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2021-09-05

尿前川 天竺沢

2021.9.5

天気の悪い週末だが、1日しかない貴重な休みは可能な限り沢に行きたい…

天気予報を見て、なんとなーくだがマシな天気になりそうな焼石連峰の尿前川支流天竺沢へM氏、渓たそと行ってみることに

渓谷の奥には50mの滝を擁し、狭隘な渓相と悪い滝が続くと言うこの沢、岩手県最難との呼び声もある渓谷だが、果たして…

焼石岳中沼登山口へ来るのは2年前の尿前川以来の2度目 相変わらず国道から長いダート林道が続くが道自体は悪くない。

少し出遅れて7時ごろにスタートした。

※ログが切り忘れで尿前大橋からになってます。。

駐車場から20分ほどで尿前川に出るが、水量が多くやや濁っている(もともと濁り気味だけど)。

どうやらここのところの雨続きで増水しているようだ… 天気も予想よりはるかに悪く、霧雨が降っていて9月頭とは思えない気温の低さだ 体感10度ぐらい、大丈夫だろうか。

尿前川を天竺沢出合いまで下るが、ヌメるし、水量が多くて降り辛い 何箇所か腹まで濡れるポイントがあった。糞寒い、ハイテンションが持ち味の自分だが、終始無言である。

途中の左岸スラブ

下降開始から1時間ほどで天竺沢との出合に到着 出合はなんてことない沢に見えるが、この上流にはいくつもの大滝が秘められているという。

河原と時折ささやかなナメが混じる渓相だ。 この沢はヌメりが非常に強く、ラバーソールできたことを後悔する…

ヌメヌメのナメやトイ状の小滝を越えると、両岸狭まり滝の雰囲気 屈曲する先にはF1の2段20m級が現れた

初っ端の滝からめちゃめちゃ威圧的な雰囲気だ…側壁は雨で濡れて黒光りし、テロテロ ヌメリという言葉の権化の如くそれは摩擦係数zero

じゃんけんで自分がリード役になったが、俺にこれ登れるのか…?無理ぢゃね?

「あれ?じゃん負けが登る感じ?」

などと誤魔化すが、誰も気が進まない感じか、冷ややかな視線だ。

しかしながら最近自分は金魚糞だの、なんもしないおじさんだのと散々な評価を各方面から賜っているので、なんとか少しでもそんなイメージを払拭したいところ。一つ頑張ってみるか。

特に最初のヌメヌメスラブの斜上がかなり嫌な感じで、タワシで磨きまくってジリジリ進む 潅木でやっと支点をとってトラバースすると上段はホールドが多くあり、ハーケンを決めながら登っていく。

なんとか登り切ると、F1の落ち口はそのまま3m滝の釜になっており倒木をビレイに後続を迎えた。

続く3m滝もかなり登りづらく、大きな倒木を使ってもじもじ登る感じだ。

この日は本当ありえないくらい気温が低く、少し釜に浸かるだけでも震えてくる… 元から悪い天気も雨混じりで正直なところツラい!

その後は癒しといえば癒しっぽいようなナメがあったりするが、増水で笹濁り気味

とにかくヌメりと寒さで気持ちが全く盛りがらない(笑)

しばらく先には30mの端正なF2 正確にはF5くらいになるが、小滝を数えていたらキリがない

これまた立派な滝だ 下部は濡れてていや〜な感じなので左の草付きから少し登り真ん中ぐらいから水流左の藪と岩のコンタクトあたりにトラバースして登った。

なんか濡れてて全体的に微妙だったw 落ち口へ綺麗に抜けられず、落ち口から3m上のバンドに出てしまったが、なんとかクライムダウンできてよかった。

その直後も3〜4mくらいの滝がある淵を濡れないように巻いたりと忙しい、どれも簡単ではなくヌメりで一癖ある感じがまた消耗を加速する。

この辺りは、両岸とも50m以上の側壁に囲まれ、息の詰まるような雰囲気だ

崩壊地の手前5mのCS滝は左からシャワーで取り付き、ブルブルに震える…

右岸の岩盤崩壊箇所の先にはF3となる20m級の滝が行く手を塞ぐ。

右岸の岩盤崩壊は割と最近のものなのだろう、草や土砂が堆積しており、滝も1/3ほど埋まってしまっているようだ。

滝には、水流右の黒々としたスラブ中腹に真新しいリングボルトが埋め込まれている、地元のアクティブな沢ヤのもののようだ 目立つ赤いスリングが巻かれているが、到底登れる可能性を感じないため高巻くことに。

しかしながら高巻きといっても周囲には弱点となるポイントが全く見当たらない、特に右岸は論外な地形で左岸も側壁が発達している。

進退窮まる5歩手前って感じ

唯一なんとかなりそうな左岸側壁のところをロープを出して渓たそが登る フィックス登りでもきついような濡れた岩と泥壁、潅木のミックス側壁を30m登った。

その先は灌木帯の急斜面をM氏が20m登る、ここも相当悪い やっと安全圏に入り容易に上流側へ移動できる傾斜になり、しばらく軽い藪漕ぎをすると懸垂なしで沢に復帰。

どうやら先ほどのF3の一つ上の滝の上に降り立ったようだ… ふぅ〜と一休み

すぐに濡れそうな淵を左から巻いていく。

少しの距離穏やかな感じ、癒しっちゃ癒しだが ま〜そんな癒される気持ちにもなれない、そんな時間は長く続かずまたも谷は険しい表情に変わってきてしまった…

いよいよ雨も普通に強く降ってきてしまい、靄に包まれた険しい渓相が幻想的といえば幻想的 てか、そんなことよりも一刻も早く下山して風呂に入りたい!

両岸が狭まった先には勢いよく吹き出すF4が出現 これもどう見ても登れる気がしないので、滝のすぐ左のバンドから小さく巻こうとするも、激悪であることと沢に復帰できないような地形であるため滝流心をくぐり、正面のガレから左岸巻きとなった。

F4は30m程度の斜瀑となっていて思ったよりもずっと大きい、しばらく急斜面の藪漕ぎで大きくなりすぎずに巻くことができた。

この巻でもうみんなグッタリ なおも続く釜っぽい滝を超えたあたりで一本長めの休憩

雨に打たれながら「この沢相当厳しいね〜」と皆さんお疲れの表情

「寒い…」みんな早く風呂に入りたくて仕方がないようだ

いよいよ最終ステージか… これまで以上に両岸が熱り勃つ、直線状のゴルジュの先には今までとは比較にならないような巨大な滝が轟音をあげている…!

もう笑うしかない… 圧倒的な絶望感と世紀末感がこみ上げる

天竺沢最大の50m滝 いやいやこれはすごい! 首が痛くなるような巨瀑がV字谷のどんつきにある。

これまで見てきた滝の中でもかなりの邪悪な分類に入る滝だ…

滝の中段には斜上するバンドがあり、ここを横断するのだが… あんまり寒いので誰もやりたくない…

渓たそが「俺が行く!」と名乗りを上げてくれ、思わず「ホッ!」としてしまう

どうやらポムチム金魚の糞説は払拭できないでいるらしい。

2箇所水流もろ浴びを通過して右岸側へ移動 そのまま繋がるガレルンゼを登って行くことにする。

3月や11月末の沢登りよりも過酷な寒さだった。滝を横断しロープを引いてくれた渓たそに多謝。

M氏はいつも通り、楽しんでいる様子

高巻のルンゼは浮き石しかないような感じで、大きな落石を起こさないよう慎重に登っていく。それでも時折、大きめの石を転がしてしまう。幸い後続に当たることはなかった。

ルンゼはラスト8mが完全な泥壁となり、灌木もとても遠い 泥壁登りの天才である渓たそはゴルジュハンマーを2本駆使し、さながらアイスクライミングの要領で最上部まで登ってくれた。ここの泥壁を登る以外に50m大滝を超える手不可能に近い登攀しかない。。

渓たその頑張りで、支尾根まで来るとそこは50m大滝落ち口のすぐ近くだった。

ようやく安全な渓相になり、登山道が近づくところまでのんびり遡行 天竺沢がもっとも登山道の近付いた所から3分程度で登山道に至ることができた。

天竺沢は、これまで自分が行ってきた日帰りの沢の中では特に難しい印象だった。

悪天候と増水に加えて悪い高巻や滝の登りが連続し、一息つく間もないような忙しい沢だ。 渓相はやや荒れ気味で、尿前川のような癒し要素は皆無だがフィニッシュの50m大滝は大変迫力のあるものだった。

全体的に辛い山行だったが、沢登り経験の棚卸しにはもってこいの沢だ 東北の沢登ラーには太鼓判を押しておきます!!

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