲労からか、その真実を受け入れることができず、記憶を改竄してしまったようだった。その後も必死にキーを探すもどうやら俺の車に忘れたようだ。まぁどうにかなるでしょう、とまぁ 先ずはこの沢を抜けましょう という一幕があった。(確か遠い昔、光来出行った時、俺も同じことしたな〜)
その後もいくつかの滝をこなすと、正面にボスのような存在感を示す大滝が! 2段で50mくらいはあるだろうか? 水は少ないが雰囲気のある大滝だった。 下段は流水右からややアクロバティックな動きで越える 上段は登れるようだが、いまいちラインが釈然としないため、右岸の枝沢から巻くことに 草つきを横断し比較的簡単に巻くことができた。
これで滝は流石に終わりだろうと思ったが大間違い、ちょい悪の滝が連続し二人は半ギレ状態で進む 葛見さわさんは二重苦に悶えている様子だ。
面倒な滝は結構続き、いよいよ稜線間近で笹薮が覆いかぶさる感じに 無心で進むとやっと天狗小屋に抜けれた!
葛見さわさんはすかさずタクシーにTEL わざわざ来てくださるようで一安心 楽しみにしていた眺望は残念ながらガスでほぼ見えない 山頂で写真を撮って下山開始 途中わずかな雲の切れ目から障子ヶ岳が望めた 大井沢川の支流には未だに雪渓が詰まっているのが見える 中先沢の先に広がる南面スラブに想いを寄せて2時間少々で下山 無事にタクシーは待っていてくれました!
見附荒沢は最近の中では一番ハードな沢でした! 中盤以降の高巻きの連続には疲れ果て言葉も出ません 苦労しますが、朝日にあって、山頂を踏める日帰り沢は貴重な一本だと思います。
葛見さわさんお付き合いいただきありがとうございます。 諸々と御愁傷様でございました笑! 全ては屋久島の沢の練習だと思ってくださいね!