北ノ又川 芝沢・右岐沢
2023.9.2〜3
トマの風の記録は近年サーバーの関係か、一部の画像データが飛んでしまい、それらの沢の概要を窺い知ることが出来ない。
北ノ又川の最大支流である芝沢もそんな沢の一つで、左岐沢・右岐沢共にトマの風の記録しかネットに情報がないが、一体どんな沢なのかかなり謎である。
ガイド本では、登山体系に簡単に書かれたものと、上信越の谷105に紹介されているという。
今回は記録の少ない芝沢でも、距離が短く一泊で抜けられるという右岐沢へサワグルイの2人と実態調査しに行くことになった。
全くもって仙台から越後は遠い、高速でも5時間以上かかり片道5000円の高速代に加えて安くても180円/Lをこえるガソリン代はポムチムの沢ライフに甚大な影響を及ぼしている。。
その上、今年の9月中旬以降 磐越道の交通規制が激しくなるのでポムチムの越後ライフは茨の道が予想される(泣)
今のうちに大好きな越後へ行かなくては…!
と、いうことで今シーズン何度目かわからないシルバーラインを通って何回目かわからない白銀の湯でサワグルイと待ち合わせ。
なんとこの日の朝の気温は12度… これからあの水の冷たい北ノ又川に行くと思うとちょっと憂鬱…
越後住まいのサワグルイだが北ノ又川流域は初ということ。箱淵は完全に巻くつもりでいたが、いざそれを目の前にすると2人はなんだか突っ込みたそうな目で眺めている。
正直気が進まないが、いくー?と聞くとシュカさんが間髪入れずに特攻してしまった。 続いて泳ぐがやはり冷たくて寒い!!! 絶叫 半分溺れながら足がつくとこまできた。もう一生箱淵は泳ぎたくない
するとこんなゴルジュの最中で腐敗臭 周辺には死体もないため、側壁の上でなんか死んでるのだろうと思っていたが、しばらく鼻を突く腐敗臭は続く…
大釜の先を行こうとするとなんと巨大な鹿の死骸を貪っているクマの姿が! バッチリと目が合ってしまい、とっさに大声で威嚇するも、貴重な餌を前にクマも気が立っているのか、こちらに近づいてきて威嚇してくるではないか。幸い激しいゴルジュを挟んだ対岸なので川を渡っては来ない
3人で大声を出してしばらく経つと観念したのか、ゆっくり斜面を登って逃げていった。
クマがだいぶ先まで登ったのを見届けて進むが、巨大な鹿の腐乱死体が臭すぎるため、口で息を吸い 急ぎ足で先へ行く。
滝ハナ沢出合い付近でちょっと休憩して、その後も寒すぎる泳ぎを2.3こなすと芝沢出合いに到着。
芝沢はちょっとしたゴルジュで始まるが、概ね穏やかな渓相である。
右岸の湧き水地帯を超えると水量は結構減ってしまい、可愛いミニゴルジュ・ナメ床が広がっている。
徐々に越後らしい岩盤の発達した様子を見せ、厳しい箇所もなく快適なゴルジュを進んでいるうちに二俣へ到着した。
左岐沢の方が水量多く、正直そそられる雰囲気。 今回進む右岐沢は苔っぽい感じで出合から感じる魅力は左岐沢の方が圧倒的に上。
ここで左岐沢へ進みたい欲求が湧いてきてしまうが、そうした場合下山が恐ろしく遠くなってしまい、2泊の記録があったのでここは予定通り右岐沢へ進む。
出合いは8mのナメ滝から始まるがトマの記録にもある通り、ちょっとヌメっている。
その上にも間髪いれずに滝が続き多段40m規模である。その内の2段滝は登れないため、右岸の草付きから高巻いて続く小滝群は快適に直登した。
連瀑の最後は15m滝だが、左壁がホールド豊富でフリーで直登した。
この上はミニマムゴルジュでちょっとしたアトラクションを楽しめた
一旦、沢は開けて明るくなってちょっとのゴーロの先は小滝が連続するゴルジュへと誘われる。
通過にちょっと癖のある滝もあるが、序盤こそ快適にサクサクと進めて この沢はこんな風に快適なゴルジュが続いて最後はナメとかで、大した藪漕ぎもなく尾根まで行くんだろうなぁとか考えていた。
ポムチムの感じた幸せな予感と裏腹に沢は変貌していくのだった
まだまだ小滝ゴルジュはずっと続き、小さく巻いたり連携で登ったりしていく。
沢の屈曲が半端なくなった先には10m滝が落ちる 左壁に可能性を感じて泳いで滝に近くがホールドが甘く断念
戻った右壁が登れそうだったのでハーケンを打って登るが上部で支点が取れずに逡巡 一歩をえいっと乗り出して後続はボディビレイ
この辺りからかなり沢は険しくなってきて、ツルツル滑り台のようなトイ状の登れない滝が増えてきてしまった。
ツルツルの滝をいくつか小さく高巻くと、20m規模の大滝が行く手を塞ぐ。この滝は一見して登れそうには見えず、高巻きのルートを見渡すが両岸ともに険しくどちらへ巻こうとも難儀しそうだ。
灌木が近い左岸側へ進路を取るが、落ち着ける灌木帯へ行くまでかなり厳しいニラクラ。
逞しい灌木が生えるあたりでトラバースし、懸垂下降2ピッチで沢床に降りた。
降りた先はちょっとした河原だがまたすぐにゴルジュが始まる、とは言えこれまでより随分と柔らかい雰囲気。
ゴルジュの先はまた荒れた河原状になって、大量の薪が散乱している。正面にはまためんどくさそうなゴルジュがあって、この先に幕営適地があるかも怪しいので今日はここまでにした。
持て余したケーシたちが正面のゴルジュを偵察に行ってくれたが登れないようなので明日は巻きからスタート
その先にもでかい斜瀑が見えた。明日はどっちだ。
翌朝、素晴らしい晴れ 灼熱の下山となることは明らかだ…
テン場目の前のゴルジュは右から巻いていくが、ニラ力は相変わらず必要でそれなりに面倒。
奥に見えた斜瀑も登れない形状のため、一緒に高巻く 最後は竹藪の洗礼を受けて20m滝の上へ抜けた。
ここには最高の河原があって、雨が降らないのならベスト幕営地だろう。
だいぶ地形が緩んだかと思ったら、そうは問屋が卸さない 8m滝は右岸から高巻くがこれまたニラクラとなる。 この沢で問われるのは、そうニラ力 ニラに託す人生
90%は強靭なニラだが平べったいニラは掴んだ瞬間に千切れるクソニラなのでご注意を。この高巻きが最後の巻きだった。
荒涼とした渓相に不安を滲ませるが、続くCS滝は硬い岩で快適な登り やっと巻きから解放されて、気持ちよく標高を稼ぐ。
Co1500の二俣は右に進むも、すぐに水枯れ 駒の小屋まで耐えれる量の水を汲んだ。
草付きスラブで200m近く標高を上げて最後は20分間のヤブ格闘 身体中に擦り傷を刻んで天狗平付近の縦走路に飛び出した。
電波が通じたため、オツルミズ沢に登っているけいたそ、M氏ペアにライン するとちょうどエチコマの頂上付近で落ち合える感じだった。
灼熱の中を黙々と登山 水無川北沢を望むが、今年は2020年に並ぶ雪渓の少なさのようだ。
反対側の滝ハナ沢は凶悪な雪渓ブロックが詰まっているが、見えたのは通常登らない左俣らしい。右俣は良く見えなかった。
エチコマについて、オツルミズPTを待っているとサワグルイに挨拶している明らかに強そうな沢屋PT が山頂にきた。 大チョウナ沢に登っていたHGさんという方のパーティのようだ。ケーシは面識があるようでしばらく沢談義した。そこにけいたそ、M氏PTが到着 集合写真を撮ってもらった。
下山も長いので休憩もほどほどにして、残暑きびしい9月の昼下がり 銀山平へ下った。
・所感・
芝沢・右岐沢はポムチム的に結構じんわりとくる楽しみがあった沢だったけれど、一般的にお勧めできるかというと全くオススメはしない沢です。 越後の代名詞たる明るい大滝や長大なスラブ・ナメも少ないし、悪い巻きと小滝登攀の沢というもの。
しかし決して退屈な沢ではありません、巻きは本気だし小滝の登りも一筋縄ではいかない 渋め沢好きの玄人にはウケることでしょう。
芝沢はどちらかというと左岐沢の方が楽しいのかな? 左岐沢にも来年行きたくなってきました〜
サワグルイ、山頂でお会いしたみなさまありがとうございました!