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2021-05-03

小楊子川左俣遡行・大川下降② 〜地上の楽園 小楊子川左俣〜

5.3 二俣手前〜co1370付近

初日は体力が底を尽きそうになりながらの厳しい活動となったが、左俣の遡行がメインになる今日からは幾分平和な気持ちの遡行が続くだろう。

朝は鳥たちの囀りに目を覚まし、テントを開けると眩い朝日が差し込んでいた。今日は快晴が約束された日だ、最高の1日となる予感がする。

斜めった巨岩の上では夜中にズリ落ちで何度か目を覚ましたものの、モンベルの3番シュラフでちょうど良い気温で寒さにうなされることは無かった。

各自朝飯を適当に掻き込み、7時過ぎに遡行を開始した。 まずは目前に迫った二俣を目指す。

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二俣まではそう遠くない距離だが、やっぱり巨岩帯の通過には苦労した。朝一の鈍った体に大して軽くもならなかったザックがずしりと重くのしかかり、一つ一つの巨岩を超えるのも一苦労だ。

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30分ほどで右俣・左俣を分かつ二俣に到着 水量比は1:1  左俣へ入る ここからは幾分気持ちが軽くなるはずだ。

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左俣は両岸に嵓が屹立し、険しい雰囲気を感じるが沢中は意外と平和である。

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15m程度の泳ぎが必要な淵 もう水が強烈に冷たく薄い水着を2枚来てても震えが止まらない。

結果的にこの淵以降は泳ぐ場面もなく助かった。

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左俣からは水量はぐんと減ったものの、依然として大渓谷としての威厳に満ちた渓相が続く

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ナメも規模が大きく岩盤の発達が著しい。 全面花崗岩なので陽が差し込む前でも白く明るいのがまた嬉しい。

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難所とされる倒木の滝 左岸バンドの突き当たりには倒木がのしかかっており、そこからの突破がセオリーだそうだ。

近づいてみると倒木のもう一段上に細いバンドが走っており、どうみても小さく巻けるので自分が空身で滝を巻き、荷揚げしてから滝上で合流した。

1ポイントだけ苔むした岩に体重を預けるいやらしいポイントがあるが、倒木を登るよりよっぽど効率的で合理的な巻きだと思う。

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倒木の滝の上にある似たような姿の滝と淵、左岸から小さく巻く。

co920では地理院地図に水線の描かれていない中俣が合流する。出合は15mほどの滝となっている。

中俣から先は一気に癒し系の沢となり、森も下がってくる。 苔が美しい2段の滝。

極上の森と清流が作り出す楽園 原生自然を体現した渓相に感動を覚える。

この淵は右岸巻きで超えたが、か細いバンドに灌木が邪魔して大きなザックを背負ったままだとえらいこっちゃだった

左岸巻きの方がどう考えても楽そうだった。

2条5m滝 すこぶる美しい 屋久島の沢は上流部でどこも美しいエメラルドグリーン色を呈す。

この滝は左岸巻き

滝の上は綺麗なナメだった。

すぐ上にはカーテン状10m滝 ここは極上の居心地であまりの美しさに呆然とした。 小楊子川の中でも屈指の名所でしょう。

滝としてみても普通に立派な滝で見応えがある。 本当に最高でした。ありきたりな感想しか出てこないけれど、言葉では言い表せない。

ここはきっと、訪れた誰しもが感動することだと思う。

点在するナメもナメが見どころとなる沢と遜色ないほどに整っており、この区間は全てが完成された美しさを残していた。

だらだら感想を言ってても仕方がないので写真を載せる。翡翠色に輝く一つ一つの淵が珠玉である。

美しいゾーンを過ぎると、再び巨岩帯がco1400m付近までかなり長いこと続く、とは言っても下流部に比べれば規模も幾分小さくなる。

巨岩帯の合間にはちょくちょく綺麗なプールがあり休憩を挟みながら進む。

沢は大きく開け始めて川幅もぐんと広がった。

co1370左岸付近にほぼフラットな大きな岩棚を発見し、2日目はそこまでとした。

時間に余裕があったので、co1440から始まる上部ゴルジュの入り口にあるという絶景の淵まで散歩してみることにした。

すると途中にテン場としては最高の河原があり、あまりの完全立地に荷物の移動を考えるほどだったが岩棚もテン場として最高レベルなので移動は止した。

co1400の右岸には地形図にも記載のある大きな崩壊跡がある、現在では崩壊というより普通に沢になっているので痛々しさは皆無だ。

徐々に沢幅が細っていき、右岸にはチョロチョロと20mほどの滝が流入する。

絶景淵まであと少しというところで、巨岩の巻きがあったりとやや面倒だった

なぜこのタイミングで上流を偵察しに来たかというと、明日の行動中の早朝では谷に陽が差し込まないため、淵の美しさは半減してしまう。 美しい場所はできることなら良い条件で見てみたい、普通の沢屋なら考えもしないことだと思うが、風景至上主義の自分には大事なことなのだ。

陽が差し込んでいる午後ならきっと、明日の朝よりもずっと輝く姿が観れるだろうと、そういう魂胆だ。

たどり着いた上部ゴルジュの開始を告げる奇跡の淵 夕方近く陽の条件はベストでは無くなっていたが それでも余りあるほどの燦き まさに地上の楽園だ…

小楊子川左俣を象徴する神秘的な泉 似たような写真ばかりだけれど 2日目の記録はこれで〆たいと思います。

結局、幕営地から往復1時間ぐらいかかって泉を見に出かけてた。 岩棚は昨日の巨岩の上と比べて格段に水平に近いので寝心地もよかった。

左俣に入ってからは、険しさは半減し美しさが際立った区間が続く 巨岩帯の通過は相変わらず心を砕くが、それを加味した上でも目に余る絶景の宝庫である。

とある小楊子川の記録で、この沢は日本を代表する名渓の一つと評価するものがあったが間違いない。自分の少ない経験の中では三指に入る渓谷だ。

さて、3日目の明日は上部ゴルジュと幻の滝である小楊子大滝との対面、そして大滝の巻きと詰めが待っている。

最初から最後までハイライトの小楊子川の旅はまだ続きます。

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