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2019-05-05

2019GW@屋久島

2019/4.30〜5/4

かなり前から計画を立てていた今年のGW

今年は屋久島だ!!!

江戸切子さんとの計画の中でメインとしていたのは安房川 北沢右俣の遡行

そこは特別際立った滝などはないがその渓相は実に美しいという。その景色を見ようが為、数回にわたり練習をしてきた。

 

4/29

21:00に鹿児島空港に着き、江戸切子さんにピックしてもらう。

この日も江戸切子さんは大隅半島の滝を何個か行ったらしい。本当に熱心だ。

素晴らしい漫喫を見つけ明日の出航に備える。

 

4/30

なんとも微妙な目覚めと微妙な天気もあいまりボンボヤージュな感じではない。

鹿児島港に移動し、フェリー屋久島2搭乗。揺られること4時間 とうとう憧れの地に着いた。

Tレンタカーのお姉さんから、数10分前までとんでもない豪雨だったことを聞き一抹の不安がよぎる。しかし、この雨は前日から想定しており、メインの行動は翌1日からと決めていたので大きな支障はないと踏んでいた…

とりあえず南部の小田汲川へ行くが… その水量はナイル川の狭窄部を思わせる大増水 到底滝どころではないのでお手軽な鯛ノ川千尋滝へ歩みを進めた。

千尋滝はまるでダムの放水の如く巨大な水柱を形成し、その迫力のあまり我々は笑ってしまった。

近くまでいけそうだが、ギャラリーが多いため自重。

続いては、南西部の大川の滝へ向かう。

大川の滝は日本の滝100選にもなっており、表向きには屋久島を代表する滝である。

思いのほか狭隘な駐車場に停めすぐに着くが、もう滝としては原型を留めていないような状態。とても楽しむようなものでなく、風情もクソもあったもんじゃない。

さーて この雨 明日からどうするか、会議では平行線をたどった。屋久島を早々に去るという案も出たがそれはあんまりだ 鈴川右俣遡行 ユーゴ下降を2泊でとぶっ飛んだ意見も出た。活動としてはストーリーもあり有意だが、それは屋久島の花形ではない。 私は渋りまくった。

結局、とりあえず鈴川下部の蛇之口滝を見ようとなり、ぽんたん館で車中泊。

 

5/1

蛇之口滝へ向かうため、尾之間温泉に車を置かせてもらい準備していると、温泉の主である老婆が「この雨の中滝に行くのは死にに行くようなもの」「これまで何度も死体がここから運ばれているのを見ている」と重い話を始めた。危なかったら帰りますと言い、ジャングルのような森を歩く。

中々距離があり、滝までは90分程度。総落差130mで屋久島最大の滝らしい(ユーゴの滝は多段200mだったような??)

肝心の滝に関してはお互いあまり好みでなかったか、早々に切り上げて 200円というグッドプライスな尾之間温泉に入浴、熱い、硫黄臭いとローカル感は最高、猫も可愛い。 そしてヒルがかなりいたようだ、2人とも数カ所流血していた。

 

さて、午後からはダメ元で安房の出会いまで行き、それでダメなら「最終案」をという事で昨晩の会議は閉廷した。

安房はダメな可能性が高いということで、コンパスは最終案のルートで提出した。

強雨の降りしきる昼過ぎ、白谷雲水峡をスタート

お昼過ぎから登山を開始するのは我々だけの模様、続々と下山者とすれ違う。

我々の格好をみて現地ガイドさんが毎度のように話しかけてくれる。 総合すると最終案である宮之浦川は水の引きが早く、1時間もあれば源流域は平水に戻るという。これは、我々が昨晩行った過去の遡行記録と活動日の屋久島におけるアメダスデータとの整合と合点する。

そして歩みを進め、安房川が望める地点にきたが、大陸の大河の如く流れるそれは到底遡行できるような状態でない。

これにより、宮之浦川の下降にて「竜王滝([屋久島の山岳]より、正式名称」、「漏斗滝」という屋久島に眠る真の名瀑を目指す折となった…のだが翌5/2での行動に関してはまだ不透明のままだった。

泊地に関しては、行けるとこまで行きましょうと持ちかけ、高塚小屋まで登る事にした。

大きな屋久杉を観察しながら誰もいない静かなトレッキングを堪能。縄文杉に関しては、これを見にわざわざ屋久島まで来た人がいたたまれないという具合に人の手が加わっていた。

いいペースで混み合う高塚小屋に到着し、ギリギリのスペースに設営。

翌日の行動の件で、私と江戸切子さんとの意見は不一致だったが、現実的に目標を達成するという点で江戸切子さんの提案に従う事にした。結果的にこの選択は大いに正しかった。

その夜は凄まじい風と寒さ、GWの屋久島でもシュラフは必要だ。ほぼ寝れずに夜は開けた。

 

5/2

疲労回復は全く促進していない、が歩き始めるとペースはよく あっという間に新高塚小屋へ到着。

ここを起点に漏斗滝まで下る算段だ。

左岸尾根か、記録のない謎の沢(後に小高塚沢と判明)の下降か という点でまた意見がぶつかるが謎の沢を下ることで価値ある活動となる というシンプルな考えに同感し謎の沢を下る事にした。

降り始めは汚物の入った携帯トイレが無数に捨ててあり、携帯トイレのあり方を根本から覆す非常識な行動をする人間がいることを理解する。(携帯トイレはプラ製品で分解されない、普通に野糞してトイレットペーパーで拭く方が遥かに環境的)

謎の沢の下降の序盤は問題なく、楽勝っすね! 漏斗滝が近づいてルゥ〜などとのんきだった。

数個の滝を下ると谷は両岸ともブッ立ちはじめ、我々は多段の大きな滝の上にいた。複雑な流れで落差は30mほど。支点がないためハーケンで用意、これは白沢本谷の経験が大いに活きた。

先行し、ロープの流れを意識していたらスポッと滝の裏に入り込み記念写真。

江戸切子さんもちゃちゃっと降りてきてロープを引く

が動かない!

これは最もあってはならない事、ここでロープを引けない場合、ほぼ救助を待つ以外になすすべはない。

江戸切子さんが角度を変えて何度か引くとやっと動きだし事なきを得た。

続いて右岸に斜めったスラブを従えた25mの滝、流木にセットして下降する。江戸切子さんは器用にスラブを下ったが、私はあれよあれよという間に流れに飲まれて濡れ鼠 幸い寒くはない。

ここでロープがスタックすることはないだろうと思ったが、まさかの2連チャン。

ここでも江戸切子さんの懸命な行動でロープは流れ出した。

この辺りは、もう少し工夫が必要なのだろう、とにかくロープがなければ終わりを意味する。この点で冷静さを欠いた私よりも江戸切子さんは冷静さを保ち手を動かし続けた。

ここでの一幕はとても重要な局面だった。感謝しても仕切れないというところだ。

そしてはるか下方におぞましいほどの蒼を発見、間違いない「漏斗滝」だ。

 

漏斗滝は2段10mほどの小さな滝、しかしその壺に湛えられた水は常識の外にあるような青を発していた。曇りまくったレンズで撮ったので現像の都合、多少濃ゆい感じだがこれまで見たどの壺よりも美しかった。また、壺の外郭に配置された大きな丸い岩も神秘的。

曇りまくったレンズでどうにか数枚納め、結果的にtgやスマホの方が綺麗かな?なんて話をし、いよいよ竜王滝の右岸巻き逆再生にうつる。

↑tgによる 一眼と遜色ない、というか綺麗かも…?

右岸巻きは漏斗滝とすぐ下流にある滝の僅かな間のどこか一点のみ懸垂なしで降りたという記録から逆算し絶対にガリーやルンゼがあると推定したが、それは全くの大正解。

絶対ここですと屋久島一の強気で登りはじめ、あっという間に尾根に出た。

ここからが本当のルーファイ、竜王滝の右岸スラブのすぐ真横に位置するルンゼに降り立つ必要があり、そこを尾根から推定するのは至難の業。

ジオグラフィカと対岸や足元に見える景色を整合させ、地点をジリジリと絞る。20mの下降を述べ5.6回はしただろうか、たどり着いたテラスは明らかに目標とした右岸ルンゼの入り口。

とうとう竜王滝にたどり着いた!!

竜王滝にはどんな感想も無意味だろう、究極の名瀑と言っていい姿に我々は声の限り吠えた。

竜王滝は3段110mの規模であり、2段目3段目は連続していため、ほぼ2段と見て良い、と、志水哲也氏の「幻の滝」にある。

最下段でも50mの規模がありとても大きい、いやいやその真髄は落差でなくその壺だろう。校庭のグランドぐらいの大きさいっぱいに蒼き清水を満たしている。

日本国に数多ある「滝」において頂点の一つであり、また屋久島の険谷宮之浦川の中枢にあるという点でも その存在は多くを寄せ付けず、一定の危険を冒し、冒険心あるものしかたどり着けない そんな滝だ。

この記事を書いているいまも思う、竜王滝はただひたすらに美しかった。

竜王滝に別れを告げ、降り始めるとすぐに次の難所、巨大なcs18m級の滝。

地形だけでいうと竜王滝よりも弱点がなく、単純な懸垂下降では長大な滝壺へ落ちることになる、左岸巻きは遡行と同じルートだが、一点、江戸切子さんの登攀力がないと難しい箇所があり、フィックスしていただいた。

私はカラビナをタイオフし安全が確保されてるにも関わらず、江戸切子さんのアドバイスがなければ足を出せなかった。 斜め懸垂か振り子の要領で越すらしいが単純ではなさそうだ。

csのこの滝も素晴らしい、写真では今ひとつの写りだが、圧倒的な閉塞感を漂わす風情に畏怖を感じる。

この日はここまでとし、cs滝の少し下流のスラブの下でお休みなさい。

やはり寒く、この日も1時間寝れたかどうか‥

 

5/3

今日は下るだけ、ゆっくり仕度し 宮之浦川を下る。

遡行の場合難所となるハマグリのような大きな岩の滝(第3巨岩)は懸垂で秒殺できる。

下から覗くと逆層になっており、やはり登るのはかなり難しそう。

やがて潜水橋に到着し、この先は10km 2.5hや3.0hと云われる林道歩き。

橋に到着し旅は終わった。タクシーを呼び雲水峡ヘ帰還した。

その後は美味しいラーメンを食べて、まだ時間があったため初日行けなかった小田汲大滝へ行こうと持ちかけ 滝 続行。

小田汲大滝は 滝マニにはほぼ知られていない滝だろう。江戸切子さんがリサーチして、私もかなり見たく期待値高めだったが、これまたびっくり!!

超一級の名瀑 本当に屋久島にはぶったまげた、奇跡の島だ!!

滝を後にし、異常な価格設定の温泉で垢を落とし落ち着いた。

この日は最高のポイントを見つけて車中泊とする。

明日はいよいよ、帰還の日。

どう過ごすかは各々の自由とした、私は無理言ってAM4時から山に登ることを承諾いただいた。

滝についてはもう十二分に満足、あとは山だ。 山を知らずに帰るわけにはいかない、本丸は宮之浦岳だが、少し時間が不透明なので黒味岳を選択した。

 

5/4

淀川登山口はめちゃくちゃ遠い、大台ヶ原の道を1.5倍にしたくらいかな。

黒味岳は、これまでに仕上がった足ならあっという間に行けるだろうと踏んだ距離と比高差。

夜が明ける。

永田岳→宮之浦岳→翁岳→投石岳

稜線からみる山岳風景に、昨日の溪風景を重ねてより創造的な旅に昇華できた。

江戸切子さんは中島権現滝を楽しんだようだった。

おもいおもいの最終日の過ごし方、これも柔軟な我々ならではの活動だろう。

その後は、美味しいちゃんぽんを食べてフェリーに搭乗。

フェリーでは、席を確保しようと敢えて足までピンと伸ばし明らかに不自然な格好で寝てる婦人の横に堂々と腰を据えた。

冷ややかな目で見られた気がしたが、気のせいだろう。

鹿児島に着き、最後の晩餐として吉野家をチョイス。

漫喫で翌朝の飛行機に備えた。

 

5/5

朝イチのバスで鹿児島空港へ向かう。途中、当該便が遅れる旨のメールを受信した。

遅延の代わりに得た1000円券を握りしめドトールで金輪際頼むことはないだろう大きいラテを注文、江戸切子さんはサンドイッチの物理的な厚みから玉子を選択 スイートポテト的ななにかをお土産に抱えて私よりも先に帰京した。

飛行機で思い出す、濃厚な屋久島での日々 それは私にとって決して忘れることはないホンモノの宝物。

またやり残しや大きな課題を解決しに屋久島に訪れるだろう。 私は来年のGWも屋久島でいいと思っている(笑)

今回の旅を支えてくださった江戸切子さん、本当にありがとうございました!!

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