谷川 オジカ沢
2021.9.12
今年4月に異動した部署は土曜勤務が当たり前となっており、ほとんどが週1の日曜休みだ。
自分は山形県の田舎町で現場を抱えていて、土曜・祝日は平常運転なので連休はおろか、土日休みすら容易に取れない状況が6月から続いている。。
そんな自分の状況に合わせて、日曜の日帰り沢登りに付き合ってくれる仲間の存在はありがたい。
今回は昨年から行ってみたいと機会を伺っていた、谷川のオジカ沢へ行くことになった。
ちなみに、山形の田舎町から仕事終わりに水上へ行くのは容易でなく、新幹線で大宮まで行き、M車にピックしてもらうとことにした。
中ゴー尾根・いわお新道へ向かう登山口には2.3台停められるスペースがあり、まだ暗い5時前に谷川沿いの登山道を歩きはじめた。やや荒れ気味の登山道をいき、やがて登山道が崩壊ているところで沢沿いに上流へ向かう。
1時間少々で谷川本流との出合いに到着、足元をチェックすると無数の山ビルが貼り付いている。。 虫除けで引き剥がし、貧相な出会いを右手に進むとすぐにヒツゴー沢とオジカ沢の出会いにたどり着いた。
正直、どちらも水量が少なくパッとしないが、左手から出合うオジカ沢へ向かう。
少しの歩きで、いきなり最初の滝が出現。 ここはネタバレで、この先に続く2つくらいの滝とまとめて右岸巻きと予習済みだったのでチェンスパ履いて巻きに入る。踏み跡は明瞭で懸垂等もなく沢に降りられる。
沢に降り立つと、花崗岩の発達した見事な渓相が目を奪う。 手頃に登りやすい滝が続き、奥には谷川幕岩が大きく聳えている。
渓相としては下部の区間がとても綺麗だ、河原がほとんどなく小滝とナメの連続する 明るくて気分も盛り上がる!
個人的には最も好きなタイプの渓相 開けて明るい雰囲気に白い岩盤、要所要所に点在するナメと釜がとても嬉しい 素晴らしい!!!
小滝群は容易に超えることができ、乾いた花崗岩はラバー靴がフリクションバッチリ! 右曲するところにあるジグザグの2段7m滝は上段を軽いシャワーを交えて直登した。
その後も滝を2.3右に左に超えていくと、一際ひらけた区間となった ここが「広河原」だろう。 河原というか、花崗岩のナメで言葉にならない絶景だった。
雪の多く降った年だと10月を過ぎても雪渓の残る区間だ、今年は一片の雪渓もなかった。 奥には核心部となる40m大滝の姿がチラチラ見えている。
40m大滝の手前にあるいくつかの滝は、ラバーソールがバッチリで全く問題ない。
少し登りづらい滝を左手から巻き気味通過すると、40m滝へ続く連瀑が見渡せた。 ここから岩質が花崗岩から黒っぽい玄武岩?様に変わり、一気に急峻な渓谷となる。
オジカ沢は40m大滝から始まり、谷川屈指の連瀑帯を宿す。それゆえスピーディーな通過が求められる、滝の通過に手間取り下山遅れの記録を散見する 気合いを入れなければ…!
40m滝前衛の8m滝は乾いた右壁から登ると、圧巻の40m大滝 おお〜と思わず声が出てしまう 滝もすごいが、周りを取り囲む岩盤の迫力がハンパでない!
登攀ラインは右壁、水量が多いと下部が激シャワーになるらしいが、今回は多少のシャワーですみそうだ。
この滝は大きいが、見た感じなんとかなりそうなので、自分がリードすることに 下部は確かにヌメリ気があるが、時期柄そんなに強いヌメリでもなかった。
中間支点は取りづらく、浅打ちのハーケン一本で滝上に抜けた 自分で登れるくらいなので、ま、Ⅲ。慣れたパーティならロープもいらないんだろう。
ラインは一直線なので後続はフィックス登攀にした。
このすぐ上の間髪入れず、30mチムニー滝が控えている。確かにすごい連瀑帯だ!!
滝屋としても嬉しい、巨瀑の連続、チムニー滝は中段まで、右の乾いた岩場を登る。 どの記録を見ても簡単そうなニュアンスだったが
個人的にはそんなに簡単じゃなくてお助け紐をもらった(笑) 中段から先は右手の薮か、水流に沿って登るかの2択。
M氏が水流沿いに行けるべってことで、少々寒いがチムニー内を登ることに。
流水沿いは意外と渋く、ヌメリの強い壁に乗り上げるのが難儀だ。。 ここは完全にM氏ゲーと化してしまい、渓たそと私はゴボウで上がる。
なんとも情けない…薮から巻く方が簡単そうに見えるが。。
チムニー滝のすぐ上は立派な枝沢が連瀑で出合い、いい感じの休憩スポットとなっている。ここで一本入れる。
本流の方は、すぐ先で3.4段構成の滝となっており、微妙にめんどくさそうなので枝沢との中間リッジを使って高巻く リッジはスラブで歩きやすい。
復帰する際にジャンプがいるが決して怖くはない 正面には角度上ピラミッド状に見える幕岩を仰ぎ見ながら快適なナメ滝を複数登っていく。
ん〜〜晴れていたら最高だったな!!
間も無く正面に80〜100mの大ナメ滝?が現れる 見事な景色だ! このオジカ沢、大きな連瀑をかける様相からミニオツルミズ沢とも呼ばれ、オツルミズ沢の前哨戦で登られることの多い沢だ。未だオツルミズ沢に行ける気は到底しないが、オジカ沢の景観も実に素晴らしいものだ 滝登りの楽しさを存分に体感できる。
大ナメ滝は左の岩盤を最後まで快適に登ることができる。
ここは、せっかくならということで、滝から離れ過ぎない様にコンパクトに登っていった。 滝上からは水上の町が望め、抜群の眺望だ。随分と高くまで登ってきたが、稜線まではまだまだである。
ナメ滝を登りきると、お次は間髪入れずに8m滝があり 登れないため、左手の草付きから笹薮漕ぎで高巻く すぐ上の滝も同時に高巻くと水量の多い枝沢が右から出合う。
この枝沢は本流よりも水量が多そうだ。 上部に連瀑も確認でき、中ゴー尾根へ詰めれそうだが果たして…
快適な滝をいくつか超えると、ボロボロの岩質となる12m滝 右壁から登る記録や大きく右から高巻いた記録などがあるが、左のバンドを一段登った先から巻くのが一番簡単そうに見える。
しかし、岩がボロッボロで落石が頻出 冷や汗物だった 右手の草付きを大きく巻くのが正解かもしれない。
12m滝の際で沢は三俣になり、情報通り真ん中の沢を選ぶが、かなり小悪い滝が3つくらいありヌメリも酷いため、巻けるなら巻いた方が良い。
やがて稜線よりもかなり手前で水枯れしそうなので、ある程度汲んでから詰めに入る 沢型が不明瞭になったら適当に斜面を登ったが、ザレが続いていてあまり快適ではなかった。
俎嵓山稜をバックに肌寒い風が吹き抜ける稜線に無事到着 時刻は14時前 シェルターで冷え切ったおにぎりを貪る。
渓たその車を天神平にデポしているので何としても楽なロープウェイで下山したい、飯を食ったら一気に谷川岳を目指してハイスピードで向かった。
なんとかギリギリ16時の最終便に間に合い、下山完了!!
オジカ沢は期待していた通り、本当にいい沢でした 下部の花崗岩の美しさから一気に駆け上がる連瀑帯 滝登りもそこそこ登りやすいものが多く、それほど高巻きも難しくなくとても楽める素晴らしい名渓! 今回は晴れを確信していたのに、生憎の高曇りだったので いつかまたオジカ沢には絶対再訪したい。
渓たそ、M氏 ありがとうございました!