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2020-09-06

川内 中杉川

2020.9.5〜9.6

中杉川の存在を知った時の衝撃は忘れられない、両岸が接するほど狭窄したゴルジュに美しい淵の写真

沢登りをしてみたい!と思ったのは中杉川の存在があったからとも言える、それほどに強い憧れがあった。

これまで何度か計画があったがその度に天気に翻弄され、延び延びに 今回やっと安定した天気に恵まれた。

想いを募らせていた中杉川はどうだったのか、自分にとって中杉川とはなんだったのか

↓↓本山行の動画を仲間のM氏が作成しました。どうぞご覧ください。

4日夜、郡山で仲間のM氏を拾い途中の道の駅で車中泊 阿賀の道の駅はコンビニも近くて良いところだった。

9.5

早出川ダムは誰もいない、準備を済ましダム湖沿に伸びる日本平山の登山道を歩く。

登山道だが、随分前に入山禁止にしているようで既に荒廃し、草も繁茂している 蜘蛛の巣が酷い

道は安定しているが何箇所か崩れているし、少しおっかないような場所もあった。

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7時くらいだが既に鬼のような暑さ、M氏に若干夏バテの症状が見られたが登山道から別れる駒の神までは順調に進んだ。

ダム対岸にはまさに川内と言える荒々しい山肌が望む。

駒の神からは松二郎ゼンマイ径だったかな?確かそんな名前の踏み跡を辿るが所々不明瞭で度々外してしまう。

その度に少し藪をこぐ訳だが、クソ暑い上に、椿の葉にはチャドクガの毛虫がたくさんいて最悪の気分だ。おまけにヒルも這い上がってきたもんだ。

そんなこんなでたっぷり3時間かけてようやく中杉川の出会いに到着

お〜っと中杉川は随分可愛い水量になっている。

この山域は涵養機能に乏しいので1週間も雨が降らないとたちまち減水するようだ、その分増水もすごいことで有名 本流の早出川(はいで川)の由来もそこからだろう。

早出川本流のダム方向はこんな感じでいきなり見事な景色、白く眩しすぎる岩盤にこれからの楽しみがこみ上げる。

中杉川に入る 初めは特に何もない

子落としの悪場手前でやっと短い泳ぎが入る。

かつて水泳登山という言葉で表現されるほどの泳ぎ沢だった中杉川 2011年の水害で大きく姿を変えてしまったようだが、2.3年前の記録でも十分に美しい姿を残していると、そう思っていた。

最初のポイントである子落としの悪場入り口の7m滝 巻きは左岸って情報だがぱっと見2パターン考えられた。滝横の岩棚を5m登り灌木を繋ぐか、奥のルンゼか。

ここは灌木沿いに行った、15mも登ると上流側に動けるので偵察に行くと途中でスラブに阻まれた。少し戻ってさらに5m灌木をつなぐとそれ以上いけないような地形になり、上流側に行くと懸垂1度で容易に降りれるポイントがあった。やや危ないスラブの通過があったけれど記録でよく見る懸垂2回よりはサクッと巻けたようだ。

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降りた先は白さが際立つ美しいゴルジュだった。 進むと4mの滝が出てきて滝をくぐって空身で超えれた。

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圧巻の景観だが、水量少なく す〜いすいと進めた。

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穏やかな流れに浮かべば至高の喜び 9月になれば厄介なアブももういない 全身に川内の水を感じる

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泳ぎはあるが光来出のような長めの感じではなく、短めの泳ぎがちょくちょくてな感じ

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たまに小さめの滝が出てくるが総じて登りやすい。

少しの河原を挟むとやがてどんどん川幅は狭まり、お待ちかねゴルジュworld

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狭く美しい造形だが、川底に砂利が堆積しているのがなんとも惜しいところ。ここはかつて泳ぎで通過するほど深かったのだそうな。

かなり長い距離に渡ってこのゴルジュは続く、すごい景色だ。 しかし残念無念、泳ぐような深さの場所は全然なくひたひた歩いて通過。

これは2011年頃からこんな状況らしい。

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ちょっと開けたかなと思ってもまだまだ続いてる。

埋まってしまっていてもこの美しい造形はそう見れるものではない、かつて泳ぎで通過した遡行者はさぞワクワクしたことだろう。

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狭いもののの光が届くので威圧感は少ない。どちらかというと白くて明るい印象

優劣をつけるものじゃないけれど、ゴルジュの造形としては室谷川や光来出の開けた神殿のようなゴルジュの方が好みかな。

下田川内は造形ゴルジュの宝庫で、山域を流れるどの沢にも特徴的なゴルジュを宿すという 人生でどれくらい見れるかな。

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狭いゴルジュも終わりに近づく。

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ゴルジュの終わりは2mの滝 右壁から登れた。

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終わりといってもその後も少し続く。

photo M氏 2mの滝が最後だったかな

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気がつくと、広く開けた河原を歩いていた。

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あれ? やたらと細かい砂利が増えてきたな。 まるでフラットダートのよう 車でも遡行できそうだぞ

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今いるところは上部のゴルジュなのだろうか、両岸の雰囲気はそんな感じだが、河床は依然細かい砂利に覆い尽くされている。

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ああ、これは2018年の記録で読んだ山抜けによる砂利なのだな。記録ではここまで酷い印象は受けなかったけど、実際は随分なもののようだ。

私の中で中杉川は絶世の美渓であり、多少荒れたという記録を読んでもその美しさは不変のものと信じて疑わなかった。

しかし現実は往々にして思いとは逆の結果となる、中杉川の上部?というより中流域?は1.5km程完全に砂利に覆い尽くされていた。

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やがて完全に伏流してしまう 嗚呼なんということだろう なんということなのか

沢は刻々と姿を変えていくもの、崩れるのも必然である しかしあんまりにも こんなにも跡形もなく埋まってしまっているとは思いもしなかった。

co400付近 沢が大きく湾曲する場所には広大な土砂貯まりができていて 野球グランドが作れそうなほどだ

釣りなんか到底できないね 流石に落ち込んだ 右岸には良さそうなスペースがありとりあえずここまでにした

薪は無尽蔵 しかしなんとも気持ちが晴れない 落ち込みすぎて、明日は枝沢を詰めて木六山にエスケープしようなんて話もしていた。

なかなかまとまらなかったが当初予定通り、詰める方針になった。

夜、ヤブ蚊の猛襲にあったのは言うまでもない。

6:30早出川ダム-9:30中杉川出合-14:30co400幕営地

9/6

co440付近に大きな崩壊の連続を確認 これが土砂供給源だ あまりに痛々しい 言葉も出ない

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崩壊の上流には、記録に読んだ河道閉塞による土砂ダムの痕跡を確かに残していた。

以下に山抜け前と山抜け後の様子を示しておきます。スケール表示が違ってますが、縮尺は一緒です。多分

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崩壊を過ぎると、伏流もなくなり元の姿を取り戻した。

時折イワナの元気に泳ぐ姿もあり ああエスケープしなくてよかった〜と救われた気持ちになる。

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銀次郎山へ詰め上がるため、ユウ沢へ入る ユウ沢には多くの魚が泳ぎ回っており、荒れた沢の上流にも逞しく命の営みを繋ぐ姿に感銘を受ける。

体に当たってくるイワナを手づかみ もちろんすぐに逃がします

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ユウ沢には連瀑もあってなかなか楽しい、1.2個の巻きもそれほど悪くなく越せた。

詰めは間違えるとえらいこっちゃらしいから、慎重に位置を確認した。GPS様様。

藪漕ぎもほとんどなく、無事に登山道へ飛び出した 気温は猛烈に暑いが 涼しい風が吹いて心地よい もう秋なんだな

先には銀太郎山、五剣谷岳が続いている  右には青里岳、さらに奥に守門岳 素晴らしい眺めだ 今僕らは川内の真っ只中にいる その事実が嬉しい

標高1053mとは思えない縦走路 モヤついてしまった 奥には越後平野が広がる ここからは長い長い下山

1053mなのに中には5〜6時間かかって下山している記録もある。

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灼熱も灼熱 身体中の塩分が抜けたんじゃないか 普段ラーメンばかりだから丁度いいデトックスになったかな

分岐は道が良さそうな木六山経由で下山した。

チャレンジランド杉川は営業していた しかし電波がないので、公衆電話をお借りしてタクシーを手配 無事に早出川ダムに帰還した。

6:30幕営地発-10:00登山道-10:40銀次郎山発-15時前チャレンジランド杉川

中杉川は荒れていた、事実だ 思っていたよりもずっと荒れていた ショックを受けたのも事実

だけどもそれも中杉川なのだ、自然とは変化のループ 中杉川は荒れてしまった そういう時期だっただけの事。

産女川のように再生不能なほど荒れたわけじゃない。いつか、長い月日をかけて、自然の営みの中で、かつての姿を取り戻すだろう!!

その時生きていたら、必ず必ずまた来よう。 中杉川天晴れ!中杉川万歳!

この後さくらんどで温泉に入り、帰り道 後ろから追突されました 幸い大きな怪我はなかったが、現在頚部の治療中です。

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