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2023-06-04

裏那須 苦土川 大沢左俣

2023.6.4

裏那須とは、那須連峰の主峰の西側に連なる三倉山・大倉山・流石山からなる小さな山塊であるが、北関東とは思えないたおやかで美しい稜線を持ち、その姿は”ミニ飯豊” なんて言われたりしている。 ここは今年の2月に来ているが、無雪期は来たことがなく気になっていた。

裏那須では、沢で言うと苦土川の井戸沢が広く知られているが、井戸沢の隣を流れる大沢は最初こそ堰堤の連続する沢であるが、上流部はまるで上越や谷川の沢のように明るく快適な滝が連続する沢と聞く。

今回はこの大沢の左俣を遡行し井戸沢を下降するプランだ!先週に引き続きサワグルイの二人と葛見さわさんとで行くことになった。

この大沢は、どちらかと言うとマイナー系であり、井戸沢の知名度と比較するとあまり遡行者を迎えていないが、アクセス良好、内容充実、井戸沢を下降すれば下山も早くとんでもなくいい沢であった!! このルートは今後大沢のスタンダードになるだろうと思います。

連瀑帯の始まり
滝場が連続する素晴らしい渓相

深山ダムの便所で7時前に集合して、三斗小屋への林道を進む 大沢への林道分岐のスペースに停めて 林道を歩いて小1時間で最後の堰堤を巻いた先で入渓した。 ほぼ平水であり、関東を襲った大雨の影響は全くないようだ。

すぐに左手で西沢を分け、しばらくは我慢のゴーロが続く しかしれも長くはなく、Co1150付近で渓相が一変 滝場の連続となる。 最初の滝は右壁を登り、その上のナメの先には20m滝が落ちている。

20m滝は左壁にあるルンゼから取り付くが、ボロく落石に注意だ。 てっきりルンゼの中を通して樹林から巻き気味に超えるのかと思ったが、どうやら途中から滝身に近づくように登るのが正規のようだ。

そんなことはつゆ知らず、ルンゼのどんつきにはボロ壁に囲まれた登り辛い4m壁があって少々難儀 この滝の通過には4人で小1時間かかったかな。ここは結構ハマっている記録もあるようなのでルートのカンペがあっても良いかもしれない

20m滝の上はまるで金山沢のような美しいスラブ滝で構成されていて、遡行感度は抜群!!

最初のポイントの20m滝
まるで上越のスラブのよう

5m程度の簡単な滝を左壁から超える、なおも滝は続きここは本当に北関東なのかと思ってしまうほどの素晴らしさ。

ヌメりが強くフェルトを推奨する記録がいくつかあったようだが、水流の一部がヌメるだけであり、概ねラバーソールがバッチリと効く! 

8m滝
快適に登れる!

8m滝は水流の右から快適に登る フリーで登れる綺麗な滝が続き、沢登りの楽しさがぎゅっと詰め込まれている。

滝、滝、興奮が冷めることはない
二俣にある左俣の25m級スラブ滝

いくつもの滝をシャワー混じりに超えていくと、先には一段とひらけた空間がある。ここは左俣と右俣の出合いで、左俣には25m級のスラブ滝が、右俣は急なゴーロで出合っている。 ここは迷わず左俣へ進み、超快適にスラブ滝を登る。いやいや本当に、最高なんじゃないかこの沢は。

二俣の全景
超快適なスラブ滝を登る

スラブ滝の上には、2段13m滝が控えている。これは右岸が見事な岩盤であり、景観的にも表に優れた滝だ! 右手の草付き、左の凹角どちらも快適に登れる。

フェルトでも問題なく登れる
2段13m滝 いやこれもカッコイイ滝だわ
振り返るとイイ景色
ハイライト40m滝の登攀

13m滝を超えると水量が激減するが、沢が屈曲するコーナーにはハイライトとなる40mがかかる 滝といっても水量は極小であり、スラブに近い 右壁がフリクション抜群でありラバーソールがバチバチにきまってくれる。 ここは美味しいリードを葛見さわさんに託す。迷いなくロープは伸びていく 中間支点には割と効きのいい残置や灌木が取れるため安心設計である。

40m滝の上も快適な小滝が2.3続くと、上の二俣となり水量の多い右手を進む。 ここら辺で今にも水枯れしそうなため、水を汲むがまだ稜線まではまだ400m近く標高を上げなくてはならない。 

まさかこの高低差を藪漕ぎなのか!? あまりの快適な沢から一転、地獄の藪漕ぎを覚悟する一同だったが、水量が染み出し程度でも意外に滝が続く。

枯れても滝が続く 割と快適
詰めはめっちゃ眺めが良い!!

いつ始まるかもわからない藪漕ぎにビクビクしながら進む、ちょっとした藪に、ついにきたか…と思うが、あっけなくすぐにひらけて、、というのを何度も繰り返してるうちに随分標高を上げている。

沢型がほぼ完全に消えても草付きのちょいスラブが続き超快適に登っていく、まさか藪漕ぎほぼ無しなのでは?… にしてもこの詰めの眺望は素晴らしい。 見下ろすと、沼ッ原調整池がよく目立つ 最初は人口だと知らずに随分と丸い池があるんだな〜と感心していた笑

なんと最後に10分程度の軽い藪漕ぎで稜線の登山道へ、はいポンッ うっそ!最高すぎじゃんこんなの…

裏那須の稜線はミニ飯豊と言われるだけあり、牧歌的で優しい 抜ける初夏の風が心地よく包み込んでくれる。

裏那須 最高の稜線美
井戸沢を下降

とても歩きやすい登山道を進み、すぐに井戸沢の源頭部付近へ サワグルイの2人は井戸沢を過去に遡行しているが、何処へ詰めたか全く記憶にないようなので、適当に降りやすいところを降りていく。あっという間に沢形には水が現れて、小瀧はあるもののとにかく下降しやすい。Co1480の二俣からは水量が増えいくつかの滝も出るが、特に問題なくクライムダウンで下降。

ミニ米子沢とは如何に
クライムダウン厳しく、右岸巻き

そういえば、井戸沢はミニ米子沢とも呼ばれていて(ミニばかり…笑)期待したが、正直どこが米子沢なのか全くわからなかった。淡々と快適な沢を下降していくと、大きな15mクラスの滝が出た。 クライムダウンは厳しいが、右岸の藪から問題なく巻き下れた。ドロドロなのでチェンスパがあると良いかも。

井戸沢にはナメもある
井戸沢の大滝?12m級

下流へ降りるに従いヌメリはどんどん強くなるが、ラバーでもさしたる問題もないほどで、大滝(?)と思われる時を左岸から巻き下り、いくつかの小滝をクライムダウンで降りた。

最後は木材で景観保全がされている?堰堤を右岸のトラロープで下るがここが一番危険な気がした。作業道路を歩けば程なくして三斗小屋宿跡へ至った。 ここまでジムニーとかなら来れるようで2台ほど停まっていた。

あとは全く苦にならない距離の林道歩きで車へ帰還しました。コース的には 7:30スタート→13:00ぐらいに稜線→15:20ぐらいにゴールだったような気がします。

・所感・

大沢左俣は昨年大ヒットした大沢川と同様に日帰りでも内容大充実でほぼ一切の苦がない最高の沢と言えると思います。

沢の楽しさのみならず、詰め上がった先の稜線の美しさや、快適な井戸沢下降なども含めて100点満点となりました。

登山道下山となると非常に長くなり大変なので、今回のように井戸沢や一本西側の西沢などに下山路を求めると早く下山できる上に、より内容が充実すると思います ほぼ濡れるところはないので、初夏か秋がシーズンでしょう

サワグルイ・葛見さわさんありがとうございました! 楽しい沢にまた行きましょう〜

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