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2021-07-18

神々の憩う大渓谷 早出川本流(下降)②

7.18

早出川下降の2日目の始まり

天気予報通りに一粒の雨も降らない快適な夜だった。 今日も35℃を超える猛暑日の予報だ 早出川を下るにはこの上ない好条件(なのだが…)

ドウガン沢の河原を6時に出発。 まずは黙々と下るのみ! 相変わらずにゴルジュ状の流れが早々に始まる

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支流の多くは側壁から滝となって本流と合流する。

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日が差すときっと美しい巨大側壁の淵

両岸がグッと狭まった長い淵 これが四五ヤの大渕だろうか?

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四五ヤの大渕はその先にあった、まだ陽が届かずに圧倒的不気味感

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中の流れは思ったほど強烈でもなく、何もせずに流れるという感じでもない

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シゴヤに関してはちょっと不気味であまり心地よくはなかった…

シゴヤの下流は沢が大きく開けて明るい やはり陽が差すところに居たい。

標高は200m台まで降ってきただろうか 行ったことはないが写真で見た黒部川上ノ廊下に似た雰囲気だろうか 標高は1000m以上の差がある

山も沢も標高ではない 下田川内はそのことを如実に示している。

なおも泳ぎは連続する 水に浸からず河原を歩くというのは全体の15%くらいしかない印象

下流へ降れど降れど淵は連続し、泳ぎ泳ぎ、そしてまた泳ぐ…

上マサワリ沢の出合だったか、ここらは一旦河原となるが 普段は退屈なゴーロにおいても綺麗に真っ白な岩ばかりで美しいゴーロだった。

多くの支流を受け、透明度は低下してきたが、エメラルドグリーンの色はどんどん濃くなってゆく。 淵のスケールも一つ一つがとても大きい。

屋久島のようなエメラルドグリーンとは全く違い、派手さは少なく渋目のグリーンだ しかし白く眩い花崗岩とのコントラストはなんとも絶妙なバランスで感性を刺激する。

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ミン沢の出合い このように河原を伴わず川幅いっぱいに太く流れるのが早出川の特徴だ 逃げ場のないような地形が連続し、周辺の山々はスラブばかりそれ故に雨が降った際の増水はとても早く凄まじい流れになるという。早出川…まさに名の通り

下マサワリ沢付近も地形が緩み、この上なく穏やかな印象だ。

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ボフ沢の出合い この向には台地があり増水に耐える貴重な幕営地となっている。

再び側壁のイカツイゴルジュ状となってきた

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OLYMPUS DIGITAL CAMERA  中央に小鴨が五匹 わかるだろうか

大きな淵を泳いでいるとなんと鴨の親子が登場 我々に驚いた親鴨は子供達を放って飛び立ってしまった。

心配に思いしばらく見ていたが親鴨は変な方向に飛んだきり戻ってこない かわいそうなことをしてしまったかな

その後親子が再会してくれているといいのだが…

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親子鴨の居た淵

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次にはこれまで以上に大水量の流れ込む巨大な淵 これはハヨ止まりの淵だ ここも遡行するときは泳ぐのだろうか? 水量がわずかでも多いと大変そうだ…

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下降はホワイトウォーターを避けて飛び込み、あとは流れに身を任すだけ

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ハヨ止まりを下流から望む とても大きな淵だ

この少し下流の急な流れで調子に乗り、ウォータースライダーした際に、突起に勢いよく左足の甲と踵を打ち付けてしまい しばらく歩けないほどのダメージを負った。

とんでもなくアホなことをしてしまい同行のM氏には迷惑をかけてしまった

骨まで逝ったかのような痛みで、一時は本当にやばいかと思ったが鎮痛薬を飲みしばらくするとビッコを引きながらなんとか歩くとができた。

腫れも寒気もないので折れては居ないようだ。ホッと一安心 今後は無駄なことをしないように誓った…

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かつて橋がかかっていたという丸子付近 右岸からは丸子沢が30mほどの滝となって合流する。

 

下降では最後の巨大淵であるドウゾ淵 これまでで最も流れの速いジェット水流に流される。

頻繁に大増水を起こすため、両岸は高い位置までピカピカに磨かれて真っ白だ ここが増水した際の状況を考えると身の毛も弥立つ。

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M氏は何故か上流へヤツメ泳法で向かっている、そういえばシゴヤやハヨ止まりでも上流へ向かっているのを見かけた。

遡行した時に自分が突破できるのか確認しているという… え?遡行する気なの?笑 自分はもう2度くることはないと思うけど…

M氏曰く、シゴヤ、ドウゾ淵、コウモリ淵は普通に突破できそうだという。大釜淵とハヨ止まりが厳しそうだとか…?

そうなんすか…笑

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ドウゾ淵を抜ければ記憶に新しい中杉川の出合に無事到着 ここの出合はなかなか荘厳な雰囲気だ 砂利が堆積している中杉川を見ると、あれ?また埋まったのか、と心配になってしまう。かつて水泳登山と表現された中杉川… 今、その面影は下部に少し残すのみとなってしまった。

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早出川ダムに向かう下流方面 中澤さんは6月にパックラフトで早出川を下降している、今回我々はそのトレースだが中澤さんパーティは早出川ダム湖まで完全に下降した。

この先の区間も見たのだろう、すぐにダム湖なのか?それともしばらくはゴルジュなのだろうか? 気になるところだ。

さて、時刻は14 :30 順調に中杉川出合まで下降できた ここからは松次郎ゼンマイ径を利用して廃登山道のある駒の神をまずは目指さなければならない。

本山行の1番の核心部はこの下山にあると、当初から読んでいたが 想像の1000倍キツかった。

まずは松次郎ゼンマイ径の踏み跡まで急斜面を100m登るのだが、もうこの時点でヘロヘロ この時点で35℃はあろうかという猛暑に加えて、足の痛みからくるストレスに気が狂いそうになり、ついには完全に熱中状の症状に至ってしまった。

先ほどまでは泳ぎの連続からちょうど良かった猛暑が転じて地獄へ…

この踏み跡では昨年M氏が熱中症に陥ったが、今度は自分 しかも症状はより重篤でフラフラ意識が遠のいてゆく 1分歩いては休み、また少し歩いて休みを繰り返し駒の神まで2時間を要した。意識がはっきりあったのは、大量のヤマビルが猛襲してきた時だけだっただろうか?笑 枝沢の近くでは視界に数十匹のヒルがヘッドバンキングしまくっていた。

駒の神から早出川ダムまでは廃登山道があるが、ダムのトラバース道とは思えない地味なアップダウンが連続するし決して歩きやすくはない。

金ヶ谷で水を大量に摂取し行動食を貪れば症状は大分軽減した 徐々に日が暮れはじめ街灯の光りはじめた早出川ダムについたのは19時を過ぎた頃

なんと湖岸道歩きで5時間近くもかかってしまった。 予約していたタクシーは当然そこにいない 改めて電話すると1時間ほどで向かいに行くという。

大変申し訳ない気持ちだったが、このままでは帰れないためお願いした。 片付けを行なっているうちに津川タクシーさんが到着し、車のある室谷まで送ってもらう。

三川へ抜ける県道は相変わらず通行止のため大きく五泉から回ることになる 22時前に室谷へ到着 金額は¥25,000

車で一息つくとようやく落ち着いた気持ちになった。

痛い足を引きずり、やけに火照る体にはしっかりと早出川の記憶と水分が染み込んでいた。

「早出川ダムの湖岸道は二度と歩かん!」

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