大隅半島で辺クラ! 川口の滝登攀
2024.5.3
GW九州滞在3日目 この日は、tamoshima肝入り案件だった大隅半島の巨大海岸瀑の登攀となった。
tamoshima曰く、とある海岸瀑が南大隅町の海岸にあり、それは全く情報がない未登の大滝だという。
大滝登攀や辺境クライミングは全くの門外漢なのでふーんと聞き流していたが、九州滞在3日目 この海岸瀑へ調査に行く流れとなってしまった。
この海岸瀑はかなり辺鄙なところにある滝でアプローチも容易ではない。
アプローチには、南大隅町の海岸部の山沿い(?)を走る大中尾林道を行く。この林道はかなり荒れており、地元の林業関係・猟師かオフロードバイク愛好家しか立ち入らないような感じ。
レンタカーはスズキのスプラッシュ このスプラッシュ、林道は極めて不得手なタイプの車である。ハンドルを握るポムチム 何度か緊張する難所をやり過ごすと、明らかにこれ以上進めなくなり、路肩にスプラッシュを停めて歩いて向かう。
滝のある沢が最も近づく尾根を下降し、沢に降りる。尾根は常緑樹林であり下草も疎で歩きやすい。
沢は特に何もなく、下るに従い水流も増えてきた。特に何も支障はなく下降し続けていると…突然視界が開け眼前には太平洋が広がっている 足元はスッパリと切れ落ち海面までは遥か100m以上の高差がある
これが件の滝の落ち口。え!?これを懸垂下降で降りるの? 下を覗いてもいまいち滝の全貌は分からず
ただ、時折強風に煽られた落水が巻き上がる様が神秘的であった。
滝の左岸には樹木があり、最悪辿って戻って来れそうとtamoshima そう言い、50mの懸垂下降でスーっと降りて行った。 笛が鳴り、OKの合図 ポムチムが続く するとこの滝の概況が見渡せた。
この滝は大きく、2段となっていて間には僅かに河原がある。 今降っている上段は50mいっぱい降ってもまだ残っており、樹林帯から滝下に降り立った。
上段の滝は約60m 複雑な多段型で大仏のような存在感のある滝だ。
そしてさらに海岸線まで滝は続いている、10mの小滝を挟み 下段はどうなっているのか。
ギリギリまでtamoshimaが偵察し、まぁ..と、帰れる確信も特になくとりあえず行ってみることに…
下段は、上から見ると太平洋に直接落ち込んでいるように見えたが、実際は数m岩棚があり、今日みたいな時化た日でも波がかぶることはない。
下段の落差は約50m 上段と違い非常に複雑な層理をもつ岩盤、「地獄の門」とも言えるようなその迫力に気圧されるが、荒波に後ろずさることも許されず、もう生きて帰るには登るしかない。 しんがりのM氏も降ってきて いよいよをもってロープが引き抜かれた。
下段50mの登攀はM氏が担当、半分までは傾斜も緩くホールド豊富 孔食されたホールドが多く海岸ならではの不思議な登攀だ。 上部15mになると傾斜は急になり、厳しいシャワーを食う ワンポイントでアブミを使って見事突破だ! M氏の素晴らしい登攀に拍手!
続く10mの中段?はフォローのtamoshimaがそのまま登り、上段の前で作戦会議。
上段はかなり幅広の滝で出だしのルートは無数に取れそう、tamoshimaが選択したのは右岸沿いを登っていき、滝の腹を横断するルート。非常にヌメりが強いのか、たわしでしこたま岩を磨いてジリジリ進む。
下から見てて明らかに核心であるカロリーメイト状の岩盤部は見た目通り、非常に難しいムーブを要求される模様。
あぶみを使い越えていくが、半身を完全に空に投げ出す形となる リードは登攀力だけでなくかなりの精神力を要する。
カロリーメイト状岩盤を超え、15mを残し、ピッチを切った。またも素晴らしい登攀! tamoshimaに拍手!
ラスト15mはスラブからの下部がハングしており、滝身は登れない 左岸の藪と岩盤のコンタクトを登り完登!
未登で残されていた総落差120mの巨大海岸瀑を見事完登、この素晴らしい活動に立ち会えて光栄!
ポムチムは全てフィックス登攀だったがこの滝で疲れ果てた。一人トボトボとスプラッシュへと戻る。
二人はこの滝だけでは飽き足らず、また山を降って東側の沢を開拓するという(ウーゴエンコラの沢)…どんだけ体力あんだよ。
後日、地元への聞き込みでこの滝のある周辺は川口?カワグチ?と呼ばれるという情報にちなんで、川口の滝とした。