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2021-05-04

小楊子川左俣遡行・大川下降③ 〜地獄の巻き・天国の源頭〜

5.4 co1370~鹿之沢小屋

小楊子川3日目の本日 いよいよ上部ゴルジュからの詰めが始まる。

流石に屋久島といえど標高1300m以上の朝一は寒く、メシもテントの中で手短に済ませた。

軽量化を優先しすぎ、シュラフなしなんて事にすると寝られなくなるほど冷え込むので要注意だ。

のんびりと準備し、7時半ごろにスタートしたと思う。

まずは、昨日偵察に行った上部ゴルジュ入り口の泉を目指し30分ほど進む。

西向きの沢なので、当然午前中の谷の中は暗い。 泉は影っているがそれはそれで青さが際立ち幽玄な雰囲気を放っている。

左岸からの枝沢との間にある尾根に取り付き滝を偵察する。

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8m+2m程度の滝だが、流石に取り付く島もなく尾根を50mほど登り、ササの茂る斜面へとトラバース 最後は4m程度懸垂下降したかしなかったかで泉の滝の少し上流へ降りてきた。そこからは上部ゴルジュが始まる

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上部ゴルジュとは言っても、特段厳しい滝や釜が連続するわけではなく、入り口の滝の巻きと再奥に構える小楊子大滝の大高巻きがあるのみ。

両岸は迫り、高い側壁を形成するものの谷中は穏やかなものだ。

co1500付近で谷が一度大きく右曲すると、3.4mの滝が現れるが、いずれも小さく巻けるので問題なし。

さらに奥で90度左曲している、あの先に小楊子大滝があるはずだ。

岩盤が発達しだし、大きなトイ状の流路となっている そして正面に絶対的な行き止まり感を作り出す小楊子大滝が現れた。

デデン! でよった!これが小楊子大滝! 上段30m下段40m(?)で計70mの巨大な滝 垂直の左岸側壁と相まりすごい威圧感だ

屋久島にある数多くの滝の中でも最も標高の高い位置にある幻の大滝。ほぼ源頭と言える位置にあるため水量こそ控えめだが、存在感・幽玄さは竜王滝や漏斗滝に勝るとも劣らない。

ただし残念ながら午前中は影になっているため、順光で姿を捉えるのは難しい。

これはかなり独特の形をした滝だ。下段は流水右に大きなスラブ壁を形成し、川床には砂利の一つもない。三面全てを強固な花崗岩に囲まれ、巨大要塞のよう。

源頭にほど近い位置にこれだけ巨大な滝ができるとは恐ろしい。ゴルジュのどんつきにこれがあり、屈曲を繰り返した末にようやく現れる小楊子大滝 演出に余念がないっすな〜

一通り拝んだ後は右曲部まで戻り、左岸巻き ちなみに右岸巻きをした記録もあるが、どちらにしても大差はないようだ。

地形的に左岸巻きの方がハマらない可能性が高いと思う。右曲部から強烈なササの藪漕ぎを30m登り、傾斜が強くなったところで下流に戻るように笹薮を50mほどトラバース、すると小さな枝沢があり、そこを登り尾根に乗る。

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尾根とはいえ、植生が茂りまくってよくわからないため、適当にトラバース・藪登りをしながら時折見える小楊子大滝を目印に調整していく

滝までは200m程度離れているためなかなか距離が縮まらない。ダニの生息する強靭な藪を超え、イバラの群生や尖った杉の枯葉に発狂寸前になりながらジリジリと滝の落ち口に近寄っていく。

2時間ほどかかったか、決して上手く巻けたとは思えないが、滝の落ち口ジャストに降りてこれた。

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滝の上流はまさに源頭の風景 先ほどのゴルジュとは打って変わってひらけた穏やかな渓相に変わる。 小楊子大滝の落ち口にはこんなに立派なアンカーが打ち込まれている。

間違いなく懸垂下降用のものだが果たしていつの時代のものか

さてここからは日本庭園風の趣溢れる詰めが始まる。

景観は1級品 本当にどこまでも美しい沢だ。 淀川などの雰囲気とは全く違い、空が大きく開けた明るい源流

いやいや本っ当に最高!

ポットホールと同じ成り立ちなのか、流れに対して極端に深い釜が時々ある ハート型の釜は深い青色で深さ2m以上ありそうだ。

実はこの2段8mの小滝だが意外と面倒な巻きになり、滝上は極細のゴルジュが50mほど続いている。左岸の笹薮からゴルジュごと巻こうと進んだが、小楊子大滝以上の激烈な藪漕ぎとなり、小さく巻こうとした自分は突然足元が宙ぶらりんになり深い極細ゴルジュに落ちそうになった。

藪漕ぎに20分位要し、振り返るとこんな感じ ここは水線通しは難しい、真の上部ゴルジュかもしれない。

大滝の上で苦労するとは思ってなかったので、恐ろしく気疲れした。

後は大体平和なのだが、やはり時折巨岩を巻いたり、ちょっとした藪漕ぎが混じる。

飴と鞭だが鞭多めの詰めだ。

透き通った淵の先にある3段7m滝は左右の藪と枝を使って登ることができた。

振り向けば雲海が広がっており、ここは雲上の楽園か

徐々に高い木なくなり、左右は石楠花と笹薮に覆われ始める。植生はまるで違うが上信越の沢の詰めに似ているかも。

青空が反射する水面 なんかもう昇天するんじゃないかって気持ち。

この上部で沢は最後の二俣(co1710あたり)になり、我々はナメが続く右側に入ったがこれが失敗で最終的に登山道に出るまで人生最強の藪漕ぎをする羽目になった。

いまだに深いポットホールらしきものがあり、感銘を受けてしまう。

サファイアのような輝きを放つ小壺 水量極小になってもまだまだ沢の見所は続いている。

気持ちの良いナメが焼野まで続くかなと思いきや、途中で藪の中に流路が消えていってしまった。

仕方がなく永田岳を眼前に拝みつつ、猛烈・鬼畜笹薮を100mほど漕ぐ羽目に。

これまでの笹薮など比ではなく、背丈を越え、10cm四方の地面から数百本ぐらい生えてるんじゃないかってレベルの激蜜薮だ。

あまりに進まないので、体を倒し込み藪が下敷きになったところで転がるように進んだ。漕げない藪というのは人生初だった

幸いササ以外の植生は混じっていなくてよかったが、これに石楠花や茨がミックスされていたらと思うと多分無理ゲーだった。

焼野の手前の縦走路に飛び出し、電波が入る位置まで宮之浦岳方面へ進む 焼野三叉路の少し手前で4本バリ立ち電波になった。

まずは親に生きてますの連絡を済まし、SCWで明日の予報を見る どうやら明日5日は2日前の予報と変わらず大雨のようだ。変わって明後日6日は天気がよろしい模様。

ここで選択肢は以下の通り

・今日中に淀川登山道に下山 明日1番のバスで安房に降りバスを乗り継いで栗生まで行き車を回収

・今日中にCT7時間以上の花山歩道を下山し車まで戻る

・鹿之沢小屋で明日停滞し、明後日6日に大川or花山歩道で下山

花山歩道は糞面倒らしいのでパスしたいし、どうせなら下山も沢を使いたい… 鹿之沢小屋で1日様子を見て、6日に大川が下れそうなら下ろうと決定。

鹿之沢小屋の裏手に大川の源頭があり、水量の様子は確認できる。水量的にダメなら花山歩道で下ろうという算段に落ちついた。

今後の予定が決まったところでつらーい急登を登りきり永田岳に登頂!永田岳は屋久島および九州地方第2の高峰 海岸線から唯一見える奥岳としても知られる。

洋上には口永良部島が見える 永田集落まで一直線に流れる屋久島四大河川の一つ永田川も大きな谷であることが手に取るようにわかる。

永田川右岸にある異様な岩山は障子岳 屋久島に存在するマイナー12名山だ。 これはマイナー12名山の中でも飛び抜けて登頂難度が高い山でほとんど人が入らない秘峰。

永田岳からネマチ峰、障子岳へと続く障子尾根はヤブバリエーションルートの最高峰だろう。すぐ真下が神様のクボだろうか?

永田岳からの眺めは見事 宮之浦岳よりも良い展望なので屋久島に来た際は、永田岳へ是非行ってみて頂きたい。

山頂がどこだかわからないと仰る奇妙なおじさんを山頂に案内し、下る。 正面には宮之浦岳がどで〜んと構える こうしてみる宮之浦岳もやはり名峰中の名峰!

永田歩道を使い鹿之沢小屋まで小一時間で下る。

そんなこんなで2年連続となった鹿之沢停滞。 相変わらずカビ臭く、暗くて 慣れるまでうわって感じ。

なんだか去年より荒れていて、右側の下段の板はぶっ壊れ 陥没した中にはゴミが詰め込まれ散々な状態に…

今年も始まった24時間オーバーの鹿之沢小屋LIFE 水場は徒歩10秒、ゲテモノ便所も完備 慣れてしまえば快適なはず

果たして明後日6日は大川を無事に下れるのだろうか。こんなところで3日目の記録は〆めたいと思います。

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