宝川温泉〜土合 プチ縦走
2021.2.20-21
葛見さわさんにちょっと遠出して山行きませんか?と持ちかけるとOKが出た!
我々の住む東北は風の影響で雲が出やすそう。さてはてどうしたもんか。
天気予報では中越以南が2日間晴れ予報 そこで宝川温泉から土合駅までのプチ縦走を計画してみた。
仙台からみなかみは400km運転5時間 埼玉に住んでる時は2時間足らずだったのに、えらく遠い地になってしまった。
※ログは標高がバグっているらしい
奥利根の玄関口、上越国境の中心部 この界隈は全く踏み入れたことのない山域なのでとても興味深い。そして一望できるであろう奥利根の山々
それは人間を全く寄せ付けない隔絶された地 雪をまとった山々はどんな姿なのだろうか 約束されたお天気に胸が膨らむ。
2/20
宝川温泉の手前の広い路肩に駐車し(宝川温泉の駐車場に停めるととんでもないことになるようです)、宝川沿いのつまらなすぎる林道をひたすら歩く。
林道にはスノーシューのトレースの上にスキートレース踏まれ、立派な道ができていた。
試験場から植林帯の尾根に入りしばらく平坦な地形を進む。
スノーシューのトレースの主のものと思しきテントを見送ると、トレースは布引尾根の方へ伸びていく。
我々は当初、雨ヶ立へ登るつもりだったが、ぶっちゃけこのトレースを追いかけないと時間的に無理ゲー感があったので瞬時に布引尾根へ予定変更(笑)
布引尾根が大きく開けてくると正面にトンガリの大烏帽子山、烏帽子山がボンッボンッ!!と並んでいる。
あそこはナルミズ沢源流部だ 丁度スキーのトレースの主が一人いて、話すと仲間が大烏帽子と朝日から滑走しているという。
このロケーションでスキーをしたら最高だろう。
真正面には朝日岳がドデンという感じで鎮座ましまし
尾根向こうには奥利根湖を挟んだ先、真の隔絶地にある平ヶ岳やマイナー12名山の赤倉岳を仰ぎ見る。
布引山から雨ヶ立の方へもトレースがあり、これはスノーシューのご夫婦のものだった。
旦那さんはご年配ながら、美しい姿勢と長年使い込んだ道具を身につけていて、一目で経験の深さを感じ取れた。
かつて浅草岳から銀山平まで縦走したことがあるという、只者ではない。越後駒の小屋管理を交代でやっている方らしい。またゆっくりお話ししてみたい。
目の前に広がる奥利根・上越国境稜線の山々
さて、布引山から先はお楽しみの新雪もふもふのノートレース尾根を進み、真正面に見るは烏帽子山。
ここから葛見さわさんが先頭でラッセルしている写真ばかりになるけど、当然交代してます(笑)
新雪は重く、スノーシューであっても膝まで潜る 交代しつつもっさりもっさり進んでゆく
烏帽子山の尾根は今にも崩れそうな雪庇が形成されている。 地形図で見ると随分な細尾根で通過は注意が必要そうだ。
モッサリ…モッサリ…
小尾根を挟んだ先には広大な雪砂漠が広がっていた!!!現実味がないほどの白と青の空間 圧巻だ。
烏帽子山の山頂付近 雪庇には巨大な亀裂が刻まれていて、それでいて真横を通過しなければならない 足早にささっと通過して一安心!
葛見さわさんも随分と心臓に悪い感覚を味わったようだ
大烏帽子山→檜倉山→柄沢山 上越国境は白銀の稜線 もはやデジタルチックな何かすら感じる。
踏み入れた雪砂漠の世界 どこまでも無機質な空間 雪の作り出すコントラストがひたすらに美しい…
大烏帽子山にはスキーのシュプールが三本刻まれていた
私はシュプールが刻まれた雪面が好きになれないので残念だったが、スキーヤーからしたらきっとこれは最高に違いない
烏帽子山と大烏帽子山の中間ピークで休憩。至仏山の存在感!
檜倉山、柄沢山、米子頭山、巻機山と続く稜線、ここもいつか歩かない訳にはいかない。
との上ないほど「山」の姿をした大烏帽子山。いざ目の前にすると登るのが非常に億劫に… ここから南下するので必ずしも頂上を登る必要性はなく、簡単に巻けるので大烏帽子山は巻くことにした。
ナルミズ源流の雪砂漠を歩いてゆく
砂漠の雪は深い 大烏帽子山と地蔵の頭とのコルを目指す。
正面が地蔵の頭で、奥に朝日岳(ジャンクションピーク)が控えている。
地蔵の頭からジャンクションピークをつなぐ尾根は細く、無数のクラックが入った落ち着かない感じの尾根であった。
いつもは出番がほとんどなくお荷物になっているアイゼン、ピッケルの装備で通過した。
急登を一気に登り終えると、広大な稜線となり 背後には巻機山が流石の貫禄で裾を広げている
こちらは清水峠から七ツ小屋、大源太山 しかし大源太山は不思議だ 何故あの山だけあんなゴツゴツの岩山になってしまったのか のっぺりとした山が多い中、大源太山だけは海谷山塊にあるような異様で聳えている。
さてと朝日岳の稜線に着いたが、今晩はどこに泊まろうか。もう日暮れも迫っている。
地形図を見ると、朝日岳の稜線直下は広い地形がありそうだから、適当に探してテントを張ることにしよう。
朝日ヶ原と呼ばれるらしい湿原付近でテントを張ったが、夜が深くなるにつれ風雪はどんどん凶暴化し、テントが雪で圧迫され身動き困難状態に!!
そして強風で今にも吹き飛んでしまわないか心配で仕方なかった… あまりにも雪が圧迫しすぎたため、夜中に2回ほどスコップで周囲の雪を除雪した。
雪山でのテン泊経験が殆どないため、無用心すぎたか。
その後、吹雪もそうだが、ちょっと色々あって相棒のクロスオーバードームテントは天に召されてしまった…
吹雪の不安から結局一睡もできずに夜は開けてきた。
2/21
夜が明けると、優しい光に山々は包み込まれ束の間の幻想的な時間を過ごした。
日の出は日光白根山からだった。
武尊山はここから見ると雪がほぼないように見えるが実際は結構な積雪があるらしい。
笠ヶ岳へ続く稜線が朝焼けに染まる 奥には谷川岳、一ノ倉岳、茂倉岳 谷川主脈と呼ばれる区間だ。
ここらは広義でいう越後山脈であり、三国山脈でもあり、上越国境稜線でもある そして谷川岳を中心とした周囲の山群は谷川連峰と呼ばれ、茂倉岳から平標までを谷川主脈という(笑)
残雪期から初夏、秋口に人気ルートとなる谷川馬蹄形は谷川岳〜清水峠〜白毛門を結んだ逆Uの字を描くコース。
上越国境稜線は平標の先、白砂山まで続きその先は上信越・信越国境となる。
朝日岳から笠ヶ岳の区間ではやや細尾根となる、ここの通過はアイゼンに付け替えていくことにした。
今回アイゼンは大活躍! アイゼンは行く山域的に年に1.2回使うか使わないか。
もっとも朝陽が強く照らすタイミング 稜線は言葉にならない優しい色に染まっていた
笠ヶ岳までは微妙なアップダウンを繰り返す。
大烏帽子、小烏帽子(大烏帽子山とは別物)を超えれば笠ヶ岳だ
馬蹄形縦走中の3人PTのテントの先には笠ヶ岳 真正面には谷川 一ノ倉沢がそびえている
向こう側は今日のような日は大行列なのだろう。
朝日岳と高確率で思われがちな小烏帽子、大烏帽子 笠ヶ岳からは朝日岳は見えてません!
笠ヶ岳着 ここまでくれば人も増えてきて賑やかになる、降ればさらに増え白毛門に着く頃は列をなして登ってくる人、降りる人で混み合い人気のほどが知れた。
グチャグチャの雪に難儀しながら下山し、お昼に無事に土合駅に到着した。
土合駅のトイレが使用不可という糞仕様に憤慨してしまい罵詈雑言を吐きまくってしまった。
その後、関越タクシーに宝川温泉まで送っていただき(6000円)、そのまま入浴料1500円というぼったくり宝川温泉に入浴した。宝川温泉は混浴でカップルや家族、ご夫婦などが楽しんでいた 人生初?2度目?の混浴に事故を期待しサードアイを駆使し周囲を凝視したが、いいものは見れなかった 何より温泉間の移動が寒すぎる
絶景、吹雪の悪夢、混浴、と色々楽しめ 静かな山域に足跡を残せたことが嬉しい 葛見さわさんありがとうございました!