黒部川 御前谷下部ショートコース
2024.6.16
ポムチム黒部デビュー?
御前谷は黒部ダムのすぐ下で黒部川と合流する沢で、黒部川流域で最もアプローチの良い近い沢の一つだと思われるが、、記録が非常に少ない。
昨年、大阪わらじの会シブ&コージさんらによる貴重な御前谷の記録を読み、天然石橋のかかる滝の存在を知りとても行きたく思っていた。しかし仙台から遠すぎる黒部の地、訪問は半ば諦めていた。
だが何の巡り合わせか、今自分は富山にいるのでこの好機を逃す訳にはいくまい。
御前谷は立山まで続く長大な沢ではあるが、見所は取水堰までの下部廊下だろう。上にも3段50m大滝があるようだが、そこまで行くと脱渓が面倒(一応見て引き返すのも可能だが…)なので、Co1530の右岸枝沢を使い送電線の巡視路へ抜けるショートルートを考案。
ポムチムの提案を怪しむけるかすを言いくるめて、白山の翌日は黒部ときた。 ポムチムは小1のとき祖母祖父と黒部ダムに来たが、それ以来の黒部ダムである。当然、黒部の沢は経験がなく、北アルプスという山域自体ほとんど踏み入ったことがない。
沢に行くというのに、扇沢発の電気バスに往復3200円払い、中国語の響く行列に並ぶというのは些か興醒めではあったが、御前谷はそれ以上の楽しさを与えてくれた。
黒部ダムからは黒部別山の堂々たる勇姿を拝み、ダム下へ向かう。まだ観光放水のシーズンでないため、渡渉も楽々 護岸された御前谷へ楽々入渓した。
御前谷はすぐに美しい渓相で迎えてくれる。眩い花崗岩に透明度の高い流水。 上流にはまだまだふんだんな雪渓があるのだろう、沢水は氷水のように冷たい。
しばらく歩くと早速雪渓が現れるが、幸い横を簡単に通過できる程度のものでなんら支障はない。
徐々に左岸側壁が立ち上がり始め、これまでにないスケール感となってきた。
御前谷は数多ある黒部の峻渓では目立たぬ存在だが、やはり黒部の渓なのである。
下部廊下に差し掛かると、ゴロジュの中にテンポよく小滝が現れる。 どれも岩は硬く、総じて快適だった。
下部廊下というにはちょっと大袈裟な表現かもしれないが、周囲のスケール感は一級。つまりお手軽に、黒部感を味わえる沢とも言える。
いよいよ左岸側壁が100m以上の大障壁となって聳え、廊下の突き当たりにはCS10m滝が塞ぐ。ここでロープを出して冷水をシャワーしながら超えていく。
と、ここでいきなり雨が本降りになってしまった。 お目当ての「御前の滝」はすぐそこ これはどうしても陽が当たった状態で見たいため、しばらく休憩をとる。
沢が90度左に折れるところには3段の御前の滝が堂々出現。ん〜名瀑!
御前の滝は3段30mと書かれていたが、倍くらいの落差はあるだろうと思う。下2段は右壁からフリーで直登する。振り返ると側壁の現実味のない規模感に唖然とする。
そして御前の滝最上段、これが見たかった! 天然石橋の圧倒的自然美!!
これまでこんなに美しい滝は数えるほどしか見たことがない! あまりに見事な石橋! どうしたらこんな造形になるのだろうか?
滝の規模も十分に大きく、本当に素晴らしい。 ヤマレコにポムチムが石橋に登った写真があるのでそちらもぜひ見てほしい。
自分は滝が好きで、一応滝屋も自称しているが、この石橋の滝は滝屋界隈でも知っている人はほとんどいないだろう。こんな素晴らしい滝に出会えたのも先人の記録があってのこと。記録を上げてくださったシブ&コージさんにこの場を借りて感謝したい。
石橋の上からはまるで壺に吸い込まれるかのような流れが印象的だった。
石橋の滝を左岸から巻いていくと、なんと取水堰堤が出現! こんなところに人工物があるとは驚いた!
堰堤から上流はこれまでの2倍以上の水量が流れており、すぐにどこまでも果てない大雪渓となった。
取水される前の水量ではこうも快適にこの景観を拝み事は叶わなかっただろう。皮肉にも人工物のおかげであの景色を見ることができたのだ。
取水堰周りにはなんとなく巡視路の名残のようなものがあったが、踏み跡は希薄でトレースすることは難しい。
計画通りCo1530の右岸枝沢を使いロープウェイ送電線の巡視路へ抜けた。ちなみにこの枝沢は意外と手こずる場面があった。
天気も悪いため、黒部平駅はとても静か。ロッジ黒四まで駆け足で下山してあっという間に黒部ダムへ戻ってきた。
ダムの遊歩路の途中では、あの取水堰へ行く地下通路を発見し、ダムへ注ぐ大量の水は御前谷で取水されたものだと考察した。利水の役目を終えても日本海へ注ぐまでこの水の旅は終わらないのだろう。
御前谷のショート周遊は半日コースながら見どころ多く黒部ダム観光もでき、黒部への一歩には最適な観光沢登りだった!特に御前の滝上段の石橋の滝は見事だった。 今日も楽しい1日だった〜
けるかす2日間遊んでくれてありがとうございました!
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