美しいスラブ沢 登川・金山沢
2021.10.10
いよいよ沢登りシーズンも終盤に近づいてきた。相変わらず自分は日曜しか休みがないので、泊まりの山行の計画は立てられず、日帰り案となってしまう。
良いお天気の約束された日曜、少ない休みだしどうせなら美渓が約束された沢へ行きたい…日帰り…あるではないか!巻機山には金山沢があるじゃないか!!
渓たそ、M氏も巻き込んで登川の金山沢にLet’s Go! 登川・金山沢は米子沢と並んで、巻機山南面では知られた沢だが、米子沢と比べると極端に入渓者は減り、静かな沢登りが楽しめる沢。 アプローチの林道はやや難解で看板などもなく、入渓したところ渓相はなんだかそそられない、ボサッた川って感じ。
しかし一変、中盤以降は長大なスラブ滝がこれでもかと連続し、終盤もナメ滝が美しい。少しの藪漕ぎで登山道へ着いたら割引岳を踏む。下山もちょい縦走になるため長いが、とても充実した1日になった。
金山沢は入渓地と下山地の桜坂駐車場が離れているため、車2台でのアプローチが都合が良い。渓たその車を桜坂駐車場にデポしもう1台で入渓地の古峰山(こがら山)登山口へ向かう。狭くよくわからない林道だがそれっぽい駐車スペースがあった。
ちなみに地理院地図にも載っている古峰山~神字山~割引岳の登山路を使えば車1台でも下山できるが、ここは廃道化が進み大変なことになった記録を散見するので、一般的には井戸尾根下山がベターなんでしょう。
水路を歩き、数分で神字川へ入渓、ボサくパッとしない様相 時折巨岩や小さな滝をまいたりするが思った以上にヌメリが強い。
しばらくはヌメる小滝とゴーロの連続だが、次第に沢は開けてきて10m滝が見える頃にはすっかり美しい渓相だ。これを左から登ると、なんとなく屋久島の沢の面影を感じる区間となる。
茶色く変色した岩の部分はラバーでは対応不可能なヌメり気なのでなるべく乾いた部分を歩き進める。
なおも巨岩が続く中、黒岩沢との二俣から金山沢に入ると、多段の30m滝が現れ、右手の樹林帯から小さく巻く。
続く2段50mの大滝も右の樹林帯から高巻く、所々踏み跡がある横向きに生えた木が邪魔だが落ち口に丁度降り立つことができた。その先、小滝と巨岩ゴーロがしばらくありげんなりしてくるが、ナメ滝を皮切りに一面スラブの沢へ変貌を遂げる。
幅広の美しいスラブを行くと、第1スラブと呼ばれる区間にある、両門の大滝が姿を現す。第1スラブもスラブというより、普通に滝に見えるが…下段は左のブッシュのを使いながら登ることにする。
振り変えれば、苗場方面の山が一望し、どこまでも晴れ広がった空が続いている。 爽快だ!
しばらくは傾斜の緩いスラブをペタペタと歩いていくと、一旦区切られて次は大きな断層帯が中央に走ったスラブとなる。
ここも傾斜は概してゆるく、時折両手で支える程度で快適。
断層のようなバンドは途中から登ろうとすると大変なので、段差が一番小さな最初のところから登る。広いバンドになっていて本日数回目の大休止。 一服を済ましたら、すぐ眼前に迫った第一スラブの終わりまで登っていく。
白い花崗岩(?)のスラブはフリクション抜群!
第1スラブの終わりには、第2スラブとの境界となる10m弱の滝がある、左から灌木伝いに高まいていくと、第2スラブが現れた。
第2スラブはスラブというより完全に滝に近い 高差は150m前後か? 第1スラブよりは距離が短いものの傾斜は全体的に急になっている。
それでも真ん中まではフリクションを効かせてフリーで登れるレベルの傾斜、行けるところまではロープを出さずいくことにした。
第2スラブも3段構成くらいになっており、途中傾斜が緩い区間がある そこから岩質の変わる上段までが核心のようで確かに傾斜が急になり、簡単に歩いていけるような感じではない。
水流左を進み、水流から離れずに進むと、浅いチムニー状になりそこからは10mはかなり急である。 水流からもっと離れた部分は1枚岩のフェースとなっており、どちらにしても確保なしで進むのは怖いかな。
ハーケンが効くリスがあり、チムニー状をロープを出して進むことに トップは番長のM氏が引き受けてくれ、出だしはハーケンをふんずけてのA1で5mほど傾斜の強い区間を進めばすぐに傾斜は緩み、赤茶けた岩質の上段の基部に至る。
残置支点は見当たらず、M氏はカムとハーケンで支点を作りビレイしていた。
しんがりの渓たそはハーケンをふんずけてのA1が使えないため、しんどかった〜とニヤニヤしながら登ってきた。
最後は岩質が変わり赤茶色のスラブとなる、ロープをしまい登るが、見た目以上にヌメるところがあり、フリーで取り付いた手前絶対に落ちれないので意外と気を揉んだ。
第2スラブ落ち口から振り返れば圧巻の景観。 はるか下流までスラブは続き、山々を見渡せば苗場山や遠く頸城の山も見えている。こんなに条件の良いなか、我々以外の入渓者はおらず思いっきりのびのびとできた。
スラブ登攀を終えても滝場はまだ続き、快適に登れる2段滝から、3段の美しいナメ滝など、見どころはまだまだ続く。
次第に水量は細ってきて、ヌメリに注意して滝を2・3超えていく。
多少ボサイ感じになるが、米子沢を彷彿させる美しいナメロードがあったりと以前見どころは多い。
次第に水量は減りco1730の二俣はどちらもほとんど枯れた沢となっている。 左沢の方が藪漕ぎが少なく登山道に至れるという話なので、左沢へ入るがこっちもこっちで小悪い小滝や笹藪トンネルが意外と煩わしい。
小1時間で登山道に抜けると、対岸の越後三山が見事な風格が目に入る。
越後三山が神々しいのはいうまでもないのだが、手前の小山塊である小兜山〜大兜山は、スラブが発達し非常に険しい山容を呈しており独特の、周囲から隔絶したような怪しさがある。屈指の険谷五十沢川が取り巻く巻機山北面だが、南面とは対照的に近寄り難い威圧的な雰囲気を放っている。
ひと登りで割引岳に着くが、すぐにガスに巻かれてしまい長居はできなかった。 それにこの後の下山がかなりの苦行であり、そこそこのアップダウンで御機屋について休みもなしに一気に下る。 そしてまた前巻機の登り返し…
記憶よりも木道がしっかりとしていて登りやすかったし、途中人生で初めてのブロッケン現象に遭遇するなどで楽しいこともあった。
井戸尾根は駆け下りるように下山し、16時台に下山することができた。
金山沢は非常に充実した沢でした、距離もそこそこあり下山は長いので1泊で計画するのもいいかも?
下山にヌクビ沢など使えばより巻機山を知れるかもしれませんね。 次は、下ノ滝沢やブサノ裏沢などから巻機山に登って見たいものです。 渓たそ、M氏今回もありがとうございました。