蛇谷支流 岩底谷左俣~赤石谷
2024.6.22
けるかすと初対面のりんたろうと3人で沢の予定だったが、けるかすは前日に発熱してしまい急遽りんたろうと2人での遡行となった。
今回はポムチムの要望で白山・蛇谷右岸のゴルジュ三兄弟の次男 岩底谷(かまそこ)に訪問することになった。
先週に引き続き、蛇谷流域だが美ナメの親谷とは対照的に蛇谷右岸支渓にはゴルジュの発達が顕著な沢が多い。上流からトークズレ、岩底、シリタカ、と3本の沢が代表的なゴルジュ沢である。
いずれの沢も面倒な縛りが多い白山ホワイトロード内にあるためか、WEBにおける記録は多くなく、やはり蛍雪会・天久さんの記録や富山起点さん、地元の沢屋のものがちらほらあるといった感じ。
岩底と書いて”かまそこ”なんともそそられるネーミングだね!
この沢は蛇谷出合いから始まるゴルジュが魅力の沢だという。岩底谷をそのまま詰めるとえらいところに行ってしまい尾根を挟んだ雄谷の方から長い下山となる。それは日帰りで抜けられるかもわからないし、そもそも車一台では不可能。したがってゴルジュを抜けたすぐに右岸から入る左俣を進み、尾根沿いにスーパー林道へ下山するようだ。だがそれも蛍雪会では一泊の行程。僕らには1日しかないため、すぐ隣の赤石谷(あかちだに)を下降するショートルートを計画した。
今回一緒するりんたろうとは今日が初対面だが、車の中では話が弾んだ。初対面とはいえ、5年くらい前ポムチムがツイッターをやってる頃、何度かやり取りをしていて当時彼がまだ大学生、こちらはまだ沢登りを始める前から互いを知っている。
会ってみて一番驚いたことは、りんたろうは相当な大男だったことだ!これは完全にゴルジャーッッ バキバキに引き締まった肉体と180cmを超える長身を存分に活かしてもらおう!
凄まじい切れ込みのシリタカ谷を通過して、岩底谷の正面の駐車スペースに停める。適当に斜面を降りて蛇谷へ降り立つ。岩底谷の出合いは早速12mぐらいの岩底の滝として出合う。
岩底の滝は厳しい見た目でなかなか迫力がある。左壁を登れるようだが、まだエンジンが全くかからない朝イチなので左岸の樹林から木登りで小さく高巻く。ここは素直に滝の落口に抜けれた。
さて岩底谷に潜入成功、そこはすでに美渓が広がり、沢初めのりんたろうはテンション爆発!
ちょっと進むと早速”岩底”谷の所以たるゴルジュが展開。これはもう誰がみても岩底だ!
水に浸かって狭いゴルジュを進む。先には6m滝が塞いでいる。
6m滝は釜を泳いで取り付けば直登できなくもなさそう、でも今はまだ6月で気温もそう高くない。ここは左壁のバンドから巻くことにする。ここでロープを出して登るが藁とボロ壁がいやらしい、でも残置ハーケンがあった。
間髪入れずに12mの斜瀑 ここはりんたろうがリードで登る。左壁はスタンスがあり岩も硬い。気持ちの良い滝登りが楽しめた。その後もトイ状の滝やナメが続き、岩底ゴルジュを堪能。次第にゴルジュは開けて明るくなってきた。
完全にゴルジュ感はなくなり、明るく快適な沢となった。やはり蛇谷の沢は良い!! 地元にこんな流域があったら毎週通いたいくらいの美渓っぷり。
特に美しい柱状節理の7m滝は、逆層の左壁節理をフリーで登ったが、手足ともにちょっと細かかった。
この先で完全に開けゴーロっぽくなる。岩底ゴルジュはとっても短いが密度の濃い綺麗なゴルジュだった。
Co820で進路の左俣が出合う。水量は1:4くらいで結構貧相だが、ナメや小滝が続き悪くない。
左俣をちょっと進むと、びっくりするような多段の連瀑となっており、全段の比高差は100m近くありそうだ。
最上部の方までは、水流左の草つきスラブから巻き気味に通過する。
連瀑のラスト2段は登れず、右岸の藪フェースから巻き登る。2ピッチでトラバースできる藪に入ったが、結構悪い巻きであった。適当なところから20mの懸垂下降で沢へ戻る。
ちょっとした雪渓やヌメヌメの小滝に苦戦する。綺麗な多段25m滝もロープを出して登攀。支点もとれていい感じだった。
またまた10m滝が現れるが、これは簡単に高巻いた。Co1100で右岸から入る枯れ沢を使って赤石谷へ乗越す。
幸いにして枯れ沢は尾根の直前まで流路スラブが続いて藪漕ぎはほぼなし、想定通りというか想定以上のいいルート取りに満足だ。赤石谷へは地形図以上に急勾配の藪で垂直木下りのような状態。
結構ばてながら赤石谷へ降り立つとすでに15時、あれ〜意外と時間食ってんな…
赤石谷の上流はごろごろゴーロだが、下降するにしたがい懸垂下降を要する滝が多くなってきた。
何度か懸垂下降で滝を降りていくと、延々とナメが続いている。これもまた凄いや〜
次から次へと滝が現れ懸垂下降を多用。ロープをしまう暇もない。こんなこともあるだろうとかなり多めに捨て縄を持ってきているけど不安になってくるレベル。そんなこんなで眼下にホワイトロードが見えてきた頃には16時を過ぎていてちょっと焦る。 あかん門限は18時だぞ、このペースだとギリ間に合わずタイムオーバーもあり得る。
でも冷静に考えて、ちょっと時間を過ぎたくらいなら詫びを入れれば出してくれそうだな。そう思ったら心持ちは穏やかになり、なんならナメを楽しむ余裕も出てきた。
そして最後は一際でかいナメ滝の上に立つ。これが赤石谷と蛇谷の出合いに当たる赤石の滝(三味線の滝)だ。
もうゴールは目前、ささ、最後の懸垂下降だねと準備していると…なんと対岸にパトロールカーが!それも2台も!?
パトロールカーについた拡声器から怒号が響く「そこで何している!?」
僕らは「沢登りしてます〜!」と返事した。仙台ナンバーはお前らの車か!?と聞かれ「そうです」と返事。
てっきりこのまま僕らが車に戻るまで待ってて、その後みっちり説教されるかと思ったら…スーッと帰ってしまった。あれれ??
赤石の滝はナメ含めて42mと大きく、50mロープを2本連結で懸垂下降した。これでフィニッシュ〜
やれやれ〜車に戻ったのは17:30危なかったぜ…
ホワイトロードを時間内に出て広いところで着替えていると、先ほどのパトロールカーと再び遭遇した。乗っていた人は全然優しい人で、沢の話を聞いてくれた。なお、沢に入る場合は沢登りする旨を車に書置きするか、事務所に一言欲しいと言われた。(特に厳しいことは言われなかった)今後はトラブルを避けるため言われた通りにしようと思った。
今回の相棒は初対面のりんたろう、常にニコニコしてハイテンションなりんたろうとは意気投合して終始楽しく遡行できた。
行程たったの5kmの日帰り沢でここまで濃密なのもそうない。結構ハード目ではあったが、原始的かつちょいピリ辛沢が好きであればおすすめのルートと言える。
残念ながら、今回熱で来れなかったけるかすと三人でまた沢登りをしたいねえ。
帰りに寄った比咩の湯は金沢工業大学の施設とのことだが全てにおいて素晴らしすぎる温泉 この付近に来たら必ず寄りたいっす◎
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