憧憬の室谷川
2019.7.6〜7(倉谷沢遡行、西の沢下降)
「室谷川」
一部のマニアック沢ヤさんから、7月沢登りの花形として親しまれている会越の室谷川。
私はこのゾーンに心底憧れており、これからももっとも重要視したい山域である。
会越国境や下田・川内山塊は新潟県と福島県の県境に位置し、高い山でも1300mそこそこ、 百名山に数えられる山もない。しかしそこに眠るのは本当に手つかずの大自然!日本国における真の秘境の最右翼の一つだ。日本中探してもここ以上に秘境という言葉が似合う地はそうないと思う。
室谷川の本流筋を狙う場合確実に沢泊の計画となる、中心となる駒形山には登山道がなく下山には使えない よって沢の遡下降が基本となるから。
有名どころだと駒形沢などあるが、正直なところ私とtkoさんでは不可能だと感じていたところ、トマの風の会報で見つけた「倉谷沢遡行、西の沢下降」 記録は少ないがこれならなんとかなりそうだと思い至ったのだ。
倉谷沢は本流から駒形山を挟んだ東に位置する大きな渓谷、西の沢はしばしば下降に用いられる沢だ。
7/6
下山のために私のレンタカーを本流沿いの空き地にデポし、倉谷沢の林道を行く。
今早出沢ガンガラシバナへの抜け道となる一の俣沢の様子など見つつ、ぐちゃぐちゃの林道終点に到着。
そこから薮を20分ほど漕いで沢に入った。
そこからしばらくは概ね平凡な沢歩き。エメラルドグリーンの景色が目立ってくると最初の難関は近い。
でんっ!と現れた幅2mゴルジュ、早速泳ぎ偵察に行くが、どう頑張っても最狭部に近づけない(笑)
奥の1mくらいの段差の手前は流れが強くて押し戻されてしまう。左右の壁につかめるような窪みもなく、諦めて戻り左岸巻き。
上流に降りると、節理の発達が美しい。
その後、コンスタントに泳ぎが入る。
勢いよく噴出する5m滝に到着。大きな岩盤と広すぎる碧い壺に感激!
この大釜は左岸から巻いた。
底が見えないほど深い淵、シュワシュワとソーダ水が湧くようで実に清涼感ある景色。
美しい景色が続き心がウキウキ、天気が曇り優勢なのが少し悲しいところ。
Photo by tkoさん
大岩が被った半洞窟の先にはなんか厳つい滝が見え隠れ。
現れたのは、沢最大の10mくらいありそうなCS滝。これはいい滝です!岸壁が両腕で抱えるような形状。
時刻はまだ14時前と早かったが、Co820付近左岸の平たい藪場で幕営。虫もいなくて以外と快適だった(笑)
7/7
翌朝、長い行動になるので5:15スタート。ここからは詰めまではトポに頼れずルーファイで見極める必要がある。
5m級の滝がたくさん出てくる。
藪漕ぎはほぼなく稜線に到着!素晴らしい会越の山岳風景を眺めながらの藪漕ぎ、ここは余裕の藪。
TKOさんのメットのところが1005のピーク。
三俣から駒形山に向かう途中はかなりの藪漕ぎ、距離は短いがレベル7/10って感じの藪。
西の沢の下降に移り、藪の中をルーファイしつつ沢形をたどる、途中2、3回懸垂があった。しばらくするとの先がスッパリ切れ落ちでかそうな滝が出現、これは西の沢の大滝25m 残置を一つ追加し容易な下降。このすぐ下にも8mほどの滝がありめっちゃ貧弱な支点(枝)で懸垂!
そこからは特に何もなく、本流まで長い。
いよいよかという感じで室谷川本流に出会う。素晴らしい景観。
室谷川にたどり着き、そこからは終わらない絶頂!
夢に見た本流の下降です。人間の影を全く感じない大自然の中、ありえないほど緩やかな沢をトボトボと下っていく。
言葉はいらない、無心になってスラブの作り出す渓谷美を泳ぎ降る。
白の宮殿
白を超え青みがかるスラブ壁、自分が見ている景色が嘘なんじゃないかと思う。
日が差しこむとその碧はより一層彩度を強くする。
まん丸い釜があったので遊んだり。
波打つスラブに大興奮したり、本当に夢の世界。
写真ではずっと泳ぎのように見えるが、泳ぎのパートは全体の1/10くらい、果てしないゴーロ歩きが実際である(笑)
大きい淵では100mくらいは泳いだかな?
支流を数本受けて、いよいよ最後のセクションってところで長い淵から先が突如消えている!
山場の大釜の滝だろう。 tkoさんにお先にどうぞと言ってみるもののかなりの水量が流路を流れ、一度上がれるような陸地もない、そのまま滝になっている。
Photo by tkoさん
tkoさんロープで確保がと言っているので先をよくみると、滝の手前は随分浅いように見える。先行していくとやっぱり浅くてそのまま滝に落ちるということはなかった。
Photo by TKOさん
さてさて5m滝の上にて思案中、当初は飛び込みで一発っすよなどと豪語していたが、いざ目の前にすると怒涛の水量(笑)そして、あまりに巨大な壺と旋回する超大量の流木にビビりまくり!!一度覚悟を決めたが、決まりきらずに諦めた、非常に情けないがビビってしまったらもう無理だ。左岸から懸垂で足場に着地し 巨大な壺を泳ぎ渡った。
5m大釜 右側は流木が半端ないので切った。駒形沢遡行の場合はこの滝を右壁から登るらしいが不可能に見えた(笑)
その後も泳ぎは数回あり、いよいよまじで疲れてきた頃に平凡な川歩きへ。
最後は砂防ダムの横から空き地のデポに帰還した。
いやいや本当に夢のようでした、屋久島での旅に匹敵する重厚感ある活動だったと思います。
この界隈での第一歩ですが、ここをこなせないようでは今後沢はできないと思っていたので本当に良かったです。
tkoさんありがとうございました!