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2022-10-09

大倉川 笹木沢

2022.10.8-9

東北の沢の中でも人気なルートである大倉川の笹木沢 

自分の住む仙台市青葉区にある沢で、近い故になかなかいく機会を失っていた沢 笹木沢には鎧滝という滝屋界隈にも知られる名瀑があり、以前からこの鎧滝を狙っていた葛見さわさんとともに行くことにした。

実はこの週末は本シーズン最後の大物として朝日の荒川を狙っていたが、パートナーが体調不良に陥り計画が流れた。 朝晩は非常に冷え込むことが予想されて近場で、標高も大して高くないこの沢が浮上した。

船形山観音寺コース登山口に車を止めてスタート。メチャクチャ寒い

ここで歩きやすい登山道を行き、仙台カゴを過ぎたあたりから沢に下降しようとしたところ、自分は重大な勘違いをしていることを葛見さわさんに指摘される 

仙台カゴの南を流れる沢がてっきり下降する鬼口沢だと思っていたら、なんとこれこそが笹木沢で、船形山の山頂直下から流れる沢が下降する鬼口沢なんだという… 完全に逆だと思っており、笹木沢を詰めると僅かで船形山の山頂に出れると思っていたが。 まさかの逆!!

ぶっちゃけこうなるとルートとして全く美しくなく、どう考えても笹木沢を下降して、鬼口沢を遡行して船形山に詰めるのが自然だと思う… 完全な勘違いから始まり、これはもう笹木沢下降でもいいんじゃないかと思ったが、葛見さわさんが「普通に計画通り鬼口沢下りましょう」と至極真っ当な一言。 はい、そうしましょう

鬼口沢下降までは遠く、わざわざ山頂直下の1254北のコルまで進んだ 1071あたりから強引に下れそうだけど…

藪漕ぎ数分で沢型に入り 異常なまでにヌメる沢下降が開始 ヌメりまくって、全くスピードが出ない 過去最悪レベルに下降し辛い沢だ。 鬼口沢はとにかく単調 ヌメって転けて…それを繰り返す辛抱の時間だった。

鬼口沢 12m滝の懸垂下降
ヌメりに注意し下降する

ロープを出して懸垂下降した12m滝は目に入る全ての捨て縄は論外で持参した捨て縄を使って下降 その後もヌメリと格闘して小滝はクライムダウンで下降して行く。

左岸のすだれ滝
V字ではある渓相

また、特徴的とされるV字谷だが、形成する岩が風化した脆弱な凝灰岩であり美しさは皆無 これは岩盤というより土砂に近い 一応V字谷は随分長いこと続くのでこの鬼口沢の見所となっているようだが、河床は概してゴーロであり、個人的にはこれと言った感想もなく淡々と下降をこなした。

イワナがたくさんいて、これは釣りができる時期に来るべきだったと痛感する

708で赤倉沢が左岸から出合うと水量は格段に増える、そしてそれまで澄み切っていた水はやや濁り気味に変わった(濁るものの飲める)

上沼沢が出合うと広いゴーロとなり、各所に幕営適地が見られる。 疲れてしまい、今日はここで終了

高いソウセイジ
焚き火して恋バナします 

朝の勘違いから始まり、沢は想像してたものと違い、寒さも相まってなんともしっくりとこない心境だったが、抜群の焚き火と用意した美味い飯、酒でやればそんな感情は霧散する 葛見さわさんとはポムチムの恋愛話(失恋)で盛り上がった気がする 

まぁまぁ飲んで何話したか覚えてないかも

翌朝、適当に起きて 相変わらず鬼口沢を下降する 笹木沢出合いが近づくとゴルジュになる 一見濡れそうだが、ひざ下までしか濡れないで通過 出口の13m級滝は左岸の立木を使って懸垂下降 21〜3m程度の高さはあったと思う

滝はなかなか見事で、周囲のゴルジュも高くそびえ雰囲気はある 空間的には後述の鎧滝よりも強い力を感じた

ゴルジュの滝
笹木沢はナメと小滝が多い

13m級滝の下は30mほどの水路となり すぐ下流で笹木沢が出合う やっと笹木沢だよ 長かった〜

笹木沢は小滝から始まり 開けるとナメが展開 ナメの少なかった鬼口沢とはえらい違う渓相だ。 しかしながら残念すぎることに随所に倒木の巨塊が目立ってしまう これは近年の気象傾向等からどうしようもないことなのかもしれない

ナメも長く続き美しい 確実な東北感を伴っている がしかし倒木の存在は無視できるものじゃなく 結局水枯れするまでこの倒木は各所にあったのだった…

中盤のナメ
ナメ長い!

ナメの距離は結構長く、短時間で随分な距離進んでしまう また、ナメのみならず適当な間隔で登れる滝、高巻く滝が出てきて退屈さは感じない 人気沢たる所以は間違いなく感じる

森が綺麗だ
7m滝 
これが鎧滝

沢がこれまでよりもぐっと狭まると、先には7m滝が出現 これは右壁を登る ヌメリをたわしングしながら細かいホールドで中間を超えれば落ち口は簡単だった。 すぐに今回の目玉である鎧滝

確かに、段をなす姿が鎧のようでもある ここは倒木もなく、ひらけた空間でとても魅力的な滝だった。 残念ながらあまりの寒さに長居できず、早々に鎧滝をパスすることに… 左を登り最後の5mが異常なヌメリを見せていたため、灌木から巻いた

鎧滝
鎧滝を登る葛見さわさん

鎧滝の上にも形の良い9m滝があり、やがて平凡なゴーロ 時々の小滝が中には小難しいものもあり絶妙だ。

9m滝
山毛欅林に溶け込む

最後は靄がかかる幻想的なブナ林に包まれ、程なくして昨日通った登山道に出た。

沢の位置すら特定できておらず、勘違いから始まった山行 色々と想像とは違った鬼口沢・笹木沢だったが、とても良い焚き火ができ実に有意義な休日だった・・  鬼口沢、笹木沢 どちらを遡行する?と聞かれるとやはり笹木沢を遡行する方が楽しいことには違いない。もし位置関係が逆であったら…なんて想像しても仕方がないことを思ってしまうのでした。 

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