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2020-05-24

栗原川

20.5.24

今年3月、沼田市は栗原川林道の廃道化を公表した。 これに伴って皇海橋登山口からの皇海山登山が困難となった。百名山である皇海山の日帰り登山が厳しくなったのは登山者にとって大打撃だろう。同時に釣師や沢屋、滝屋にとっては余計な林道歩きが大幅に増えるのも深刻だ。

栗原川林道の横を流れる栗原川は、関東最大規模のナメ床の沢として知られ、また、大きな規模の滝を複数抱く山域屈指の名渓である。 今回は長い林道歩きを受け入れ、1日で見どころの滝を全て網羅しようと企んだ。

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車止めは、牧場?を過ぎたところにあり、車もバイクも完全に塞いでいる。 これでは皇海山の登山口まで歩いていくしかないが、現実的には3〜4時間はかかるだろう。 我々は円覚の滝から入渓し、滝を見ながら下降する予定なのだが、それでもかなり遠い 下降場所まで2時間弱程度は見ておきたい。

円覚の滝への下降点までひーこら歩いて(1時間半〜2時間)、斜面を下って10分ほどで円覚址。 40mロープ二本で急な斜面を下り入渓、直ぐに円覚の滝の下に至る。

円覚の滝は3段50m級の立派な滝だ、前回と水量は同程度 多いと中段が幅広になるようだが、苔の付きからここのところは増水がないように見える。

さて、円覚の滝を後に不動沢を少し下ると、栗原川本流との出合いがあり本流の直ぐ先には五段の滝が見える。

五段の滝は想像よりもずっと大きく雄大な滝であった。 幾段にも分かれ複雑ながら優雅に落ちる様は名瀑と呼ぶににふさわしい姿。

新緑の眩しい時期もいいが、紅葉の時期もいいだろう。

関東地方拠点の滝好きはこの滝を見ないわけにはいかない、それほどに名瀑である。

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滝の連続はこれで終わらず、合流して水量が一気に倍増した栗原川は直ぐに大ゴルジュを形成する。 これは大膳の滝(三段の滝)と言われるゴルジュ 上から見下ろすと巨大な空間に圧倒される。 ここは懸垂下降で降りるが、強固な支点が打ってあり問題なかった(木も使える)

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大膳の滝最上段は18m級で大量の水量を噴出し、恐ろしいまでの迫力がある。水飛沫と轟音に震える空間だった。

中段の下降は左岸にある残置ハーケン1本(効きがやや不安)に捨て縄をまいて下ったが、意外と斜面は寝ているののでハーケンに体重をかけすぎることなく下れる。

降ったそこは衝撃の大空間であり、右岸は大きく抉れドーム状の地形となっている。 畏怖の念を抱かずにいられない豪瀑だ… 上流の五段の滝は優しく女性的な流れであるのに対し、大膳の滝は荒ぶる男性的な印象の滝。

ここまで巨瀑が密集した場所もそうない、違ったテイストの名瀑が短い区間に3つもある!

大膳の滝は中段から90度屈曲し、最後は10mの滝となってゴルジュは終了する。ここには鉄杭や最上段同様ボルトが打ってあった。

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滝の下は深い淵になっているはずだったが、砂利に埋まり非常に浅くなっていた。残念極まりない。砂利が流され、復活することを願っている。

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ここから下は一気に癒しの渓谷となり、それもまた最高。

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栗原川の白眉は、前述の滝のみならず、関東一とも言われるナメ床も必見

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源公の滝と言われる4mほどの斜瀑には深い釜が形成されている。

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黄色がかった美しいナメを流れる清流。

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この先も断続的にナメが広がり、明るく開放的な景観が楽しめる。

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緑豊かな森と滔々と流れる清流。栗原川、素晴らしい!!

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ナメは断続的だが、かなりの距離に渡ってある、晴れた日は夢見心地の渓流歩き。

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滝もいいけど、このナメもとても印象的。

ナメがすっぱり斬れ落ちてる先は、岩塚の滝 左岸から巻けるようだが、滝の真横から懸垂で下った。 この滝も幅広で豊かな水量、癒されます。

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新緑に抜群に映える、一級品の名瀑!

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この先、左岸からケヤキ沢、右岸から松ゾリ沢が出合い、下降終了の場所となる。 写真の右岸崖が切れるところで150m登れば林道に戻れる。

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時刻は12時50分、時間的余裕がない中、この時間からケヤキ沢の大滝を見に行くには無理があるかなと思ったが。どうせならと一人で駆け足で向かうことに。 上写真はケヤキ沢出会いの小滝。

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ケヤキ沢も森の中を流れるとても美しい渓相。

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ナメを流れる水はかなり冷たい!

この沢は途中、完全に伏流し水が消えたり、枯れた小ゴルジュが現れたりする。

携帯を落としたりとトラブルがあったが、ケヤキ沢出合いから1時間ほどでケヤキ沢大滝に到着(走って行ったので1時間だが、滝まではかなり遠い)

噂通り末広がりの美瀑であり、ケヤキなのかわからないが左岸の木の演出で、一層神秘的なのだが… なんだか写真で見ていたのと違うなぁ。 なんとなく違和感を感じる。

帰ってから記録を見たら、どうやら違和感の正体は滝の流れが変わっていることだった。 以前は落口の右上からも落水があり、これ以上ないほどに独特の形状だったが、流路が変化して落ち口は一つになってしまったようだ…

うーん、今も素晴らしい滝なのは間違いないが、以前の姿には遠く及ばないような。 これは残念part2だった。

ちなみに、ケヤキ沢の大滝はここにある。 走れば片道1時間だけど かなり遠いので、本流下降からの滝ピストンはオススメしない。

その後、本流で釣りをしていたM氏と合流したが安定の坊主だったようだ。

栗原川は間違いなく名渓中の名渓であり、1日で巨瀑、ゴルジュ、ナメを堪能できる最高の沢です。 栗原川林道の封鎖でアクセスが悪くなり林道歩きが厄介だけど、逆に人が立ち入らなくなったのは喜ばしい事。 2日かけて周回もいいが、見どころだけを抑えるなら下降はオススメです(ケヤキ沢の滝も含むとなるとかなりタイト) M氏お疲れ様でした。

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