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2023-08-06

鳥海山 白沢川(本白沢)

2023.8.5〜6

最近仕事で重いものを持ちすぎて腰がかなり痛む。この週も腰が傷んだが、週後半では回復してきてサワグルイと中澤さんとでどこか沢に行こう!と話が決まった。 最初は越後の沢が候補だったが、越後付近では80%以上の確率で雷雨が来そうだったので(前回山行の件もあり雷雨にビビりまくり)雷雲の発生が明らかに少ない鳥海山の沢に転進することになった。

鳥海山の白沢川は以前から目をつけていた沢で、遡行された記録は調べうる限り無いのだが、航空写真から中流部に明らかにデカイ滝の存在や、ナメが確認できたためいつかは調査遡行に行かなきゃなと思っていた沢だった、が、まさか転進先になるとは思っても見なかった。 3人に、期待値は30%ほどで…!と保険をかけておく。

鳥海山の沢は、特に檜ノ沢が人気になっているようだ。あとは、一昨年けいたそと自分とで上部まで遡行した(龍ケ滝の上部区間は巻いてしまっている)西ノコマイ(かつて地理院地図では「南ノコマイ」と表記)が少しづつ遡行されているようだが、まだまだ沢登りの対象としては認知が低い山のままである。

そんな鳥海山にあって、主峰の一座「七高山」に詰め上がるスケールの沢がもし良い沢だったら大発見ではないか!

とは言っても、この沢にある滝には名前がついていたり(ソース不明)、途中までは地質的学者による踏査も入っているし、一部遡行したような記載も見られるため多少は人の出入りがある沢という認識。それでも全貌がわからないロマンあふれる開拓遡行の始まりだ!

白沢川は登山道が遠く、下山地点は鳥海山の湯ノ台口となるため、サワグルイ、中澤さん車をデポ ポムチムの車で白沢川の入渓点へ向かう。林道は概ね良好なダートだが、入渓の橋2km手前くらいに通行止めのゲートがある。

地理院地図には白沢川沿いに堰堤をパスする作業道の記載があるが、早々に道は消えてしまうため入渓した。

水はやはり鳥海山らしく、透き通った素晴らしい透明度 アブもほとんど気にならない程度だ。 低い堰堤を3つくらい越えると、しばらくはゴーロ。岩にヌメりは全くない。 30分ほどゴーロを進むと、Co610付近から両岸が突如せり上がり先には何かある予感。

ゴルジュの始まり
見事なゴルジュに度肝!
泳いで取り付く5m滝

100m近い側壁がそそりたり、怪しさMAX 左曲するカーブの先には見事なゴルジュが続いている!!深い青色が不気味すぎる…

ゴルジュ内の5m滝は泳いで取り付く、水温はそれほど冷たくもなく、十分泳げるレベル。中澤さんが先行して取り付き、やや狭い箇所があるが、ムーブを駆使して登っていった。ポムチムは用意してくれたひもにぶら下がる!

ゴルジュはこの先で開けて悪場はこの1箇所のみだった。

5m滝を登る
ナメ床
清澄な釜

ゴルジュの先はナメや小釜が続き、非常に心地が良い。 この時点でこの沢は当たりな予感。 グッと山が近くなるCo700mからは長いゴーロが続くが、青く澄んだ水が爽やかで退屈しない。

なぁめなぁめ〜?
熊滝の登攀 シュカさんナイス!
巨大な大滝が!

Co830付近に熊滝と名のある10mちょいの滝が現れた、両岸屏風状の柱状節理で高巻きはしんどいだろう。

ボロそうだが、流心左が登れそうだ シュカさんが試してみる流れになって、一度ホールドが崩壊して2mほどスリップしたが、幸いどこも打ってなく再トライ、浮石を掃除しつつ、あっけなく登っていった。後続で登るが如何せんボロくて簡単ではない。ここを秒速で登るシュカさん、流石というか、最強というか…笑 熊滝の上はナメが少し続き、またゴーロ。

そのゴーロをちょっと進んだCo1000付近では、航空写真から確認していた大きな滝が姿を現した。 数100m手前からも視認できる巨大な滝。落差は50m以上ありそうな予感。 名前は特にないようなので呼称は「大滝」とするが、これは本当にすごい滝ではないか…

眼前に迫る大滝!
これはすごい!
百名瀑クラス!

たまげた、こんな滝が鳥海の懐に眠っていたとは… 50m級の大滝が周囲に飛沫を放出し、青々とした滝壺に轟々と注いでいる。鳥海周辺では法体の滝と比肩する規模だろう。 こんな大滝がかつてほとんど人の目にさらされず、コアな滝屋からの認知もない…いやぁすごいものを見れました!

滝は当然登れないので、100m程度手前の左岸の岩壁の切れ目から高巻く。 藪漕ぎがうるさいが、わりかしあっさりと滝上に出た。 この滝の落ち口は二つの沢の出合いとなっておりなかなか稀有な形状だ。進路は本流の左俣・本白沢だ。

滝上は青いナメ
超美ナメ区間
30mハング大滝

本白沢の落ち口からそのままナメ区間が続いていて、非常に美しい。 青色の水が流れて、水面付近・沈殿物には湯の花がある。 温泉成分が入ってこの青色なのだろう。水を口にすると飲む分には問題ないが、ちょっと鉄っぽいような、酸っぱいような? ずっとこの水だと嫌だな〜と一瞬脳内で思う。

ナメは間も無く終わると、ゴーロの先にはCo1080付近の滝マーク 30mほどの大ハングした滝でこれまた見事。

裏見の滝
開けた! 先は長い
扇滝 30mのスラブ

右岸から高巻くが、ツタが半端ない藪漕ぎで大変だった。藪からドンピシャで滝上に下りると、周囲は開けてまだまだ先は果てなく続いている。 Co1150左岸からの支流が温泉成分の根源で、以降水は美味しい真水となる。

遠くからも見えたスラブ状の滝は扇滝と名付けられている模様。二つのトイ状の流水溝があるが水流は僅か 回り込んだ右岸にナメ滝となって落ちている不思議な空間。

時刻はまだ14時と早いが、そろそろテン場が欲しい…

扇滝のスラブを登る
扇滝上、最高の見晴らし
20m滝の手前で幕営!

扇滝のスラブを快適に登ると少し先にはまた20m滝が落ちている、この滝より先はコンターが詰まっているためどうにかこの辺でテン場を探したいところだが、ちょうどよく右岸に整地すれば4人で全然寝れるスペースを発見! これで決まり!

テン場に薪は少なかったが、ケーシが扇滝の下まで戻って大量の薪を担いで来てくれた ありがとうございます!! たらふく飯を食って、抜群の眺望を眺めながら寝る。

朝一20m滝を右岸から巻く
極上の大ナメ区間
高山らしい渓相美

翌朝、朝一で20m滝を右岸から高巻く。アザミの群落に痛がりながら巻き終えると、滝上は大ナメが続いている。 日が差していないのが残念だが、高山感のある渓相に舌鼓 良い沢だぁ

Co1450付近
雪渓の上を行く
草原を詰めて登山道へ

Co1450の二俣から滝が数個あるが、あまりの暑さと朝飯を食い過ぎたケーシの腹が調子悪いようで大分ゆっくりだったが、雪渓の先で水を汲んで以降調子を取り戻し、爆速で行ってしまう笑 

沢水は枯れては復活を繰り返したが、Co1650付近で完全に切れたと思う。水の枯れた沢型を詰め?標高を黙々と稼ぐ 幸いにしてきつい藪漕ぎはないが過去最強クラスの猛暑が堪える!草原から百宅コースへトラバースしてやっと登山道へ抜けた!

お花がたくさん咲いていて最高だ〜 10分ほど登って七高山の分岐 晴れの日曜とあってかすごい登山者の数だ 荷物をデポして近い七高山でPH すぐ目の前だが、新山はまた今度にしよう。

可愛いお花
七高山でPH ケーシの腕がゴツすぎる!!
灼熱の中下山

灼熱の中、湯ノ台へ向けて下山 一時は曇って暑さをしのげたが、滝の小屋目前で日照りがハンパなく、沢でしばらく冷却した。これがなければ、熱中症だったかもしれない。 小屋から少し降って、デポした車に到着〜! 疲れた〜!!!

・所感・

白沢川は記録がなく、未知の沢だったけれど清澄な沢水が流れ、ゴルジュ、大滝、ナメと変化に富んだ名渓と行って過言ではない沢でした。

鳥海の主峰の一つ、七高山に詰め上がるというのも素晴らしいです! 鳥海山の沢ではベストルートなのではと感じますね。

難点は車が2台必要なところ、あとちょっと中間部のゴーロ・詰めの長さがありますが、藪はないし随所に見所があるのでそれも苦ではないはずです。 本当に行ってよかった沢で、これからは遡行者を向かい入れて欲しいです。

ポムチムはこう言った再発見が大好きです、これからも沢登りの新たな楽しみを求めてに記録のない沢を探したいです。

サワグルイの二人、中澤さんありがとうございます!

中澤さん記 遡行図

・・・ポムチムの小言・・・

「活動の記録を残すということ」

記録は様々な媒体で受け継がれて、今我々がこうして沢登りを楽しんでいるのも先人の築いた足跡と記録があってのものです。なので、記録の継承と更新は沢を楽しむ人の使命だと自分は勝手に思っています。

沢は取り巻く環境は刻々と変化し、いつの時代も決して普遍ということはないです、それは渓相然り、アプローチだったり、様々な要因がありますので、その時々の沢の様子や活動の顛末を記録に残すのは後続者に非常に有益で大事な指標となるものと感じます。あと最も大事なのは沢に行って自分がどう思ったか、何を感じたか それを文章や何らかの形でアウトプットしておくことは自身の備忘録としても重要ですよね。 

自分が誰かの記録を読んで、見て、聞いて、実際に行って 価値ある時間を過ごしたのならやはり、次の誰かにとって同じように一助となる記録を書きましょ〜 SNSでは情報不足と偏りがあるため記録とは到底呼べないでしょうから、ヤマレコやヤマップの活用で十分だと思いますよ。以上小言でした

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