日本一のナメスラブ!?下ノ滝沢
2022.10.1〜2
この土日は、自分ポムチムの滝と沢の師である江戸切子さんと実に一年半ぶりの山行のお約束をしていた。
行き先は巻機山の五十沢川の支流である下ノ滝沢 ここは巻機山の沢の中ではマイナーな部類の沢だと思われるが、上部には巻機山最大の大滝と最大のスラブを秘める名渓である。
マチホド沢で遊んだケーシもそのまま参加してくれることになり、車の一台を桜坂駐車場にデポ これで下山が相当楽になった!!
※途中ログをとり忘れてしまいました
江戸切子さんは転職後に経済的余裕ができたのか、住まいの江戸から巻機までは車でもそう遠い距離ではないが、新幹線+ホテル前泊というリッチな移動方法でやってきた 前泊していた浦佐のホテルオカベは散々なホテルだったらしい(笑)
5時半ごろ江戸切子さんとオカベで合流。その後ケーシをピックし、いざ五十沢キャンプ場へ、ケーシの家から本当に15分くらいで到着 南魚沼素晴らしすぎる。。
キャンプ場から天竺の里までは九十九折の林道だが、ここはキャンプ場開園時間までゲートが閉まっているので事前に連絡して開けておいてもらった この林道歩きがあるのとないのでは雲泥の差だと思う。林道は毎年雪崩で壊れてしまうらしいので要チェックだ。
トイレのある小綺麗な天竺の里から裏巻機渓谷の遊歩道を進む 遊歩道から望む五十沢渓谷は日本屈指の渓谷である風格が漂っている。
分岐の遊歩道を少し下りまずは、不動滝 これは立派な滝だ! 滝壺が巨大で紀伊半島にある滝のような雰囲気だった。ケーシは左壁をじっと見つめている 五十沢下部ゴルジュの時のためのオブザベをしているようだ 僕ら滝屋はカメラで撮影
戻って次は遊歩道上から見る夫婦滝 この辺のゴルジュ感は凄まじい その渓相は、今まで見てきた沢とは明らかに別次元であることが分かる
夫婦滝の上流の区間も見渡すことができて、絶景の花崗岩ゴルジュとなっている そして有名な取水堰 なんでこんなとんでもない山奥に堰を作ったのか謎すぎる立地だ 前後は究極に切れ込んだゴルジュ 日本屈指の険しい地形の中にわざわざ取水堰を作り必要があったのか… 堰は越流している場合、幅1.5mのスリットをジャンプで超えなくてはいけないらしい 今日は水量少なく、横の鎖から普通に昇降することができた。 個人的にあそこをジャンプはあり得ない…と感じます
堰堤右岸側からは、五十沢川中部ゴルジュを迂回するように作られた登山道を行く 悪すぎる登山道として有名だが、これはマジで悪い。 木の枝や草を捕まざるを得ない登山道は初めてかもれない… そんな強烈な急登を200mさせられ、スラブトラバースなど普通の登山道ではあり得ないようなことを要求させられる、その分眺めは抜群によく、支流の険谷の大窪沢などは一望できる。汗だくだくで苦労しやっと五十沢川へ降り立った。
五十沢川の少し先にある綺麗な釜を見て休憩 下流側へ数100mほど下ると左岸から下ノ滝沢が出合う 出合いはなんてことなく、その先にはいくつかの滝がかかるが問題なく、2.3段で20mくらいの滝が出現 ここは左岸から巻く 大きめに巻いていくと無事にゴルジュの出口にジャストで降りることができた。
ここから先、ナメ状の滝が多く、白い岩盤がいかにも上越チックで興奮気味
登れる滝、巻く滝 それぞれ複数あったが1箇所 パッと見突破できない滝は左岸スラブから巻いた ここ泳げばパスできる滝だったようだ。悪い巻きはほぼなかったように思う。
9mの巨大チョックストーン滝はやや面倒な木登り系の高巻きで越えると 巨岩帯スタート これがなかなか長くて面倒だったな〜 屋久島の河川ほどではないが、いつまでたっても巨岩帯は好きになれない。。巨岩帯のどんつきにある滝を登れば、長さにして100m以上は続いている巨大な岩畳 当初はここで寝る予定だったが、時間が早すぎるため先へ進むことに
岩畳の先には随分手前から見えていた20m程度の滝 実際には3段で35mくらいはありそうだ 左のスラブから簡単に登ることができる
両岸狭まった8mCS滝はとても通過できそうになく 右岸の藪から巻くが、ここから中部ゴルジュとなっていて、滝が連続し沢に容易に降りられない。 そのまま藪で高度を上げて、笹原になり展望が良いとこまで巻き上げていく 笹原に出ると壮大な中部ゴルジュとどんつきには100m大滝と呼ばれる主が逆光に照らせれてキラキラと輝きなすってる。
ポムチムは水が少なくどうしても一度沢へ降りたい… が、なかなか見つからない 先に見える大滝から数えて3つ目の15m滝近くは地形に隙があり滝下に行って水を汲むことができた!
ここからチェンスパを装着して草付きをぐんぐん登っていく 気がつくと大滝は目の前に迫っていて、草付きの角度がきつくなるタイミングで灌木帯まで登る 簡単な藪漕ぎで灌木帯を超えると大滝上部の40m大ナメが眼下に流れる。
右岸の枝沢と40mナメの合流箇所で幕営していた記録を読んだ気がするが、出合いは釜になっており寝れるスペースなど全くない。 どうやら今日は大ナメも超えてしまわなければならんようだ 草付きのクライムダウン20mでナメ基部へ
後ろは大滝の落ち口になっていて、特に左岸側の岸壁がすさまじい迫力 そしてこの大滝 遠目にはすごく傾斜が強い滝に見えたが、割と寝ているようで ひょっとすると登れるかもしれない。
40mナメは右のスラブから登る ここのスラブは下の大滝からそのまま繋がっているため、高度感は凄まじい でもホールド、フリクション抜群でグイグイ気持ちよく登っていく 結局、沢行程の7割以上を1日目にこなしてしまった
さてここからは別天地、先には天まで続くようなスラブ滝が見えている また、スラブに至るまでのナメも抜群の美しさだ。
今日はフラットな岩棚の上でオープンビバーク 残念ながら薪はほとんどなく焚き火はお預け ポムチム特製うどんを作ると二人は喜んで食べてくれた!
夕方からは山頂から吹き下ろす強風に晒されて、早々に就寝 夜が深まるにつれて風は強まり、あまりの寒さに時折目を覚ます…
シュラフの内側にグランドシートを巻いてなんとか安眠できた… シュラフが夏用#5の江戸切子さんは凍死してるのではないかと不安だったが、ツェルトを巻いて凌ぎ生存したようだった。
翌朝、快晴だ 今日は昨日の頑張りのおかげで楽しい区間しか残されていない。 この素晴らしいスラブを気持ちよく登るため、陽が当たるまでゆっくりと待つ しかしながらこの迫力はすごい 今からここを登ると思うとドキドキしてしまう。
さあ、いくよ 遥か天界まで続きそうなスラブ、まさに「Stairway to Heaven」 最高の沢登り始まり!
ここは本っ当によかった! スラブは角度は緩く、時折手を使いながらペタペタ歩いていける程度 2段目のスラブを登ると目の前には扇型の大スラブ地形が広がる 「まことか!?」と思わず口に出してしまうような圧巻の地形美!
無事三名は昇天できました。 ここは是非、晴れた日に行ってみてほしいです 雪の作り出す雪食地形と、流水が作り出す滑らかな浸食が融合し創り出した景色 これは必見!
スラブのどんつきには2段25m規模のコロシアムのようにぐるりと囲まれた滝がある この配置もどこか神秘的である
この滝はかなりいい滝で、スラブのフィナーレを飾ってくれる 左手の側壁が緩くなった箇所から登るものの、ヌメりが強く気を遣う岩場があった 低い位置でトラバースし、滝の落ち口にいくと先はミニゴルジュになっていて、岩棚の上が究極にヌメるため注意して進む。
ミニゴルジュの先には何があるかというと、これまたびっくりのナメロード 一同歓声! 大して調べずに来たから、3人ともこの存在を知らず感激してしまった。 ナメもそう距離500mはありそうな規模 米子沢かそれ以上のものだろう
ナメが終わったかなと思うと、またナメは続く Co1690の二俣は右へ その後も顕著な二俣が2度あるが、いずれも右に進路をとった。 滝を数個越えるとやがて水枯れ 藪漕ぎもなく 草原を歩いているとあっけなく登山道に出ることができた。
登山道では、沢装備の単独外国人が話しかけてきて、どこに行ったか聞くと「コメェコォサ〜ワ」と言っていた
もはや米子沢は日本のみならず、世界的有名な沢にまでなってしまったのかもしれない。
少し歩けば賑やかな御機屋 巻機山頂上まで行き、奥利根を見渡す ケーシが登った五十沢の藪漕ぎはあそこからだった。あれが下津川山で隣が小沢岳 あっちは至仏… しこたま山座同定をする 巻機山はまだ4回目だがここからの景色が一番だ 上越国境、越後三山、奥利根全てが一望できる これらの山のちょうど真ん中にあるのが巻機山 山容もさることながらその立地も、内包する沢も全てが素晴らしい巻機山
さて桜坂にサワグルイ車をデポしてあるので、井戸尾根で高速下山 途中中国人の集団には辟易したが 快調に14時前に到着 天竺の里まで送っていただき、ケーシ解散! Thanks!
江戸切子さんとポムチムは五十沢温泉ゆもとかんで風呂 ここ、女風呂と男風呂の仕切りがなんの意味もないような構造で衝撃的 大変いい温泉でした♫ ただし女性は要注意です!
飯は何度か行っている、小出の百福宴 爆盛りセットでお腹いっぱいになり江戸切子さん解散!
下ノ滝沢は、絶景に次ぐ絶景で得難い体験ができました、下部も明るくて高巻きもさほど苦労しなかったので本当に良い沢だと思いました。2人ともありがとうございました〜