本名御神楽・前ヶ岳南壁 三本スラブ
2021.10.30
先週末の御神楽岳水晶尾根に引き続き、今週末も秋の会越紅葉を満喫しにきた。
昨年訪れた前ヶ岳南壁のV字スラブがとても良かったので、同じく前ヶ岳南壁のルートである三本スラブに行ってみた。
前ヶ岳南壁の記録では右スラブとV字スラブ(第1〜第4※第3.4はほぼ見ない)が多く、V字スラブ以西の赤いスラブ、三本スラブ等へ行ったという山行はなかなか見かけない。赤いスラブを除いては確かに似たような内容だし、V字より先のスラブへ行くと取り付きまでの時間もかかるし下山の藪漕ぎが長くなるので、ぶっちゃけあまり行く意義は少ないのも頷ける。
でも三本スラブは良かった! V字よりも広大なスラブと特異な地形でロケーションは最高だ。V字スラブよりも藪っぽくなく、最後まで景色を楽しめる最高のスラブだった。
霧来沢右俣を進み、V字の分岐を過ぎると川幅は狭まり予想外の小ゴルジュが現れる。右手から赤いスラブに続く沢が滝になって注ぐのをみて、数個の小滝を超えていく。 そのうちの一つ、8mほどのトイ状の滝はM氏が右岸の草付きから登ったのだったが、このトイ状滝が結果的に今日の最難関であった。 いやぁ悪い悪い。いつものことながらM氏に早速お世話になってしまう。
さっきまでかかっていたモヤが一気に晴れ渡ると、前方に街道スラブ、段々スラブがパーっと開けてみてくる。
右手からはちょろちょろの2段滝が合流し、その先には確かに三本に分岐する目的の三本スラブが確認できた。
2段滝は右手の灌木から巻いていき、滝の頂部に出るとまっすぐで美しいスラブがインゼルを持って左右に二本延びている。
自然に進むと右側に行くが、ここはわざわざいく人が少なそうな左側のスラブに入ることにした。
白く美しいスラブが150mほど延びており、傾斜も緩いのでカメラ片手にぐんぐん登っていく。
突き抜ける青さの秋空の下、最盛を迎えた紅葉のオレンジと、白いスラブのコントラストが沁みる。
天国のようなインゼルスラブを登っていくと、徐々に三本スラブの所以たる上部スラブが見えてきた。振り返る下部スラブもそれだけでも登りごたえのある規模だ。 やがてインゼルが終わり、下部の左右スラブの分岐部となる。ここは真っ平らな大きなテラスとなっていて、目の前に広がる絶景を十二分に存分できるところだ。
上部は、顕著な三本のスラブに分かれているのがわかる。ここ左へいくほどに藪漕ぎが長くなる上、最もスッキリしている右側スラブにいくのが自然だろうと思う。 ここでドローンを飛ばしたり飯食ったりと大休止を挟む。
それにしてもこの地形美はなかなかないものだろう。アクセスが良いところであれば、高名な景勝地になってもおかしくないような景色だ。
先週は飛ばせなかったドローンを存分に飛ばす。ドローンの操縦は年2・3回なので飛ばすときはいつも緊張する…
動画の撮影も難しいので、ドローンのIFMモードを使いながら動画を撮る。
かつて滝巡りをしていた時もドローンを買い。いくつかの滝でドローンを飛ばしたが、最終的に奈良県の岩屋谷雄滝で墜落させてしまった。滝のある谷底ではGPSの入りが悪く、マニュアルでの制御に慣れていないと確実に落とす。
スラブでは見通しも良く、GPSを逃すってこともほとんどないので安全に飛行が可能だ。 こんなに楽しい遊びなかなかない。
進むのは一番右側のスラブで、近ずくと門の様に聳える中間リッジの迫力に圧倒される。
テラスから右スラブの入り口までは簡単に進む。 下を振り返れば、インゼル状になったスラブの不思議な地形がよくわかる。
右スラブの基部に立つと、意外と傾斜がある。フリーで行けないことはないんだろうけど、下を見ればすでに300m以上の高さにキンタマが窄まる。なんの躊躇いもなくそのまま行こうとするM氏を引き止めて『せっかくだし、ロープだそ!』
ってことで、まずはリードしてもらう。中間支点は左の灌木… 40mほどで都合のいい灌木があったようで切って、フォローで続く 写真では何の簡単そうに見えるが、絶妙に恐い。悪くはないが、高くて恐い。 そのままつるべで上部スラブの頂部まで抜けた。スラブの先はブッシュが広がり、少し先には垂直の壁が展開する。 右に赤いスラブとの中間尾根が近い、ブッシュとボロい露岩を使って中間尾根を目指す。
スラブの先の露岩はいきなりボロくなり、ポロポロと気持ちよくない。 多少の緊張を伴いながら中間尾根に乗ると、当然ながら岩稜で抜群の眺め! 本当に素晴らしいスラブだった。
赤いスラブとの中間尾根をわずかに登ると、前ヶ岳の主稜線に乗った。藪は…まぁ全然許容範囲内。
尾根反対側のムサ沢もスラブの発達した沢で、いつか行ってみたい沢の一つだ。そして下田・川内山塊の山々がよく見える。
う〜んロマンあふれる山塊だ! 双耳峰の盟主矢筈岳はやっぱり目立つ わかりやすい台形の五剣谷岳もかっこいい山だ。
さて藪漕ぎはそんなに苦ではなく、15分ほどでV字スラブのところまできて、そこから小1時間で登山道へ合流。 なぜか避難小屋を見つけられなかったが、無くなったってことはないよね・・? 不思議な感覚だった。
15時ごろには登山口まで戻ってこれたので 大塩温泉と、ひょっとこ亭のラーメンで風呂と飯を済ます。
ひょっとこ亭はこの界隈だと超貴重なラーメン屋さんだ。そして味もとても美味しいので、この辺の山で遊んだときは是非行ってみていただきたい。
M氏ありがとうございました。