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2021-07-17

神々の憩う大渓谷 早出川本流(下降)①

2021.7.17-18

早出川本流… 秘境川内の地の中枢を流れる日本屈指の大渓谷 幾多の険谷を束ね、大増水、豪雪によって磨かれた谷は、300m台というその標高からは考えられないような凄まじいゴルジュ地形を永遠10km以上も連続させ、日本一の泳ぎ沢(おそらく)として名高い。

「イワナのような泳力を求められる」「本州最高難度5級上の沢の一つ」「神をも憩う祭りの如く溪」などの賛辞も事欠かず、古くから秘境の大渓谷として知られる。

そんな早出川、大きな滝は一つとしてないのだが ただひたすらに泳ぎの連続する沢であり、遡行の場合は化け物じみた泳力と体力 安定した天候が3日間以上は必要となり5級上という想像もできない難易度となる。

しかし一転、下降すれば流れに身を任せゆらゆらと流され、天気さえ良ければひたすらに楽しい下降をなんと1泊で可能とする。入山点と下山点の位置が大きく異なるという点は遡行も下降も避けられないが、下降することによって早出川本流の類稀なる渓谷美、無限の泳ぎを大きなリスクも少なく存分に味わうことができた。

◇早出川本流は自分にとって、死するその時まで永遠に記憶に刻まれた奇跡の渓谷だった◇

7/17

久々に天気のよろしい土日の休みをもらい、待ってましたと言わんばかりに早出川の下降計画をM氏に持ちかける。

二つ返事で了解をいただき、前日16日に郡山でピックし室谷へ車を走らせる 一ノ俣越は2度目なので特に問題もなく、今早出沢へ降り立つ。

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2度目の今早出沢 あと数回は来る予感がする 原生流域を感じる生命感あふれる景色だ。さて!さぁさぁ!降って行きましょうか!

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割岩沢と出合う今出までは特に何もないと思いきや、短い距離を泳ぐ場面もある すでに興奮気味のM氏だが、早出川本流はこんなものではなかった!

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赤ッパ沢出合から今早出沢を1時間ほど降っていくと割岩沢と合流する今出に到着 割岩沢は早出川の本流筋だけあって水量も多く、水がとても澄んでいる。

ここから下流は早出川本流の区間だ、さぁさぁどんどん行きましょう

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最初の長い泳ぎはコスゲ淵 3mの滝を降りるとゴルジュ状となり泳ぎが連続する すでに最高のテンションだ!

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しばらく泳いでいると広い川原となり、左岸から広倉沢が出合う 広倉沢の出合は、その奥に壮絶なゴルジュと大滝を宿すようにはとても見えない森の中を流れる穏やかな沢として早出川に合流する。広倉沢から少し下ると最初のイベント「大釜淵」が異常とも言える浸食地形を呈しゴルジュの口を開けている。

Photo M氏 大釜淵の入り口

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真っ白な花崗岩を強い水流が穿つ景勝地 あれほど広大であった川の水が1,5m程度まで狭窄されている。 当然水の流れは凄まじく、この流れにあやかるため今回秘密兵器で浮き輪を持ってきた(笑)

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大釜淵を降りるとすごいスピードで下流へ流される! うぉ〜!!!

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200m以上もあろうかという長淵を一気に降っていく 最高すぎる!! 遡行の場合かなり苦労しそうなポイントだ 泳げるM氏を持ってしても厳しいという感じ。

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途中の激流で浮き輪がひっくり返る しかしながら、こんなに美しいゴルジュを見たのは久々だ!

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その後も非常に長い距離に渡ってこの地形が続く 興奮しっぱなしである!

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まさに神の作りし自然美! どこまでもどこまでも流れ降っていく〜

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まだまだ ずーっと淵だ!

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あまりの淵の長さに驚愕を隠せない なんなんだこれは!

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長い!長すぎる!!長するぞこれは! すでに会越の黄色い沢や室谷川 下田の光来出川の泳ぎの距離をとっくに越している

大釜淵だけで何100mもずっと泳ぎだ

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いや…これいつ終わるんだ?という感じだがこれもまだまだ序盤も序盤。

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ついに大きく開けてくるが、淵であることには変わりなく とにかくずっとどんぶらこ〜と流れ降っていく。

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白い岩盤にエメラルドグリーンの沢水がとても美しい 極楽浄土はここにあった!

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巨大スラブを仰ぎ見ながら 無限に流されて降っていく。

これはコウモリ淵と呼ばれる大きな淵 中に入るとこれまた2~300mはゴルジュが続く…

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コウモリ淵の中は聳り立つ側壁が圧巻だ!

Photo M氏 コウモリ淵を泳ぎ下る。

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すんごい!!もうすんごい!! 正直感想もクソもない 半端じゃないんです!

今まで泳ぎ沢とか言ってたのがあほらしくなるほど、桁が違うんじゃ!

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コウモリ淵の入り口 こんなのとても遡行できない…

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コウモリ淵の下流はグッと明るい大ゴルジュ ここは名前は特にないようだ

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光来出沢や室谷川のハイライト区間の規模を数倍にした景観が何kmにもわたり続く こんな沢に行ってしまうと他の沢の景色では満足できなくなってしまうのではないかと心配になる程だ…

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ずっとこんな感じなのだ、にわかに信じられない 夢の世界に迷い込んでしまったかのような下降が何時間も続いていく。

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一つ一つのゴルジュの規模が桁違いなのだ。

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なおも泳ぎ続け、ドウガン沢出合の100m上流にある川原で幕とした、ちなみにここは全く増水に耐えられる地形でなく 100%雨が降らない確信があった上で泊まった場所である。 早出川では増水が命取りになるので幕営地の選定は慎重に行いたい。

薪は無数にあり、焚き火は成功したが 釣りに関してはM氏が小さいのを一匹かけてリリースしただけであった。

今出から下流は魚影が少ない きっとあまりの地形の険しさと増水から逃れるために支流や上流部に逃げているのだろう。

早出川1日目から衝撃的な体験だった これでまだ半分しか来ていないのだから明日もきっと最高の景色が待っているのだろう…

ヤブ蚊の猛襲に悩まされつつだったが、星を見ながらのオープンビバークで夜の帳はおりていった。

一ノ俣沢橋6:00-今早出沢9:15 -ドウガン沢上流泊地16:00

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